みかん小説
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"車に私の席はなかった" 第6話

には、桜産という会社のロゴがきく印刷されていた。

それは付が入った、この産査定報告だった。

なぜ直哉の名義になっているこのの査定など依頼しているのか。

私はつに破れたページをパズルのようにわせ、の数字に目を落とした。

そこには築というしさを評価された、かなりい売却見込み額がかれていた。

そして類の余には、絵理の丸文字でかれた付箋が貼られていた。

「この額で売れれば、都内のタワーマンションのりる」

その文を読んだ瞬、私の全から気に血の気が引いていくのをじた。

彼らの計画は、単に私を施設に追いすことだけではなかったのだ。

私を認症ということにして施設に押し込み、その隙にこのを売却する。

私がした1200万円のもろとも、全てを現化してしいを買うつもりなのだ。

佐藤司法士が相談で言っていた、恐ろしい忠告がを駆け巡った。

「ご族があなたを認症だと主張すれば、財産の管理権を奪われる危険があります」

彼らが親戚に嘘をつき、役所に介護の申請をしていたのはそのためだったのだ。

私がまともな判断能力を失っているという既成事実を作ろうとしていたのだ。

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そうすれば、私がの返還を求めても、認症の妄だと蹴することができる。

彼らは私のおしいに入れ、私はい施設で取り残される。

の焼肉に私の席がなかったのは、単なる嫌がらせではなかった。

彼らのしい族の未来図に、初めから私の席など用されていなかったのだ。

私は査定報告を丁寧に折りたたみ、自分のキャリーケースの奥にしまった。

これもまた、彼らの悪を証する切な証拠のつになるはずだ。

計を見ると、午し回ったところだった。

私はのコートを羽織り、タクシー会社に配話をかけた。

分ほどで向かいます」

オペレーターの返事を聞き、私は玄関へ向かった。

たいり、キャリーケースの持ちをしっかりと握りしめる。

玄関のドアをけると、の凍てつくような夜が私の頬を打った。

灯ので、所の田さんがさな犬を連れて散歩しているのが見えた。

さんはキャリーケースを持った私を見て、驚いたように目を丸くした。

「はる子さん、こんな夜遅くにおかけですか?」

さんが尋ねた。

私はさく頷いた。

「ええ、し急用ができまして」

すると田さんは、周囲を気にするように声を潜めてこう言ったのだ。

「てっきり、の朝くに発されるのかとっていましたよ」

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さんは続けた。

「絵理さんが、の朝番で施設のお迎えのが来るって言っていたから」

その言葉を聞いて、私は息が止まるかとうほどの衝撃を受けた。

の朝。

彼らはの朝には、私をこのから運びせるはずをえていたのだ。

だから今、私を置いてだけで最の晩餐を楽しんでいたというのか。

私が今自分で荷物をまとめてこのる決断をしていなければ。

の朝、私は何もらないまま見らぬに乗せられていたのかもしれない。

私は田さんにくお辞儀をして、暗い夜通りへと歩きした。

角を曲がると、私が呼んだタクシーのヘッドライトがゆっくりとづいてきた。

私は振り返ることなくタクシーに乗り込んだ。

「駅へ向かってください」

私は運転に告げた。

の窓からざかるを見つめながら、私の議なほど静かに澄み切っていた。

私は追いされるのではない。

自分ので、自分のを取り戻すために発するのだ。

タクシーの内には、古い芳剤の匂いとの乾いた空気が満ちていた。

窓ガラスには、ひどく疲れた顔をした初老の女の姿がく映り込んでいる。

流れるかりを見つめながら、私は自分のの奥底にあるさを噛み締めていた。

私の最さは、たったの息子を最まで信じすぎたことだった。

夫を見送ってからというもの、直哉は私にとってこの世でだったのだ。

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