昭和21年秋、食糧難の大阪。三人の子どもを育てる森川澄子は、大切な着物と引き換えに手に入れた二升の米を、買い出し列車で警察に取り上げられてしまう。途方に暮れる母へ、十歳の息子が告げたのは、米袋の中に隠された小さな鉄の箱の存在だった。次の駅で引き返し、警察に事情を話した澄子。しかし、その箱に刻まれた三本の稲穂の印は、母子寮から消えた救援物資と、夫が隠していた仕事の秘密へとつながっていく。家族の生活さえ脅かされる中、一人の母親がたどり着く真実とは――。
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