"昭和63年、消えたいちご農園主――3年後の古い倉庫" 第5話
「この……似てるね」
佐藤誠だった。
、佐藤は警察へ、
《午は自宅で休んでいた》
と証言している。
刑事はすぐ佐藤の所を確認した。
佐藤はにへ戻っていた。
の入くにあるさな借。
以の農作業はしていない。
仕事も続きせず、酒をむ量が増えていた。
警察が訪ねた。
佐藤はらかに痩せていた。
が震えていた。
「昭6345の午」
刑事が聞いた。
「どこにいましたか」
佐藤は答えた。
「です」
「本さんの倉庫へっていませんか」
その瞬。
佐藤の線が止まった。
ほんの秒。
それだけだった。
「ってません」
「本当に?」
「用事がない」
「目撃者がいます」
佐藤の喉がいた。
「誰です」
刑事は答えなかった。
沈黙が続いた。
やがて佐藤が言った。
「……くを通ったかもしれません」
「先ほどはっていないと言いましたね」
「倉庫には入ってない」
「は午ずっと自宅にいたと」
佐藤は答えられなかった。
その、警察は佐藤のを改めて捜索した。
押し入れ。
物置。
古い装箱。
そこで、妻が保していた冊の学ノートが見つかった。
佐藤自が断片にいていた記だった。
昭6346。
田茂が消えた翌。
い文章が残っていた。
《取り返しがつかない。昨のことがならいい。》
刑事はそのを何度も読んだ。
止まっていた事件が、
気にき始めた。
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田茂の骨が見つかってから、では本孝志を犯と決めつける声が圧倒だった。
「あれだけ仲が悪かったんだから」
「自分の倉庫じゃないか」
「取り壊しを嫌がってたのもってたからだ」
本のには、らない者からまで話が来た。
妻はへるのを嫌がるようになった。
農園の直売所にも客が減った。
しかし警察は、記が見つかってから本とは別に佐藤への捜査をめていた。
それでも疑問が残った。
もし佐藤が田を本の倉庫へ隠したのなら、本は本当に何もらなかったのか。
刑事は再び本を呼んだ。
「なぜ倉庫を取り壊したくなかったんです」
「がかかるからです」
「それだけですか」
「それだけです」
「は、いつ補修しました?」
本の顔が変わった。
倉庫のの部だけ、周囲よりしいコンクリートが使われていた。
鑑定では、骨が埋められた期とい頃に施された能性がある。
「あなたがやった?」
「違う」
「では誰が」
本は黙り込んだ。
刑事が机を叩いた。
「誰かがあなたの倉庫でを埋めて、まで補修したんです。気づかなかったでは済まないでしょう」
い沈黙。
やがて本が俯いた。
「……は見た」
刑事の目が鋭くなる。
「いつ」
「田が消えて、何かしたです」
「ですね」
本は頷いた。
農具を取りに倉庫へ入った、の部が以と違うことに気づいた。
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湿ったコンクリート。
しく均された跡。
「なぜ警察へ言わなかった」
本は顔を歪めた。
「俺が疑われるとった」
実際、田とは揉めていた。
しかも倉庫は自分の。
そこで自然なを見つけたと話せば、真っ先に疑われる。
「だから黙った?」
「怖かったんだ」
「?」
本は両で顔を覆った。
「最初は、ただ誰かが勝に直したのかもしれないとった」
「そんなことがありますか」
「分かってる!」
本が声をげた。
「あとになって田が消えたって聞いて……もしかしたらってった。でも掘れなかった」
「なぜ」
「もしてきたらどうする!」
その叫びで、取調が静かになった。
本は、
倉庫のに何かあるかもしれない
といながらきていた。
だから倉庫へづかなかった。
だから取り壊しを嫌がった。
真相をっていたわけではない。
しかし何もらなかったわけでもなかった。
「結果に、あなたはな事実を黙っていた」
刑事は言った。
本は俯いた。
「分かってます」
その頃。
警察では佐藤の記が詳しく調べられていた。
失踪翌のだけではない。
数週には、
《眠れない》
その翌には、
《あの所へけない》
半。
《本にられたら終わる》
そしてをる直。
《ここにいると毎見える》
何が見えるのかはいていなかった。
だが田農園から本の古い倉庫は、くに根だけが見えた。
佐藤は毎、その方向を見ながら働いていたことになる。
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