"返されなかった合鍵" 第7話
「あなた、々たいね」
「お母さんに似たの」
で笑った。
夫の、初めて自然に笑った気がした。
31本目のカセットテープには、雅夫の声が入っていた。
録音は1210。
病気が見つかる直だった。
『千鶴へ』
名を呼ばれた瞬、千鶴は再を止めた。
奈は何も言わず、母親を見た。
「これは、で聞く」
「分かった」
奈が帰ったあと、千鶴は夕も取らず、ラジカセのに座った。
窓のは暗くなっていた。隣の呂から音が聞こえ、くで救急の音がした。雅夫がきていた頃と変わらない夜だった。
再ボタンを押す。
『千鶴へ。これを君が聞いているなら、私は自分で話せなかったのだとう』
雅夫の声は落ち着いていた。
『最初に謝ります。私は君に、25、話すべきことを話しませんでした』
千鶴は膝ので両を握った。
『美咲と裕子さんを助けたことは、悔していません。もし同じへ戻っても、私は同じことをするといます』
やはりそうなのだ。
雅夫は最まで、自分のを違いとは認めていない。
『ただし、君に黙っていたことは違いでした』
千鶴は顔をげた。
『当、元夫の岡野伸は、役所のや私たちののくまで来ていました。君と奈を危険に巻き込みたくなかった。それが最初の理由です』
雅夫は度、息をえた。
『だが、本当はそれだけではありません』
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テープの向こうで、をめくる音がした。
『私は、君に止められるのが怖かった』
千鶴は目を閉じた。
『族を危険にさらしてまでを助けるなと言われたら、私は選ばなければならない。君と奈か、裕子さんと美咲か。どちらかを選ぶことが怖くて、私は君に何も言わず、両方を守っているつもりになりました』
実際には、どちらも分には守れなかった。
美咲はをた。
奈は父親との約束を何度も破られた。
千鶴は夫を疑いながら計を支えた。
『君がらなければならない子だといたのは、美咲が君の娘だからではありません。美咲を守るために、私は君たちのからくのを取ったからです』
雅夫は、具体なことを話し始めた。
奈の唱祭。
千鶴の母親の周忌。
結婚25周の旅。
千鶴がをした夜。
どのにも、雅夫は岡野母子の問題でいていた。
千鶴が忘れていたことまで、雅夫は覚えていた。
『君は、私がどこにいたのか聞いた。私は仕事だと言った。嘘でした』
千鶴の目から涙が落ちた。
別の女がいたからではない。
それなら許せるというではなかった。
夫は、自分が正しいと信じることのために、妻へ何度も嘘をついた。
『裕子さんがくなったあと、この部を解約しようといました。しかし、美咲の物を処分できませんでした。
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彼女が戻った、母親の声までなくなっていたら、私は度目の約束も破ることになるとったのです』
雅夫は美咲を探し続けた。
民票を正に調べることは、度としなかった。古いや支援団体へをし、消息を待った。
度だけ、美咲らしい女性が関で働いているという報が入ったが、本の希望で連絡先は教えてもらえなかった。
『きている能性はあります。ただ、戻るがあるかは分かりません』
録音は終わりにづいた。
『千鶴。君に、この部を引き継いでほしいとは言いません。賃を払い続ける必もない。物を捨ててもいい。それを決める権利は、君にあるとっています』
千鶴は涙を拭った。
決める権利。
25、何も選ばせなかった夫が、最になってい選択だけを妻へ残した。
「勝ね」
わず声にた。
テープの雅夫は答えない。
『最に、もうつ謝ることがあります』
千鶴の指が止まった。
『私は度、美咲を見つけました』
千鶴はラジカセを見つめた。
『6、彼女からが来ました』
雅夫は、美咲がきていることをっていた。
には、母親がくなったことをづてに聞いたとかれていた。美咲は結婚し、名を変え、子どももいた。
それでも母親のもとへ戻らなかった。
『彼女は、母の物は何もいらない、連絡もしないでほしいときました』
雅夫は約束を守った。
返事をさず、探すこともやめた。
ただ、を203号の机に保管した。
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