みかん小説
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"帰りたくない少女と赤い車" 第18話

「あの……夫は、昔からあんなだったわけじゃないんです」

マイコはし声を震わせながら、ポツリポツリと話し始めた。

「結婚したばかりの頃は、全く違いました」

マイコの線がくを彷徨う。

「とても優しくて、忍耐くて……子煩悩なだったんです」

マイコは言葉を区切った。

「でも、都内のIT企業を経営していたに、職で別の女性と会ってから……全てが狂ってしまったんです」

彼女はじっと話を聞いているメイのに、優しくを置いた。

その娘の姿が、彼女に辛い過を語り続ける力を与えたようだった。

「その女性は夫のを利用し、何もかけて彼を精神に操りました」

マイコは悔しそうに唇を噛んだ。

「夫は会社に全てを注ぎ込んでいましたが、彼女は最終に会社の株式の過半数を奪い取り、彼を自分の会社から追いしたんです」

マイコは自嘲気に笑った。

「最初は、ただの浮気だとっていました。私はメイのために、彼を信じて耐えようとしたんです」

マイコの声がさくなる。

「でも、彼は私の忠告の言葉にを貸しませんでした」

マイコの声は、い痛みと悔に満ちていた。

「関係は続き、彼は完全にその女に操られていました」

マイコはリンの目を見た。

「そして、全てを失って放りされた、彼は私を激しく責めました」

マイコの目から、再び涙が溢れる。

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「私が妻として分だったから、の女に浮気するしかなかったんだと」

マイコは首を横に振った。

「それから、些細なミスで突然キレて、暴力を振るうようになったんです」

マイコは両で顔を覆った。

「私が何度関係を修復しようと努力しても、度と元の優しい夫には戻りませんでした」

リンはマイコの言葉のみにを痛めながら、静かに聞き入った。

完璧に見えた族がどのように崩壊し、今目撃したような壊れた破片だけが残されたのか。

今なら、リンにははっきりと理解できた。

マイコが辛い話を終えると、別の警察官がづいてきた。

林さん、調の作成のために」

警察官は申し訳なさそうに言った。

「娘さんと緒に、警察署までご同願えますか?」

警察官はリンの方も見た。

「勇気さんも、先ほどのスマートフォンで撮した録画データを提供していただきたいので、お願いできますか?」

マイコとリンは顔を見わせ、無言で頷きった。

マイコはメイのを優しく握りしめ、丈夫だとさせるように微笑んだ。

警察官のについて歩き、マイコは最にもう度リンを振り返った。

「本当に、ありがとうございました」

のこもった震える声で、彼女は再びげた。

「今、あなたは私たち2獄から救ってくれたんです」

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リンは2が警察両に乗り込むのを見送りながら、言葉にできない様々なが入り混じるのをじた。

自分のに向かおうとした、サイレンを鳴らして発するパトカーが目に入った。

部座席で錠をかけられ、連されていく匠の姿が見える。

瞬だけ、ガラス越しに目がった。

彼の目には、リンを震えがらせるほどのい憎悪が満ちていた。

しかし、リンはもう彼から目を逸らさなかった。

リンは自分のに乗り込み、エンジンをかけた。

警察の両に続いて、警察署へ向かう夜のす。

、彼女は今く信じられない来事を振り返らずにはいられなかった。

忘れ物のおもちゃを届けるという、保育士としての些細なから始まったことが、これほどな事態に発展するとは。

彼女は自分の直を信じ、恐怖に打ち勝ち、それに従ってした。

結果として、尊い2つの命を救うことになったのだ。

王子の静かな夜の町をりながら、その事実のみが彼女のに静かにり積もっていった。

夜はまだ、終わってはいない。

これから警察署でのい事聴取が待っている。

そして、メイとマイコに待ち受ける、傷を癒やすための困難な々をえば、程はとてもいだろう。

しかし、ハンドルを握るリンのには、確固たる使命が芽えていた。

、自分は確かに誰かの助けになれた。

メイのために、マイコのために。

そして、声なき声をげているかもしれない、の子供たちや族のために。

これからも、保育士として、として、自分にできることをし続けよう。

警察署のるいかりが見えてきた、リンはく息を吸い込んだ。

これから待ち受けることに向けて、える。

次に何が起ころうとも、自分は正しいことをしたのだ。

その確信こそが、今の彼女にとって最も切な真実であった。

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