"「洗剤を入れた嫁」にされた私" 第4話
おすすめ作品
-
完結第12話
3万円を払った元タクシー運転手
雨の月命日、64歳の笠原和子は、夫の墓参りへ向かうため一台のタクシーに乗った。 目的地まではわずか5kmほど。ところが運転手はメーターを動かさず、遠回りをした末に、霊園の前で「料金は3万円です」と告げる。 相手は足の悪い高齢女性。文句を言えず、泣き寝入りするとでも思ったのだろう。和子はその場では静かに3万円を支払い、何も言わずに車を降りた。 しかし、運転手は知らなかった。 後部座席に座っていたその“おばあちゃん”が、40年間タクシーとハイヤーの運転席に座り続けてきた元プロの運転手だったことを。 そして彼の声も、名前も、車両番号も、すべて記録されていたことを。 翌日、和子が正式に動き出した時、悪質な運転手と会社が隠してきた過去が少しずつ明らかになっていく――。真相|金銭問題1.8万字5 0 -
完結第10話
臨月の妻に親族30人分の法事料理を作らせていた母
臨月を迎えた妻を家に残し、出張へ出ていた夫。ところが予定より3日早く帰宅すると、台所には親族30人分の料理が並び、その横で妻が床に倒れていた。事情を聞けば、母は翌日の法事のために「嫁なんだから当然」と、身重の妻へ朝から料理を作らせ続けていたという。怒鳴りつけてもおかしくない状況だった。それでも夫は母を責めなかった。ただ妻を抱き上げ、病院へ向かう前に静かに告げる。「法事は予定通りやっていい」。母が安心した次の瞬間、夫は続けた。「ただし明日は、俺たち夫婦は一切参加しない」。その一言を境に、母が長年“家族のため”と押しつけてきたものが、次々と返され始める。嫁姑|親子関係1.5万字5 2232 -
完結第23話
山に捨てられた妻は立ち上がる
建築会社の社長・鈴木佳奈は、工事現場から転落し、体を動かせないまま入院生活を送っていた。献身的に支える夫・健二は、周囲から理想の夫と称賛されている。だが夜になると、彼は佳奈の実印を持ち出し、署名を偽造し、愛人と会社や不動産を奪う計画を進めていた。さらに佳奈は、真夏の山中へ自分を置き去りにする相談まで耳にする。誰にも意思を伝えられないと思われていた彼女は、密かに回復しながら証拠を集め始める。夫婦22年の信頼を利用した計画の奥には、最初の転落事故へつながる秘密も隠されていた。因果応報|人生逆転|夫婦3.4万字5 239 -
完結第12話
留守番を命じられた妻
父が遺した築43年の家で、夫・浩司と義母・和子に尽くしてきた52歳の由美子。和子の喜寿を祝う2泊3日の温泉旅行を予約し、32万円を用意したのも彼女だった。ところが出発直前、「車が狭いから留守番ね」と置き去りにされる。後部座席の見知らぬ鞄、妊婦向けプランに変えられた予約、消えた実印。夫と義母は、妊娠した若い愛人を迎え、由美子の父の家まで奪おうとしていた。しかし2人を笑顔で見送った由美子は、すでに登記事項証明書と偽造書類を揃え、静かな反撃を始めていた。人生逆転|嫁姑|不倫1.8万字5 764 -
完結第10話
仕送り10万円の行方
父が毎日お茶漬けばかり食べていると知り、美幸は胸がざわついた。 毎月10万円、父のために仕送りしているはずだった。けれど父は、不思議そうな顔でこう言う。 「仕送り? 俺は一円ももらってないぞ」 慌てて銀行へ確認しようとしたその瞬間、そばにいた夫・武志が青ざめ、ガタガタと震え出した。 消えていた毎月10万円。 父の口座ではない振込先。 そして、夫と姉が密かに会っていた理由。 ただの仕送りトラブルだと思っていた出来事は、やがて夫の失職、姉の借金、義母の裏切り、そして家族ぐるみの嘘へとつながっていく。 信じていた家族の本当の顔を知った時、美幸が選んだ答えとは――。夫婦|親不孝|孤獨|金銭問題1.5万字5 945 -
完結第13話
夫の赴任先にいた「妻」
夫の単身赴任先を訪ねた美玲を迎えたのは、見知らぬ若い女性だった。 「うちの主人のお友達ですか?」 その一言で、2年間信じてきた結婚生活は音を立てて崩れ始める。夫・隼人は、赴任先で別の女性と暮らし、彼女には「妻とはもう終わっている」と話していた。 しかし、美玲が知ることになる夫の秘密は、不倫だけではなかった。 義母の介護を理由に仕事を辞めさせられ、義実家で“嫁”として家事と介護を背負わされていた美玲。そんな中、義母の部屋に設置されていた見守りカメラが、夫の人生を揺るがす決定的な会話を記録していた。 妻として、嫁として、都合よく扱われ続けた美玲が、最後に取り戻したものとは――。夫婦|修羅場|不倫2.0万字5 647 -
完結第11話
消えた神童、10年後の手紙
2001年秋、北陸の小さな町で、サッカーの才能を持つ10歳の少年・立花陸が、父・剛とともに突然姿を消した。 数日後、海辺の岸壁で見つかった白いバン。車内には父の作業服と、陸のスパイクが片方だけ残されていた。やがて町では、「父が息子を連れて海へ入ったのではないか」という噂が広がり、母のゆみ子は長い孤独と偏見の中で10年を過ごすことになる。 しかし、失踪から10年後。 ゆみ子のもとへ、ドイツから一通の手紙が届く。 そこに書かれていたのは、信じられない一文だった。 「私の名前は陸です。ドイツで暮らしています」 海に消えたはずの息子は、なぜ異国で生きていたのか。車に残された片方のスパイクは、本当に陸のものだったのか。そして、父・剛が最後に守ろうとしたものとは何だったのか。 10年前に見落とされた小さな違和感が、封じられていた事件の真相を少しずつ暴き出していく――。ミステリー|真相1.7万字5 126 -
完結第12話
消えた妻と13本のテープ
1997年10月、島根の山あいの町で、32歳の主婦・松本千鶴が同窓会へ向かったまま姿を消した。 夫は「昔の男と逃げたのではないか」と語り、届け出は3日遅れた。会場に千鶴が来ていたかどうかも証言は食い違い、唯一の手がかりだった防犯映像はすでに上書きされていた。 母に捨てられた娘として成長した栞。だが、千鶴を忘れられなかった人物がもう1人いた。かつての担任教師・川井は、毎年10月4日になると、存在しない住所からラジオ局へ同じ曲をリクエストし続けていた。 そして13年後、孤独死した川井の遺品から、1997年から2009年までの年号が書かれた13本のカセットテープが見つかる。 そこに残されていたのは、千鶴が消えた夜を知る男の、あまりにも遅すぎる告白だった。 同窓会の夜、千鶴は本当にどこへ向かったのか。なぜ元担任は13年間も沈黙したのか。 「母は私を捨てたのではない」――娘がその真実に辿り着くまでの、13年越しの記録。ミステリー|真相1.8万字5 2060 -
完結第10話
12年前も、彼が犯人だった
毎週月曜日、会社の金庫から1万円だけが消える。 疑いを向けられたのは、土曜の夜に出入りしていた無口な清掃員・佐々木誠だった。ロッカーからは、消えた金額と同じ3万円が見つかり、誰もが彼を犯人だと思い始める。 しかし、44歳の配送主任・高瀬直人だけは、その状況に違和感を覚えていた。 本当に金庫から金は盗まれたのか。なぜ清掃員は何も説明しようとしないのか。そして、12年前の古いタイムカードに残されていた佐々木の名前。 調べるほどに、消えた1万円は過去の事故と、会社が長年隠してきた“ある責任”へとつながっていく。 犯人を作れば、会社は楽になる。 その言葉の意味を知った時、直人は信じていた上司と、12年前の自分自身に向き合うことになる――。真実|裡の顔|修羅場1.5万字5 278 -
完結第10話
「無職の父」と呼ばれた6年間
「無職のあなたに、病気のある子どもを育てられると思う?」 妻・美咲からそう言われた佐伯公平は、言葉を失った。10歳の息子・悠人は、4歳の頃から1型糖尿病と向き合っている。血糖値の確認、食事管理、通院、学校との連絡――そのすべてを6年間支えてきたのは、公平だった。 しかし妻は、安定した収入を理由に息子を連れて出ていこうとしていた。さらに、悠人にはすでに新しい部屋や転校の話まで伝えられていた。 父親として過ごしてきた時間は、「無職」という一言で消されてしまうのか。 公平は、6年間の連絡帳と医療記録を手に取る。そこには、誰にも見えなかった父と息子の日々が残されていた。 親権をめぐる争いの中で明らかになる、夫婦のすれ違い、息子の本当の気持ち、そして“家族”の形。 これは、父親として生きてきた時間を取り戻すための、静かな戦いの物語。人生逆転|夫婦|親子関係1.5万字5 318