"車に私の席はなかった" 第2話
その作り笑いは、いつのにか私の抜けない癖になっていた。
体が痛いも、が寂しいも、どうしても納得できないも。
私は波をてないように、全てを笑ってみ込むようになっていた。
変わったのは毎の事の分担だけではなかった。
いつのにか、計の活費のくを私が負担するようになっていた。
気代、代、孫の塾代の部。
の検費用や、正に親戚へ渡す産代まで。
私の財布から当然のようにていった。
直哉は困っただけ、私にをげた。
「今だけ頼むよ」
そう言っておを受け取った。
来返すからという約束が、きちんと守られたことはほとんどなかった。
それでも私は、息子の族をく責めることはしなかった。
息子が変なら助けたいし、孫が困るならしてあげたいとっていた。
たったの息子は、私にとって番い切な族だったからだ。
さい頃、をすと私のを決してさなかった甘えん坊の子だった。
初めて料をもらった、照れくさそうにさなケーキを買ってきてくれた優しい子だった。
その美しい記憶が、私を何度もこのに引き止めていた。
たくされても、私がしすればは丸く収まる。
そう自分に言い聞かせて、私は自分の居所をくしていったのだ。
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ただつだけ、私が絶対に誰にも渡さなかったものがある。
夫が残してくれたさな預と、田舎に残した古いマンションの鍵だ。
そして、こののとしてした1200万円の類だった。
直哉は何度も私に言ってきた。
「通帳をまとめた方がいい」
その度に私は曖昧に笑って断った。
「まだ自分で管理できるから」
誰もいなくなったたいので、私はゆっくりと台所へ向かった。
蔵庫をけると、朝のうちに作っておいた煮物が残っていた。
炊飯器には、族がべるはずだったご飯が保温されたままだ。
彼らは焼肉をべて帰ってくるのだから、これを見ることもないだろう。
私は畳ほどの自分の部に戻り、のセーターを脱いだ。
丁寧に畳んでベッドのに置くと、押し入れの段をけた。
そこには、数からしずつ荷物を詰めていたさなキャリーケースがあった。
着、常備薬、通帳、印鑑。
そして、切にしている夫の写真。
私が放さなかった、田舎に残した古いマンションのの鍵も入っている。
部の隅には、私がで使うためのさなテレビが置かれていた。
族がリビングで笑いっている、私はいつもこの画面を見ていた。
音が漏れないように、音量を極端にげて見るのが習慣になっていた。
そんなさな配慮すら、彼らにとっては都の良い沈黙でしかなかったのだ。
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今の言葉がなくても、私は々息子のの異常さに気づいていたのだ。
自分はもうこので、族として扱われてはいないことに。
ただ息子を捨てるような気がして、最まで決断しきれなかっただけだ。
でも今、はっきりとに私の席はないと告げられた。
分の焼肉の予約に、私の席は用されていなかった。
このには私の仕事があり、私のおがあるのに、私の席だけがない。
押し入れの奥にしまっていた、に使った引っ越し用の段ボールが目に入った。
あのはこれからのしい活に胸を弾ませて、荷物を詰めたものだ。
まさか同じ部で、こんなに静かな気持ちで荷物をまとめるが来るとはわなかった。
私はキャリーケースのファスナーをゆっくりと閉め、ちがった。
私は夫の写真をに取り、さなバッグのに入れた。
写真のの夫は、いつものように穏やかに微笑んでいた。
私は写真に向かってぽつりと呟いた。
「あなた、そろそろ帰ってもいいかしら?」
りでが震えているわけでも、しみで泣いているわけでもなかった。
私はただ、自分を粗末にしないための決断をしようとしていた。
リビングの壁掛け計が刻む秒針の音が、今のではひどくきく聞こえた。
気もつけない暗い部ので、私は、の裏から伝わるのたさをじていた。
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