"ATMで呼ばれた「奥様」" 第12話
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完結第11話
「昔みたいに頼むよ」と元夫は言った
離婚から6年後、48歳の真紀は、介護付き有料老人ホーム《こもれび館》で、元夫・隆弘と元姑・澄江に再会した。 かつて澄江の介護を押しつけられ、仕事まで辞めた真紀。しかし離婚後に資格を取り、今では施設運営責任者として、職員の勤務や入居契約、事故対応を統括していた。 それでも2人は、真紀を見て「まだ老人の世話をしているの」と笑い、昔のように澄江の介護を任せようとする。真紀は身内だった立場を理由に入居判定から外れ、公平な手続きを進めようとした。 ところが提出された入居相談票には、真紀が知らないうちに、緊急時の《主介護者》として現在の携帯番号まで記されていた。 誰が、離婚後に変えた番号を調べ、本人の同意なく介護者に指定したのか。調査を進めるうち、元夫がこの施設を選んだ本当の理由と、澄江にも知らされていなかった計画が明らかになっていく――。嫁姑|夫婦|介護1.6万字5 35 -
完結第12話
離婚したら140万円の請求が来た
結婚して7年。待ち望んだ妊娠が分かったさやかは、夫の勇気へ知らせるため、体調の悪さをこらえながら豪華な夕食を用意した。 ところが、義姉から「夫のお金を浪費している」と責められても、勇気は妻をかばおうとしなかった。それどころか、さやかが「自分のお金で買った」と反論しただけで、彼はあっさり告げる。 「そんなことを言い続けるなら、離婚しよう」 さやかは離婚を承諾し、初めて妊娠を伝えたうえで、その日のうちに実家へ戻った。すると3日後、これまで彼女が負担してきた義姉の息子の塾代、約140万円の請求書が勇気のもとへ届く。 慌てて支払いを求める夫に、さやかは静かに告げた。「もう私とは関係ありません」。しかし彼らはまだ知らなかった。さやかが3年前から、義姉への送金記録と、家族の会話を記録した音声を残していたことを――。兄弟姉妹|絶縁|金銭問題1.7万字5 500 -
完結第13話
一枚のタダ券から始まった家族
夫を亡くし、家賃も食費も尽きかけていた早苗は、5歳の娘・歩美を連れ、冷たい雨の町をさまよっていた。 道端で拾った「唐揚げ1個サービス」の券を握り、閉店間際の《川村食堂》を訪れた早苗。ところが店主の健一は、券の使い方を間違えている彼女を追い返さず、母娘の前に大盛りの唐揚げ定食を置いた。 さらに健一夫婦は、行く場所のない2人を食堂の2階へ住まわせることにする。しかし案内された部屋には、色鉛筆や子ども服、若い夫婦と少女が写った古い家族写真が、暮らしていた当時のまま残されていた。 写真の裏に書かれていた少女の名前は、早苗の娘と同じ「歩美」。しかもその部屋は、健一夫婦が10年間、誰にも使わせずに守り続けてきた場所だった。 なぜ君子は初対面の少女を見た瞬間、「歩美ちゃん」と呼んだのか。雨に濡れた一枚の券から始まった母娘との出会いが、帰らない家族を待ち続ける老夫婦の止まった時間を動かしていく――。人生逆転|真相2.0万字5 288 -
完結第15話
妻の葬儀で老犬が暴いた秘密
妻の葬儀から3日目の夜、元自衛隊三佐の石田隆は、老犬・小太郎の異様な行動に息をのんだ。 後飾り祭壇へ飛びかかった小太郎。その拍子に倒れたろうそくの火が白布へ燃え移り、祭壇の下に隠されていた不自然な床板が露わになる。 そこから見つかったのは、妻・幸子が大切にしていたはずの花瓶と、身に覚えのない不動産書類だった。 階段からの転落事故として片づけられた妻の死。だが、弟夫婦との金銭トラブル、土地を巡る不可解な要求、そして幸子が亡くなる直前に残していた「大丈夫」という言葉が、少しずつ別の意味を帯びていく。 妻は本当に事故で亡くなったのか。 老犬が暴いた床下の秘密をきっかけに、隆は妻が最後まで守ろうとしていた家と、葬儀の陰で隠された真実を追い始める――。夫婦|真相|金銭問題2.2万字5 4000 -
完結第11話
合格発表の日、父は消えた
2003年3月8日、19歳の佐伯千春は第一志望の大学に合格した。ところが、その夜に祝うはずだった父・正雄は、勤務中のタクシーと黄色いチューリップだけを残して姿を消す。 車内には千春の合格通知書があり、料金メーターに残された最後の走行距離は43キロ。しかし、なぜか運賃は「0円」だった。さらに父のロッカーからは、《千春には大学を諦めてもらうしかない》と書かれたメモまで見つかる。 多額の借金を知った千春は進学を断念し、父に捨てられたという思いを抱えたまま20年を生きてきた。 2023年、廃業したタクシー会社の倉庫から、父が最後に運転した27号車が発見される。壊れた料金メーターを解析すると、正雄が失踪前の18か月間、毎月同じ施設から同じ乗客を乗せ、東京まで運んでいた記録が残されていた。 そして後部座席から見つかったのは、《佐伯千春》と印刷された一枚の生徒証。しかし、そこに写っていた少女は千春ではなかった。父はなぜ、見知らぬ少女へ娘と同じ名前を与え、合格発表の日に彼女を乗せたのか――。ミステリー|真実|真相1.6万字5 0 -
完結第17話
葬儀代10万円を拒んだ叔父――17年後、空の封筒を持って私は戻った
1996年、15歳の黒川大樹は、母の葬儀代10万円を借りるため叔父・健造の屋敷で土下座した。しかし健造は大樹を泥へ蹴り落とし、父方の親族も全員背を向ける。救ってくれたのは、貧しい隣人・佐藤正一が差し出した茶色い封筒だった。母の遺品から、健造による借金と不動産取得の記録を見つけた大樹は、証拠を抱えて町を離れる。17年後、上場企業の社長となった大樹のもとへ、75歳の佐藤に2000万円が請求されているとの知らせが届く。故郷へ戻った彼が目にしたのは、泥の中で叔父に踏みつけられる恩人の姿だった。親子関係|金銭問題2.2万字5 1043 -
完結第12話
愛人とタイへ行った夫の10日後
夫の浩司は「タイ出張」と言い残し、10日間家を空けた。 その間、寝たきりの義母の介護を任された由美は、いつものように暴言と呼び鈴に追われる日々を送るはずだった。だが、夫のスマートフォンに残された一通のメッセージから、出張が嘘だったことを知ってしまう。 浩司は若い愛人と海外旅行へ行き、しかも由美の父が残した遺産まで使い込んでいた。 さらに書斎の奥から見つかったのは、すでに署名された離婚届と、愛人からのピンク色の便箋。そこには、由美を介護要員として使い捨てる計画が書かれていた。 28年間、妻として嫁として耐え続けてきた由美は、その日初めて家を出る。 そして10日後。 何も知らずに帰国した浩司を待っていたのは、由美が静かに整えた反撃の場だった――。因果応報|夫婦|不倫|熟年離婚1.8万字5 1382