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"帰りたくない少女と赤い車" 第5話

しかし、その声を聞いたメイの反応は、即座で、そして極めて異様なものだった。

リンは驚いてを止め、メイの様子をじっと見つめた。

メイのさな体は、目に見えてガタガタと激しく震えがったのである。

彼女は背を滑り台の壁にく押し付け、さらに奥へと逃げようとした。

メイはそこからりようとする素振りを、全く見せなかったのである。

匠はその様子を見ても、特に慌てる様子はなかった。

「メイ、帰るよ」

匠の声はくなり、真剣な響きを帯びていた。

彼は決して声を荒らげたり、鳴ったりしたわけではない。

しかし、彼は娘に向かって、無言ですっと両に伸ばしたのだ。

リンはれた所から、息を潜めてその景を見守っていた。

メイは激しく躊躇し、怯えた目で父親のを見つめている。

やがて、彼女はためらいながら、自分のさなをゆっくりとに伸ばした。

そのさな顔には、はっきりと恐怖と呼べる表く刻み込まれている。

メイはひどく嫌がるような作で、ゆっくりと滑り台の階段をりてきた。

彼女は父親のを握ることはせず、うつむいたまま匠のろに隠れた。

そのまま、父親の背に隠れるようにして、遊びていく。

リンはを追い、玄関のロッカーへと向かった。

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ロッカーのに着くと、リンはメイの鞄と筒を取りした。

「めちゃん、お荷物だよ」

リンはしゃがみ込み、メイに帰るための準備を伝った。

メイは鞄を受け取ったが、靴を履くのをためらい、を見つめてち尽くしている。

匠がそれを見て、静かにため息をついた。

「ほら、貸してごらん」

匠が靴を履くのを伝おうと、メイの元にしゃがみ込んだ瞬だった。

メイは突然を翻し、匠のから逃れるように振り返った。

そして、彼女は遊びに向かって、全力で駆けしたのである。

瞬の来事に、リンと匠は驚いて顔を見わせた。

匠はすぐにがり、軽い笑い声をげてそのの緊張を解こうとした。

「うちの子、よっぽどここが好きみたいですね」

匠はリンに向かって、困ったような笑顔を見せた。

「困ったものだ」

そう言って、彼は逃げたメイのを追って歩きした。

リンも急いでがり、を追った。

メイは遊びの入りにある、い扉のにたどり着いていた。

彼女はドアノブにを伸ばそうと、必に背伸びをしている。

しかし、そのドアノブは子供には届かないよう、わざとい位置に設置されていた。

メイの指先は、たい属のノブにあとしのところで届かない。

彼女がドアをけようと悪戦苦闘しているに、匠が背から追いついた。

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匠は無言でしゃがみ込み、メイの体を背からしっかりと抱きげた。

「嫌だ! 帰りたくない!」

メイは空をバタバタと暴れさせ、泣き叫んだ。

彼女は何度も何度も、同じ言葉を叫びながら繰り返した。

その激しい泣き声に、周囲にいたの保育士や保護者たちの線が斉に集まった。

誰もが驚き、を止めての様子を見つめている。

「いい子にするんだ。分かったね」

匠は毅然とした、しかし決して乱暴ではない声で娘に言い聞かせた。

彼は周囲の線を気にすることなく、落ち着き払っている。

「もう、おに帰らなきゃいけないなんだ」

匠はメイの背を軽くポンポンと叩いた。

「また、遊べるからね」

匠が暴れるメイをしっかりと抱き抱えているに、リンは駆け寄った。

彼女はに落ちていたメイの靴を拾いげた。

「めちゃん、靴履こうね」

リンは急いでメイのに靴を履かせるのを伝った。

作業をしながら、この状況の何かが絶対におかしいという覚に襲われた。

リンはどうしても、その吉な覚を拭いることができなかった。

何が原因でこれほどまでにじるのか、はっきりとは分からない。

リンは、公園の帰り際や事の際に、子供が激しく泣き叫ぶ姿を何度も見てきた。

子供のぐずりなど、これまで嫌というほど経験しているのだ。

しかし、今目のにいるメイのあの怯えきった表は異常だった。

単なる子供のわがまま以の、刻な何かをリンはじ取っていたのである。

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