みかん小説
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"車に私の席はなかった" 第20話

彼女は私をれむように見つめた。

「青葉病院の先もすぐに施設へ入るべきだと、診断いてくださったでしょう」

彼女は自分のついた嘘に完全に酔い痴れていた。

私はゆっくりと息を吸い込み、着物の袖の横に置いていたファイルにを伸ばした。

「青葉病院の診断ですか? 議ですね」

私は言った。

「私はこのつ引かず、所の内科にしか通っていませんよ」

私がそう言ってファイルから枚のを取りすと、絵理が苛ったようにで笑った。

「お義母さん、認症だから自分で言ったことすら忘れちゃってるんですよ」

私は絵理の言葉を完全に無して、取りしたをちゃぶ台の央に静かに置いた。

「これは昨、私が田内科で受けてきた認能検査の正式な診断です」

私ははっきりと告げた。

「『対象者には認能のは見られず、判断能力は完全に正常である』とかれています」

その瞬、部の空気がピタリと止まった。

絵理が慌ててを乗りし、その診断をひったくるようにに取った。

「な、何これ。こんな田舎のさな町医者のいたものなんて、信用できるわけないじゃない」

絵理は必に否定した。

「お義母さん、先を騙して適当なことをかせたんでしょう」

しかし、その声は先ほどまでの余裕を失い、微かにずっていた。

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絵理の母親も診断を横から覗き込み、信じられないというように目をしばかせた。

「そうよ。青葉病院の先の方がきな病院だし、正確に決まっているわ」

私はの見苦しい言い訳を静かに聞き流し、ただ真っ直ぐに絵理の母親の目を見据えた。

そのたい線に耐えきれず、彼女は自然に目を逸らして元をで覆った。

その、これまで腕を組んで黙っていた絵理の父親が、わざとらしくきな咳払いをした。

「まあいいでしょう」

彼は話題をすり替えようとした。

「あなたがそこまで健康だと言い張るなら、施設の話は旦保留にします」

彼はさらに言葉を続けた。

「ですが京のについては、絵理たちもしい所へのみ替えを検討しているんですよ」

彼は求した。

「あなたがていくなら、預かっているをお返ししますから、実印をしてください」

彼がそう言って話題をすり替えた、私は直哉の顔に浮かんださな違を見逃さなかった。

直哉は驚いたように顔をげ、絵理の父親を横から見つめたのだ。

「お義父さん、をお返しするって……」

直哉は戸惑った。

「あのの資は、まだ俺のローンが残って……」

直哉が何かを言いかけた瞬、絵理が夫の腕をくつねって引に黙らせた。

どうやら直哉は、絵理の実が私のをどう処理したのか、完全にはらされていないらしい。

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彼は妻の実の計画に乗せられ、ただ自分の母親を追いす汚れ役だけを担わされていたのだ。

私はその滑稽な族の力関係をややかに観察しながら、再び絵理の母親へと向き直った。

の話をするに、まずは青葉病院の嘘をはっきりさせておきましょうか」

私が静かでい声でそう告げると、絵理の母親の肩がビクッとねた。

「私は昨、役所に提されようとしていた介護認定の申請を確認しました」

私は事実を並べた。

「そして、青葉病院の受付に直接話をして、先の受診記録についても調べたのです」

絵理の顔からすっと血の気が引き、彼女は元の偽造診断から目をせなくなった。

「受付の方は、そのに来た女性のことをよく覚えていらっしゃいましたよ」

私は絵理の母親を見た。

「『娘さんに付き添われて、派な暗赤のコートを着ていた』そうです」

私がそのにした瞬、絵理の母親は喉の奥でヒッという鳴を漏らした。

絵理もまた、自分の母親を庇うように鋭い線を私に向けたが、何も言い返すことができなかった。

「昨の正、あなたがこのに挨拶に来られたに着ていた、あのコートですね」

私は続けた。

の健康保険証を使って病院を受診し、嘘の診断を作らせる」

私は酷に言い放った。

「それがどれほどい罪になるのか、まさか産会社の社がごないわけではありませんよね」

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