"帰る場所を奪われた妻、4階で取り戻した人生" 第12話
夫は両でを抱えた。
「そんな……」
「あなたからも銭を受け取っていると見られています」
「500万円……」
全員が夫を見た。
夫は呆然と呟いた。
「マンションを売るの付けとして、500万円渡した」
私は初めて聞いた。
「どこからそんなを?」
夫は答えなかった。
刑事が言った。
「その点も含めて確認したいのです」
に分かった。
夫は会社の資にもをつけていた。
から、
「く居を決めなければ子供は産めない」
と急かされ、まとまった現を作ろうとしていた。
マンションがすぐには売れない。
義母の通帳も使えない。
その焦りから、会社のまでかした。
へ渡したは、すでに別の座へ移されていた。
されているとっていた女性。
しい族を作ると信じていた相。
夫が妻と母を捨ててまで選んだ未来。
その全てが、最初から夫の財産を狙ったものだった能性がかった。
「佐藤誠さん」
刑事が静かに言った。
「詐欺事件の被害者としてのお話と、会社のおに関する点、それから産関係類についても確認させてください」
夫はへ崩れ落ちた。
「ゆみ……」
私を見げる。
「頼む」
「……」
「俺にはもう、おしかいない」
私はその言葉を聞いても、何もじなかった。
「違います」
夫の顔を見る。
「あなたには最初から私を切にするつもりなんてなかった」
「やり直せる」
「無理です」
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「俺は騙されてたんだ!」
「さんに騙されたことと、あなたが私やお義母さんにしたことは別でしょう」
夫は黙った。
「類を勝に作ったのも、私をから締めしたのも、荷物を捨てたのも、母を脅しに使ったのも、全部あなた自が選んだことです」
私は夫へ背を向けた。
そのの法続きは、全て加藤先へ任せた。
夫の勤務先にも正な銭のきがられ、会社との関係は終わった。
をめぐる事件については警察の捜査がみ、夫自も自分の為について説を求められることになった。
婚も正式に成した。
私はもう、夫の状況を細かくろうとはわなかった。
る必がなかったからだ。
問題は義母だった。
夫が警察へ呼ばれた、3階に1残された義母は急速にっていった。
親族へ連絡しても、誰も積極に関わろうとしなかった。
それまで義母は、親族の集まりで何度も私の悪を言っていた。
「嫁がだらしない」
「嫁の母親にを取られている」
「誠がかわいそう」
そんな話を信じていた々も、今回の騒で本当の事をった。
数。
4階の郵便受けに、差のない封筒が入っていた。
乱れた文字を見ただけで、義母だと分かった。
私は部へ戻ってからいた。
『ゆみさん、全部私が悪かったです』
最初の文から始まっていた。
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『どうか許してください』
『誠がいなくなって、私はどうしたらいいか分かりません』
『お願いです。4階の隅でもいいから置いてください』
『事でも何でもします』
には涙の跡のような染みがあった。
以の私なら、迷ったかもしれない。
母から、
「困っているには優しくしなさい」
と教えられて育った。
しかし、私はを読みながらいしていた。
母を侮辱された。
「臓が悪いなら施設に入ればいいでしょう」と笑われた。
私が作った料理を捨てられた。
から締めされた夜。
「あんたの帰る所はない」と言われた声。
私はを静かに折った。
そして、度と同じで暮らすことはできないと決めた。
義母には政や親族を通じて利用できる支援先について伝えた。
しかし、私と母のへ入れることはしなかった。
許すことと、再び支配される所へ戻ることは違う。
私はようやく、それを理解できるようになっていた。
やがて3階についても必な理がみ、義母はそこをれた。
最の。
さなボストンバッグを持ってエントランスへてきた義母を、私は4階の窓から見た。
以の派な装ではなかった。
髪も乱れ、肩もさくなっている。
義母は度、4階を見げた。
唇がいた。
「ごめんなさい」
そう言ったように見えた。
私は窓を閉めた。
それが、私と義母の最だった。
数か。
母の体調はかなり定した。
4階の当たりのいい窓辺で、毎編み物をしている。
「ゆみ、このきれいでしょう」
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