みかん小説
本棚

"葬儀代10万円を拒んだ叔父――17年後、空の封筒を持って私は戻った" 第8話

この町の法律

「説すれば、本当に2000万円を払うんだな?」

健造はのケースから目をさないまま尋ねた。

「説に問題がなく、法効な請求なら」

私はあえて条件を繰り返したが、健造は半しか聞いていなかった。若い男に庭のを閉めさせると、私の隣へ子を引き寄せ、契約を指でたたいた。

109%は、最初からうちの決まりだ。に断られた連してやるんだから、それくらい取って当然だろう。返せない奴からはをもらう。今まで全員、それで片づけてきた」

「今回だけではない、と?」

「当たりだ。この町でを始める奴も、病院代に困った奴も、最は俺のところへ来る。まともなに相にされないが、契約の細かい字まで読めるとうか?」

健造は嫌よく笑った。私のスマートフォンは着の胸ポケットで録音を続けている。私は表を変えず、産譲渡承諾線を落とした。

胸の奥では、に倒れた15歳の自分が今にもしそうになっていた。しかし、健造に必なのは鳴り声ではない。自分が全だとい込み、どこまで悪事を話したか悔する瞬だ。私は呼吸をえ、さらに無持ちを装った。

「このは、別の業者なら約2800万円と査定しています。それをなぜ1000万円にしたのですか」

「値段なんて買う側が決めるものだ。

広告

を壊して2区画に分ければ、計3500万円で売れる。解体費を引いても分残る」

「その利益を得たうえで、佐藤さんには残り1000万円を請求する」

「保証なんだから当然だろう。息子が逃げた分まで、親が体で払うんだよ」

子に座る佐藤さんが、コートのく握った。自分のを奪う計画を、健造本から聞かされたのだ。私は佐藤さんのち位置をずらし、健造の線から隠した。

「直さんが支払った420万円は、なぜ元から差し引かれていないのですか」

「こっちが数料だと言えば数料になる。帳簿のつけ方まで借りた側がすな」

「では、契約の別に受領印がない理由は?」

で差し替えたからに決まってるだろう。あいつはを受け取った点で、もう俺に逆らえないんだ」

若い男が青ざめ、「社、そこまで話さない方が」と健造の袖を引いた。健造はそのを振り払い、私へを乗りした。

閉じられたのそばで、若い男は何度も携帯話を確認していた。助けを呼んだつもりらしい。だが私の画面にも、鈴から「音声受領。田刑事へ共済み」と返信が届いていた。健造が自を続けるほど、逃げつずつ消えていく。

「お持ちなら分かるはずだ。い奴から取れるに取る。それが商売だ。警察だろうが役所だろうが、証拠がなければ何もできない」

私はをケースへ戻した。

「なるほど。よく分かりました」

「だったらく払え」

「最に1つだけ。あなたは、法律に違反しているとはわないのですか」

健造はがり、私の胸元を指で突いた。

「この町では、俺の言うことが法律なんだよ」

その言葉まで録音されたのを確認し、私はポケットので送信ボタンを押した。位置報と音声ファイルが鈴へ共される。

、閉ざされたの向こうから、いエンジン音がづいてきた。1台ではない。砂利を踏む音が3台分、佐藤で同に止まった。

健造は勝ち誇ったように笑った。

「遅かったな。俺のが来たぞ」

しかし私は、のケースを鞄へ戻しながら静かに答えた。

「ええ。待っていたたちが、ようやくそろいました」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: