"空っぽの弁当箱" 第10話
そんな当たりの関係を、はる子は59歳になって初めてに入れた。
窓をしける。
のが、のカーテンを揺らした。
瓶のコスモスもさく揺れる。
はる子は台所へき、の朝用に卵をつ蔵庫から取りした。
もう4つの弁当箱はない。
午5に起きる必もない。
作る卵焼きは、自分がべたいでいい。
し甘くてもいい。
焼きが悪くてもいい。
誰かに「そうに見えない」と言われることもない。
の誕、はる子は「事係をります」と言った。
けれど本当にりたのは、事だけではなかった。
誰かに必とされなければ、自分には価値がない。
族のためにすることが、母親の役目だ。
そんない込みからも、ようやくりることができた。
そして族もしずつ変わった。
健はもう、母親を呼び戻して活をて直そうとはしない。
美も、自分が忙しいことを理由に誰か1へ事を押しつけなくなった。
陸と芽も、自分の予定や必な物を自分ので伝えるようになった。
4の弁当は今でも々失敗するらしい。
陸から届いた写真では、卵焼きがし焦げていた。
芽が作った参のハートは、片方が欠けていた。
それでも、はる子はその写真を見て笑った。
あの朝、4つの弁当箱を空っぽにしたことを、悔したことはない。
もし度だけでも、
「今だけは作ってあげよう」
とっていたら、何も変わらなかったかもしれない。
空っぽの弁当箱は、罰ではなかった。
「自分の暮らしは、自分で引き受けてください」
はる子が3で初めて族へ渡した、言葉のないメッセージだった。
そして自分自にも、同じことを伝えた。
「これからの暮らしは、自分で選んでいい」
59歳の誕の夜。
はる子は眠るに、瀬戸内の切符をもう度見た。
夫の写真へ向かって笑う。
「ねえ。遅くなったけど、ってくるわ」
写真のの茂は、昔と同じ顔で笑っていた。
はる子は切符を引きしへしまい、のために目覚ましをセットした。
午7。
昔より2遅い朝だった。
誰かのためではなく、
自分が起きたいだった。
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