みかん小説
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"車に私の席はなかった" 第13話

すると受付係は、カルテのメモでも見たのか、しだけ声のトーンをげて言った。

「ああ、あの派な暗赤のコートを着てこられたおばあちゃんですね」

受付係は付け加えた。

「娘さんに付き添われて、元もおぼつかない様子でしたよ」

その言葉を聞いた瞬、私ので散らばっていた最のピースが完全に致した。

私には暗赤のコートなどという派着も持っていない。

だが、あのにだけは絶対に見覚えがあった。

の正、絵理の母親が私たちのに挨拶に来たに着ていたコートだ。

絵理は自分の母親にあの暗赤のコートを着せ、私の保険証を持たせたのだ。

そして自分は付き添いの娘を演じ、で青葉病院の医師を騙したのである。

内同士で裏をわせ、を病気という嘘で塗りつぶす恐ろしい計画。

私は丁寧にお礼を言って話を切り、ノートに「暗赤のコート」という言葉をした。

彼らが私を施設に追いすために用した嘘は、こうしてつずつ私ので暴かれていく。

私は証拠の類を全てつの透なファイルにまとめ、提げ庫のにしまった。

気がつけば窓のの太陽はすっかりに傾き、部にはが伸びていた。

私はがり、台所へ向かって分の簡単な夕の準備を始めた。

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さな鍋で汁を取り、所のスーパーで買ってきたしばかりの肉と野菜を煮込む。

誰かの帰りを気にすることなく、自分のためだけに作る事は議とが落ち着いた。

すき焼きの甘辛い匂いが部に広がり始めた頃、テーブルののスマホがく震えた。

また直哉や絵理からの、見苦しい言い訳のメッセージだろうか。

私はめ、濡れたをタオルで拭いてから画面を覗き込んだ。

画面に表示されていた送信者の名は、孫の美咲だった。

昨夜から度も連絡をしてこなかった彼女からの、初めてのメッセージだ。

そこにはたった言だけ、い言葉がかれていた。

『おばあちゃん、ごめん』

私はその文字を見つめたまま、しばらくくことができなかった。

謝罪の言葉のに、もうしいメッセージが続けて届いた。

『お母さんがおばあちゃんの部のものを全部ゴミ袋に入れて捨てて』

その残酷な報告に、私の胸の奥がちくりとたく痛んだ。

彼らは私の財産を奪うだけでなく、私がそのにいた痕跡すらも消そうとしているのだ。

しかし、美咲のメッセージはそれで終わりではなかった。

『でも私、これだけは隠して持ってきたよ』

その文章と緒に、枚の写真が送られてきた。

画面に映っていたのは、私が焼肉の夜、孫たちのために用していたお玉の封筒だった。

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のセーターを着て、彼らの笑顔をい浮かべながら自分の部の机に置いていたものだ。

絵理はそれすらもゴミとして捨てようとし、美咲がこっそり拾いげてくれたのだろう。

私は鍋のを止め、暗くなり始めた部でスマホを両で握りしめた。

私を完全に消しろうとするたちので、あのさな封筒だけが私のを証していた。

謝罪を受け入れることと元の活に戻ることは、全く別の問題だ。

それでも私のいがほんのしだけ孫に届いていたことが、何よりも救いだった。

私はく息を吸い込み、この証拠と事実を持って最まで彼らと戦い抜く決たにした。

スマートフォンの画面にる孫からのメッセージを、私は静かに見つめていた。

絵理に捨てられそうになったお玉の封筒を、美咲が拾いげてくれた写真。

そのさな事実は、え切った私のに確かな温もりを残してくれた。

しかし、謝罪を受け入れてあのに戻ることは、もう絶対にありえない。

私は画面を指でなぞり、ゆっくりとい返信を打ち込んだ。

「寒くなったから、体に気をつけてね」

それだけを送信し、私はスマートフォンをテーブルのに伏せた。

孫のことは今でも切にっているし、憎んでいるわけではない。

けれど、することと自分を犠牲にして利用され続けることは違うのだ。

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