"夜勤明けに締め出された私――15分後の「さようなら」" 第5話
病院まで来た2
「柏さん、ご族が1階にお見えです」
勤の休憩に入ったところで、相馬師に呼び止められた。義母と拓也が受付に来て、私の勤務を決めるに会わせてほしいと言っているらしい。
胸元の名札に触れた。婚の話をするために依頼した弁護士の事務所と、ここは違う。のまま、の揉め事に呼びされるのが嫌だった。
「会いたくなければ、そう伝えるけど」
「私から話します。また来られると困るので」
師とりると、受付脇の子に2が並んでいた。義母は私を見るより先にちがり、師へをげた。
「お忙しいところ申し訳ありません。嫁のことで、ご相談がありまして」
その声を聞いて、私はを止めかけた。で使う声とは違った。義父が帰省した朝、私に休むよう勧めると同じ声だった。
案内されたさな面談で、義母は膝に鞄を置き、事を説し始めた。
「夜勤をやめさせていただきたいんです。のこともありますし、このままでは夫婦の活が成りちませんから」
「私は希望していません」
義母の言葉が途切れた。師は私を見てから、2に向き直った。
「勤務については、ご本と相談して決めています。ご族のご希望だけで変更することはありません」
「本がになっているんですよ。族がここまで頼んでいるのに」
広告
義母は笑おうとしたが、元だけがいた。拓也が隣で頷いている。
「どうして、そんなに夜勤をやめさせたいんですか」
私が聞くと、義母は当たりだという顔をした。
「お父さんが戻ってくるでしょう。そうなったら、また夜勤けだから寝かせてやれって言うのよ。今のうちに勤だけになってくれれば、のことも落ち着くじゃない」
私は子の肘掛けに置いていたを引いた。
半ほどで義父が戻る。それは私が頼りにしていた予定だった。義母も同じ予定を数え、そのに私の働き方を変えようとしていた。
「夜はにいてくれるし、私が具を悪くしただってでしょう。護師さんなんだから」
義母は師に同を求めるように言った。師は答えず、私が話すのを待っていた。
「必な助けがあるなら、そのに相談してください。私の仕事を、私に断りなく決めないでください」
「族なのに、いちいち頼まないといけないの?」
その言葉で、私がこれまで返事を求められなかった理由が分かった。事も洗濯も、将来の世話も、するかどうかを尋ねる必のない仕事にされていた。
私は拓也を見た。
「あなたは、のことを何を引き受けるつもりなの」
「俺は帰りが遅いからさ。おが勤だけになれば、母さんも文句を言わなくなるだろ」
「それで、あなたは?」
広告
拓也はをつぐみ、壁の計を見た。私は、彼の帰宅にわせて温め直していた夕をいした。べ終わるのを待ち、皿を洗い、翌朝の米を用する。その、彼は居から度もたなかった。
「2で話して、これが番いいって決めたんだよ」
「その2に、私は入っていません」
隣の子で師が帳を閉じた。私は体をそちらへ向け、はっきり伝えた。
「今の勤務を続けたいです。変更が必になったら、自分で相談します」
「分かりました」
師の返事はかった。それで、私の仕事の話は決まった。義母がさらに何かを言いかけたが、師は、職員の勤務についてこれ以族との話しいはしないと伝えた。
部をると、拓也がろから声で言った。
「職のので、そこまで言わなくてもいいだろ」
「ここへ来ると決めたのは、あなたたちです」
私はを止めずに答えた。エレベーターので師と並ぶと、膝に力が入らなくなっていることに気づいた。
「すみません。病院にまで」
「今の希望は、ちゃんと聞いたからね」
扉がき、師が乗り込んだ。私はを追い、階数のボタンを押した。病棟へ戻ると輩が私を見つけ、午の退院説について確認してきた。話を聞いているうちに、呼吸が普段の速さへ戻っていった。
休憩の残りでめたお茶をみ、携帯をいた。
義母からLINEが届いていた。
《勤務のことはもう結構です。でも来1の10万円は忘れないでちょうだい》
広告
おすすめ作品
-
完結第18話
結婚初夜、義母を助けた私を殴った夫の誤算
結婚初夜、夫の実家で義父が義母の首を絞める現場を目撃した公認会計士の直美。助けようとした彼女を、信じていた夫・翔太は平手打ちし、「見て見ぬふりを覚えろ」と命じた。直美は義母を病院へ運ぶが、夫一家は弁護士と金の力を使い、彼女の口を封じようと動き始める。そんな中、義母が密かに託していた記憶装置が見つかった。嫁姑|絶縁|親子関係|介護4.8万字5 331 -
完結第25話
母との同居後、妻が倒れた――医師が私だけ呼んだ理由
父を亡くした春樹は、一人暮らしの母・節子を心配し、妻の夏美と三人で暮らし始める。家事も母の通院もこなす妻を見て、同居はうまくいっていると思っていた。ところがある朝、夏美が突然倒れ、救急搬送される。医師に一人だけ呼ばれた春樹は、妻の体に起きていた異変を知らされる。変更された婦人科の予約、開かれなかった白い封筒、妻に任せきりだった家の用事。自分は家族を守っているつもりだったのに、何を見落としていたのか。人生逆転|嫁姑|夫婦|親子関係3.1万字5 313 -
完結第15話
認知症の父を選んだ私を捨てた夫、5年後の再会
「俺と、あのボケた親父。どっちを選ぶんだ?」 認知症と診断された父を支えようとした都子は、夫の一郎から離婚を突きつけられる。長年の夢だった洋食店の継承も難しくなり、介護と生活に追われる日々。それでも地域の支援を頼り、父の料理を生かした新しい仕事に挑戦する。 五年後、介護事業者の交流会で元夫と偶然再会。若く美しい社長の妻と子どもがいると自慢する一郎だったが、都子は彼が指さした女性をよく知っていた。嫁姑|夫婦|親不孝3.1万字5 480 -
完結第20話
60日間見舞いゼロの夫、退院した妻に600万円を要求
突然の心臓病で緊急手術を受け、生死の境をさまよった美桜。六十日間の入院中、夫も義母も義妹も一度として見舞いに来なかった。届くのは、義母への月六百万円の送金を催促する連絡ばかり。家族だと信じて尽くしてきた美桜は、ついに夫との決別を決意する。しかし剛田家の人々は、美桜の本当の素性も、自分たちの会社や豪邸が誰によって支えられているのかも知らなかった。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|金銭問題2.4万字5 564 -
完結第15話
110億円を相続した妻を捨てた夫――30億円の誤算
亡き叔父から110億円もの遺産を相続した美桜は、経営難に苦しむ夫・達也を救おうと、書類を抱えて帰宅する。ところが家の中から聞こえてきたのは、姑と夫が自分を追い出し、裕福な社長令嬢との再婚を企む会話だった。持参金5000万円に目がくらんだ夫は、慰謝料も財産分与も払わず離婚を迫る。美桜は静かに離婚届へ署名し、家を後にする。しかし、夫の会社を長年支えてきた30億円の信用枠には、本人さえ知らない重大な秘密があった嫁姑|夫婦|相続|金銭問題2.4万字5 1068 -
完結第20話
5000万円の新居に義両親が無断で引っ越し――夫の嘘
実家の両親から五千万円の援助を受け、念願の新居を購入した。夫の健太とは親との同居をしないと約束し、二人だけの新生活を始めるはずだった。ところが引っ越し当日、義両親のベッドやタンスを積んだトラックが突然到着する。「今日から俺の親も住む。親孝行は当然だろ」と言い放つ夫。彩佳の同意もなく進められていた同居計画には、夫が隠してきた嘘があった。人生逆転|裡切られた|嫁姑|夫婦|相続|金銭問題|修羅場2.3万字5 941 -
完結第15話
義妹が奪った父のベンツ――事故の電話で義母が絶句
義母や義妹の身勝手な要求に耐えてきた由美。ある日、亡き父の形見であるベンツの鍵を義母に取り上げられ、義妹の美穂に渡されてしまう。車の位置情報を調べると、向かった先はレストランではなく港の倉庫街。無断で売却しようとしていることを知った由美は、弁護士とともに証拠を集め始める。ところが夫まで関与していたうえ、生命保険の受取人を変更しようとした疑いも浮上。そんな中、ベンツが事故を起こしたという電話が入る。義母が電話口で放った信じられない一言をきっかけに、家族が隠していた本当の思惑が明らかになっていく。兄弟姉妹|嫁姑|修羅場2.1万字5 751 -
完結第10話
四年分の介護記録
四年間のシンガポール赴任を終え、出世を手に帰国した52歳の高橋健一。胸には、妻・由美に突きつけるための離婚届があった。 しかし帰宅した彼を待っていたのは、真っ白な髪と痩せ細った体に変わり果てた妻、そして半年前に亡くなった母の仏壇だった。 重度の認知症を患った義母を、たった一人で介護し続けた由美。夫が毎月送った30万円では到底足りず、彼女はすべてを犠牲にしていた。 そして由美が差し出した四年分の介護記録と、亡き母が残した最後の遺言が、健一の人生を大きく揺るがしていく。嫁姑|夫婦|親子関係|介護1.7万字5 2072 -
完結第20話
葬儀3日後、姑に追放された私に亡き夫からの連絡
物流センターの事故で夫・直人を突然失った41歳の美和。しかし義母の数枝は、妻である美和に夫の顔を見ることすら許さず、葬儀を強引に取り仕切る。さらに葬儀の三日後、香典三百万円以上を独占し、13歳の娘・咲と美和を雨の夜に家から追い出してしまう。 絶望の中、親友に助けを求めた美和のスマートフォンに、午前四時、信じられないメッセージが届く。 「生きてる。母には言うな」 送信者は、火葬されたはずの夫だった。 閉ざされた棺の中にいたのは誰なのか。義母が隠そうとしたものとは――。夫の事故をめぐる疑惑と家族の裏切りを描く、衝撃の逆転サスペンス。因果応報|嫁姑|夫婦|親子関係|金銭問題2.3万字5 994 -
完結第16話
母の初盆を禁じた義父が、土地の名義を知った日
亡き母の初盆へ帰ろうとした由美は、義父から「籍を抜いて出ていけ」と言い渡される。結婚二十五年の夫・浩司も味方にはならず、由美は静かに家を出ることを決意した。 しかし、義父一家が暮らす家の土地は、十五年前に母が購入した由美名義のものだった。さらに夫が、その土地を無断で借金の担保にしようとしていたことが発覚する。 母の残した古い鍵と書類を手に、弁護士を訪ねた由美。やがて明らかになる夫の裏切りと、義父母が隠していた計画。二十五年間耐え続けた妻の、静かな人生逆転の物語。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場2.3万字5 5619