"卒業3か月前に消えた娘" 第9話
誰にも話すな。
蓮子は拒否した。
《内だからこそ、見なかったことにはできないと言いました》
その、誰かにつけられているようにじるようになった。
のくに同じを見る。
取材先から帰ると方をついてくる。
話を取ると無言で切れる。
そしての最。
《もし私のに何か起きたなら、私が望んでいなくなったのではありません》
《資料を確認してください》
《どうかお願いします》
川崎は読み終えたあと、いを置けなかった。
6。
ファイルを初めていたから抱えてきた疑問。
叔父のすぎる目撃証言。
消えた卒論資料。
図。
補償。
11個の「?」。
その向こう側から、ようやく蓮子自の声が届いた。
達夫に対する捜査は最終段階へ入った。
吉田は正式に供述を改めた。
199511、達夫との会議は午2頃には終わっていた。
そのは別だった。
「6は、なぜ夜まで緒だったと言ったんです?」
「頼まれました」
「いつ?」
「蓮子さんがいなくなってからです」
達夫は吉田へ、
《あのは夜まで緒にいたことにしてほしい》
と頼んだ。
吉田自も関係の仕事で達夫から便宜を受けたことがあり、断れなかったという。
佐藤の目撃証言。
濃紺の。
自然な入。
消された政文。
帳。
蓮子が残した2組の資料。
そして図館の封筒。
証拠はつの流れを作っていた。
広告
再び事聴取を受けた達夫は、以と同じ表で否認した。
「は蓮子が勝にい込んでいたものです」
「あなたは資料を渡せと言った」
「言っていません」
「吉田さんは供述を変えました」
達夫の目が瞬いた。
「彼が何を言ったかはりません」
川崎は向かいに座った。
6なら、この男を追い込めただろうか。
何度考えても答えは同じだった。
当は材料がりなかった。
達夫は慎だった。
族のでは優しい叔父。
警察には積極に協力する親族。
兄が入院すればをし、姪のためにを持ってくる。
その方で、自分に向けられる疑いを避ける準備だけは怠らない。
は善か悪か、どちらか方の顔だけできているわけではない。
そのことが川崎には最も恐ろしかった。
2002、裁判が始まった。
父の茂と母のすみ子は傍聴席に並んで座った。
茂は杖を両で握り、すみ子は黒い鞄を膝に置いて正面だけを見ていた。
蓮子の学代の友。
結教授。
佐々。
くの関係者が法廷へを運んだ。
弁護側は、蓮子のは方な推測に過ぎないと主張した。
《処理が必》という帳の言葉も、殺をするとは限らない。
いが経過したことで直接な物証が乏しいことも、争点になった。
方、検察側は個々の証拠が連鎖していることを示した。
広告
補償を巡る自然なの流れ。
原本だけが抜き取られた政文。
達夫の自然な入。
失踪の1かにかれた帳。
偽装されたアリバイ。
蓮子が2か所へ分けて残した資料。
裁判で最も静かになったのは、蓮子のが読みげられただった。
《叔父だからこそ、違っているなら止めてほしいといました》
《でも叔父は、私に資料を捨てるよう言いました》
《私は断りました》
すみ子は唇を噛んだ。
結教授は目を閉じた。
佐々はを向いたままかなかった。
そして、
《もし私のに何か起きたなら、私が望んでいなくなったのではありません》
という最の文が読まれた。
達夫はずっと正面を見ていた。
ただ、その言葉のだけ度瞬きをした。
吉田も証言台にった。
「さんに頼まれました。夜まで緒だったことにしてほしい、と」
「見返りは?」
検察官が聞く。
吉田は達夫を見なかった。
「そのの仕事で、便宜を図ってもらいました」
武田も帳を提した経緯を証言した。
「なぜ6捨てなかったんです?」
「自分でも分かりません」
武田は答えた。
「ただ、捨ててはいけない気がしました」
佐々が証言台へった、法廷の空気はさらにくなった。
「さんから何と言われましたか」
「3以内に来なかったら警察へ届けてほしい、と」
「届けましたか」
「いいえ」
「なぜ?」
佐々はい黙った。
「怖かったからです」
「そのまま6?」
「はい」
声が震えた。
「も忘れたことはありませんでした」
広告
おすすめ作品
-
完結第22話
「慰謝料500万円」ママ友が出した弁護士の名刺に驚愕
夫を亡くし、九歳の娘すももを一人で育てる弁護士・水瀬ひまり。ある日、投資で多額の借金を抱えたママ友の香織から、突然「夫との浮気の慰謝料500万円を払え」と迫られる。 証拠として突きつけられたのは、身に覚えのないLINEと、弁護士を名乗る男の名刺。ところが、その名刺には、ひまり自身の名前が記されていた。 偽りの請求、広がる不倫の噂、そして娘の学校生活にまで及ぶ嫌がらせ。ひまりが証拠を集め始めると、思いもよらない金銭トラブルが浮かび上がる。母として、弁護士として、彼女が下す決断とは――。怒り|裡の顔|真相|第二の人生|金銭問題2.8万字5 552 -
完結第21話
妹の手術前に「家族やめれば?」――私はドナーを辞退した
幼い頃から父と継母に冷遇され、妹・直美の引き立て役として育った広美。家を出て新体操の夢を追っていた彼女は、重い肺の病気を患う妹を救うため、生体肺移植のドナー候補になることを決意する。 ところが手術前の食事会で、広美の席だけが用意されていなかった。 「なんで来たの? 家族やめれば?」 妹の冷酷な一言をきっかけに、広美は臓器提供を辞退する。さらに病院で見つかったのは、身に覚えのない署名がされた同意書だった。 家族の裏切りと隠された不正に向き合い、広美は自分の人生と夢を取り戻せるのか。怒り|兄弟姉妹|真相|親子関係2.9万字5 708 -
完結第12話
昭和39年、給食費泥棒にされた少女
昭和39年、村の小学校で給食費9,600円がなくなったと騒ぎになり、11歳の岸田和子は担任から泥棒だと決めつけられた。無実を訴えても信じてもらえず、和子は転校を余儀なくされる。それから35年。廃校となった母校で古い出納簿を見つけた和子は、問題の給食費が事件の二日前に全額入金されていたことを知る。なぜ教師は、なくなっていないお金を盗んだと少女を責めたのか。食数の合わない給食記録、突然退職した調理員、沈黙する元同級生。忘れられた帳簿を手がかりに、和子は35年間隠されてきた学校の秘密を追い始める。時代|歴史|昭和|真相3.1万字5 298 -
完結第12話
昭和44年、終電後に消えた駅員――28年目に見つかった記録
昭和44年、長野県の小さな駅で働く杉原修一は、最終列車を見送った夜、8万6,400円の現金とともに姿を消した。父を泥棒と呼ばれながら育った娘の美緒は、28年後、取り壊しが決まった駅舎で古い駅務日誌を発見する。そこには、父が終電の55分後、赤いランプを持って七号橋へ向かったという不可解な記録が残されていた。運休したはずの貨物列車、書き換えられた帳簿、沈黙を守る関係者たち。父はあの夜、何を知り、なぜ帰ってこなかったのか。昭和の小駅に封じられた28年間の謎を追う、家族と真実の物語。時代|歴史|昭和|ミステリー|真実2.9万字5 253 -
完結第12話
雨宮停留所の黄色い傘
私は六十二歳。幼いころから、ときどき人には見えない姿や声を感じることがある。 山梨の小さな町で叔母の家を片づけていたある雨の日、廃止された停留所の水たまりに、黄色い傘を差した少年が映った。 そこで出会った老女は、四十年近く前に失踪した息子を今も待ち続けているという。 「まだ帰れない」 少年が残した言葉を手がかりに調べ始めると、破り取られたバスの運行日誌、隠された手紙、そして家族が長年伏せてきた秘密が浮かび上がる。 あの少年は、いったい何を伝えようとしているのか。日常ホラー|ミステリー|真相|親子関係2.2万字5 199 -
完結第12話
母の葬儀写真に現れた女――銀の花に隠された秘密
幼いころから、人には見えないものが見える紀子。62歳になった彼女は、87歳の母を亡くした葬儀の日、誰も立っていなかったはずの場所に、黒い服の女が写っていることに気づく。女の胸には、銀色の花のブローチ。さらに母の遺品から、見知らぬ女性との古い写真と、秘密の子どもについて書かれた手紙が見つかった。生前、母が繰り返し呼んでいた「千恵子さん」とは誰なのか。そして、棺のそばで聞こえた「あの子はまだ生きてる」という声の意味とは。葬儀写真に残された不可解な影が、半世紀以上封じられてきた家族の秘密を呼び覚ます。日常ホラー|真相|親子関係2.2万字5 332 -
完結第14話
同窓会でビールを浴びた私に、51人の男が最敬礼
中学卒業から十五年。貧しい母子家庭で育ち、いじめに耐えてきた梅本瑞江は、故郷の同窓会に姿を現した。上品な大島紬をまとった彼女を見て、かつてのいじめの主犯・熊切勢子は激怒。友人の借金を盾に保証人になるよう迫り、ついには瑞江の頭からビールを浴びせてしまう。 さらに勢子は、暴力団組長である夫の力を使い、瑞江を脅そうとする。しかし、連れ込まれた奥の宴会場で、誰も予想しなかった光景が待っていた。 十五年前に見下されていた少女が隠していた、驚くべき現在の姿とは――。人生逆転|真相|第二の人生|修羅場2.0万字5 1779 -
完結第13話
疎開から戻った娘が、再び村へ帰りたがった理由
昭和二十年の秋。戦争で夫と家を失った文江は、集団疎開から戻った十二歳の娘・幸子と、焼け跡の東京でようやく再会した。 ところが三日後、娘は突然「あの村へ帰りたい」と言い出す。母との暮らしを喜んでくれると思っていた文江は、深く傷ついた。 やがて娘の行李から見つかった一通の手紙。そこには、長野の農家で暮らす九歳の少女・千代との、切実な約束が隠されていた。 自分たちの生活さえ苦しい母娘は、その約束にどう向き合うのか。戦後の厳しい暮らしの中で、家族の絆と本当の居場所を見つめ直す、心温まる物語。時代|歴史|昭和|ミステリー|親子関係2.8万字5 170 -
完結第13話
昭和21年、米を没収された母が引き返した理由
昭和21年秋、食糧難の大阪。三人の子どもを育てる森川澄子は、大切な着物と引き換えに手に入れた二升の米を、買い出し列車で警察に取り上げられてしまう。途方に暮れる母へ、十歳の息子が告げたのは、米袋の中に隠された小さな鉄の箱の存在だった。次の駅で引き返し、警察に事情を話した澄子。しかし、その箱に刻まれた三本の稲穂の印は、母子寮から消えた救援物資と、夫が隠していた仕事の秘密へとつながっていく。家族の生活さえ脅かされる中、一人の母親がたどり着く真実とは――。時代|歴史|昭和|真相2.7万字5 201