みかん小説
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"車に私の席はなかった" 第17話

全てを隠蔽し、私を施設へ送り込むための最の説得をするつもりなのだろう。

「わかりました。、マンションでお待ちしています」

私はく返信を打ち、ためらうことなく送信ボタンを押した。

すぐに直哉から、印鑑を用しておくようにという指示が返ってきた。

彼らはまだ、私が何もらないれで無な被害者だとい込んでいる。

自分の元からしずつ崩れ始めている盤の脆さに、全く気づいていないのだ。

私はスマートフォンを置き、押し入れの奥から古い桐の箱を取りした。

に入っているのは、夫の葬儀のに着た仕ての良い黒い着物だった。

いつもののセーターやエプロン姿で彼らを迎えるつもりは毛なかった。

このの話しいは、私のと尊厳を取り戻すための切な儀式なのだから。

着物にを通すために、私は部の窓をしだけけ放った。

たいの空気が入り込み、桐の箱の防虫剤の匂いが部の隅々にまで広がっていく。

、この着物を着て夫を見送ったしみが静かに蘇ってきた。

あの、私はになるのが怖くて息子の甘い言葉にすがってしまったのだ。

みんなで暮らせばだという嘘を信じ、自分のもお放してしまった。

でも今は違う。

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私はもう誰の言葉にもすがる必はないのだ。

夕暮れがづき、部しずつ暗くなってきた。

私は部気をつけることも忘れ、着物の入れを黙々と続けた。

まであとしかない。

証拠は全て私の元に全に保管されている。

嘘の診断介護認定の申請産の査定、そして1200万円の振り込み記録。

さらに、私の判断能力が完全に正常であることを証する本物の診断

彼らが私を傷つけるために用した嘘の分だけ、私には彼らを追い詰めるための武器がある。

敵は、私から全てを奪い取ったと信じて疑わないままこのさな部へやってくる。

それが彼らにとってどれほど恐ろしい結末を招くことになるのか。

私は窓のに広がる暮れなずむ並みを見つめながら、く静かな呼吸を繰り返した。

の話しいの席が、今から待ちしくてたまらなかった。

の朝、私は静かにの畳を拭き清めていた。

たいで絞った雑巾が、古いイの匂いを微かに引きてる。

、この畳の狭い部に、京からで踏み込んでくる。

私は彼らを迎え撃つための台を、自分のつずつえていた。

央にあったさなちゃぶ台を、しだけ窓の方へ寄せた。

が座るには到底りないきさだが、それで構わなかった。

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私は押し入れから、夫の葬儀のに使った来客用の座布団をした。

そして台所の棚の奥から、普段は使わない湯呑みをつ取りして丁寧に洗った。

夫の親戚から結婚祝いにもらった、みのある陶器の湯呑みだ。

京のでは、私の使う器はいつも100円均の軽いプラスチックのコップだった。

この湯呑みでお茶をすことは、私が彼らを内ではなく正式な客として迎えるという表示だった。

その、テーブルののスマートフォンがく震えて画面が点灯した。

絵理からの事務でひどくたいメッセージだった。

はお茶の用など気を遣わなくて結構ですからね』

『印鑑と通帳、それに戸籍の類だけしてもらえれば、すぐに帰りますから』

そのい文章には、私をとして扱うなど微も残されていなかった。

彼らにとって私はもはや、邪魔な障害物かおを引きすための古い械なのだ。

私はそのメッセージに返信することなく、洗った湯呑みを布巾で拭きげた。

になり、私はゆり法律事務所の佐藤司法士と最の打ちわせをした。

の彼の声は、を控えた私を勇気づけるように力く、そして静だった。

京のに対する仮差し押さえの登記続きは、無事に完しています」

彼は言った。

「これであの産には、法な赤い警告の札が貼られた状態になりました」

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