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"消えた実印" 第5話

達也の表瞬変わった。

織は、母さんのを売ったを当てにしてるんだ」

「どういうこと?」

「俺に内緒で査定を頼んでた。実印を持ちしたのも、何かするつもりだったんだろう」

の疑いが再びくなった。

やはり織はを狙っていた。

活メモも、文暮らしを続けられないと証するためにつけていたのかもしれない。

「でも、実印を持ってるなら、織さんが勝に売ることはできないんじゃない?」

由紀が言った。

「だから持って逃げたんだろ」

「話が反対じゃない? 売りたいなら、持って逃げる必ないでしょう」

達也は顔をしかめた。

「何でお織の肩ばかり持つんだよ」

「私は、分からないことを聞いてるだけ」

卓の空気が変わった。

は黙ってケーキの皿を見ている。

族のに流れる緊張をじながらも、誕くらい普通に終えたいとった。

「今は、もうその話はやめましょう」

そう言った、玄関のチャイムが鳴った。

がったが、達也が先に玄関へ向かった。

しばらくして、男の声が聞こえた。

「野さまに、配達証です」

郵便局員だった。

宛ての内容証郵便。

は、織が依頼した弁護士だった。

封筒のには3枚の文が入っていた。

1枚目には、文の実印をに保管していることがかれていた。

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印鑑は使用しておらず、弁護士事務所の庫で管理しているという。

2枚目には、その理由が記されていた。

《野さま所産について、本分な理解と同を欠いた状態で売却続きがめられている能性があるため》

が分からなかった。

「私の同を欠いた状態って、何?」

誰も答えなかった。

3枚目には、産会社の査定のコピーが添付されていた。

物件は、文んでいる

査定額は4,280万円。

依頼者欄には、

《野達也》

かれていた。

は息子を見た。

「あなたが査定を頼んだの?」

達也はすぐには答えなかった。

「説するつもりだった」

「いつ?」

「母さんが落ち着いたに」

「私のでしょう。どうして私に黙って調べるの」

「売ると決めたわけじゃない。いくらになるかっておいた方がいいとっただけだよ」

由紀が類を受け取った。

「これだけじゃない」

のページには、売買契約に必類の覧と、きのメモがあった。

《4に所者面談》

齢のため、確認は族同席》

《売却、残債理》

「残債って何?」

由紀が尋ねた。

達也の顔が変わった。

「会社の宅ローンとか、そういうな説だろう」

「どこの会社の残債?」

らないよ」

は息子の顔を見つめた。

達也は目をわせない。

幼い頃、嘘をつくも同じだった。

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蔵庫のプリンをべていないと言いながら、元にカラメルをつけていた。学で喧嘩をしても、相が先に殴ったと言い張り、母親の目を見なかった。

「達也」

は静かに呼んだ。

「何の借があるの?」

達也は答えなかった。

が震える声で言った。

「お父さん、会社辞めたんじゃないの?」

全員が美を見た。

「何言ってるんだ」

達也がい声をした。

「だって、この、お母さんと話してたでしょう。会社にはもう戻れないって」

「子どもがを挟むな」

「私、17歳だよ。で毎晩喧嘩してたら分かるよ」

の目に涙が浮かんだ。

「お母さん、お父さんの借を返すために、おばあちゃんのを売るつもりなのかって聞いてた」

は持っていた類を落とした。

織がを売ろうとしていたのではない。

止めようとしていた。

産会社の広告を隠したのも、文られたくなかったからではない。達也が何をしているか調べていたからだ。

「母さん、違う」

達也が慌てて言った。

「全部説する。会社でし問題があって、が必になった。でもを売れば、母さんだってもっと良い所にめる。俺たちも同居できる。誰も損しないんだ」

「誰も損しない?」

は息子の言葉を繰り返した。

「私が38んだを売るのに?」

なんて建物だろう」

その瞬、文で何かが切れた。

「帰って」

「母さん」

「今すぐ帰って」

達也はがった。

織に何を吹き込まれたからないけど、あいつだって隠してることがある。

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