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"帰りたくない少女と赤い車" 第6話

それでも、今のリンには確固たる証拠が何つない。

保護者である父親が連れて帰ろうとしている以、これ以介入する正当な理由はないのだ。

リンはがり、複雑ないを抱えたままがった。

に形式な挨拶を交わし、匠はメイを抱えたまま保育園の玄関をていった。

リンは閉まったガラスのドアのに、じっとち尽くしていた。

彼女の胃の奥に、たい、嫌な覚がゆっくりと沈んでいくのをじる。

匠とメイが保育園の玄関から完全に姿を消すと、リンは顔をげた。

彼女はすぐに気持ちを切り替え、待っていた別の保護者にるく挨拶をした。

リンは自分の受付デスクに戻り、パソコンのに座った。

彼女はしく到着した保護者のQRコードをリーダーでスキャンしていく。

しかし、いていても、彼女のは完全にここにあらずだった。

メイのあの異常に怯えきった顔が、目のにちらついている。

『おとは違うの』という先ほどの謎めいた言葉が、で何度もフラッシュバックした。

リンは目を閉じ、首を横に振った。

仕事に集しなければ、と彼女はく自分に言い聞かせた。

リンはその嫌な予を、の隅へと振り払おうと努力した。

彼女が識を目のの業務に向け直そうとした、まさにそのだった。

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から、誰かに肩をポンと軽く叩かれたのである。

リンはビクッとして、急いでろを振り返った。

そこにっていたのは、別のクラスを担当している同僚の保育士だった。

同僚は無言のまま、に持っていたさな物をリンのに差しした。

それは、かなり使い込まれた古いぬいぐるみだった。

「あっ」

リンはそれを見た瞬く息をんだ。

それは違いなく、メイがいつも切にしているお気に入りのぬいぐるみだった。

保育園にいる、メイはいつでも肌さずこれを持ち歩いていたのだ。

リンので、様々な来事が気に繋がり始めた。

メイは帰るのを極端に嫌がるあまり、完全にパニックになっていた。

そして、この切なぬいぐるみを、遊びに置き忘れてしまったに違いない。

先ほど、彼女が玄関から遊びへ向かって全力でそうとした理由。

それは、逃げるためだけでなく、これを必に取りに戻ろうとしていたからだったのだ。

リンは迷うことなく、同僚のからそのぬいぐるみを素く受け取った。

「ごめん、数分だけ受付を代わってくれる?」

リンは同僚の顔を見て、切羽詰まった声で頼んだ。

彼女はそう言い残すなり、すでにに向かってしていた。

「これを、めちゃんに返してこないと!」

リンは肩越しに叫んだ。

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「まだ駐にいるかもしれないから!」

同僚が驚きながらも頷き、受付のに入るのをリンは界の端で見届けた。

リンはにぬいぐるみをく握りしめ、自ドアをすり抜けた。

彼女は建物のへと急ぎ、駐の方向へ向かって全速力でった。

ると、ひんやりとした夕暮れのたい空気がリンの照った頬を撫でた。

彼女は息を切らしながら、広い駐を素く見渡した。

リンは無数のから、の親子の姿を必に探す。

幸いなことに、匠が乗ってきた赤いは、まだ所定の駐位置にまっていた。

リンが目を凝らすと、匠とメイはちょうどのドアをけ、乗り込んだところのようだった。

リンはの方へとづき、声をかけようとげた。

しかし、いたままのの窓からある声が聞こえてきた瞬、彼女のはピタリと止まった。

「おは、本当に悪い子だな、メイ」

それは、違いなく父親である匠の声だった。

しかし、先ほどまでの当たりの良い声とは全く違う。

く、酷で、の抜け落ちたような恐ろしい響きを持っていた。

「母親そっくりだ。いつも面倒ばかり起こして」

直接な暴力の言葉ではなかった。

しかし、そのややかで軽蔑しきったトーンは、リンの背筋を完全に凍らせるのに分だった。

リンは息を潜め、角になる位置にそっとを隠した。

彼女は臓をバクバクさせながら、そのからこっそりと内の様子を窺った。

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