みかん小説
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"四十九日の遺言" 第22話

彦の周忌は、親族を勢呼ばず、澄子と静だけでった。正隆にはをらせたが、接触制限と返還続きが続いているため、別のに墓参りをすると返事があった。無理にを同じ座敷へ座らせ、族の形を演じる必はなかった。

読経が終わると、澄子はしいのでを止めた。《ごはん》の板は派ではなく、父の古い板と同じ紺を使っている。窓には替わり献と、学習の利用がきで貼られていた。

「もう、佐伯のじゃないのね」

その言葉に責める響きはなかった。静は鍵をけながら答えた。

「ええ。これからは、私が責任を持てるにします」

の古い気メーターは撤せず、透な箱に入れて残した。彦が真実へ導くために選んだ目印であり、父の加所がここにあった証拠でもある。ただし説札に夫の美談はかなかった。《旧惣菜加所使用。所の来歴を示す資料》とだけ記した。

静は彦の録音も消していない。けれど、苦しいに聞き返して答えをもらおうとはしなかった。夫は最に証拠を残した。それは事実だ。同に、のうちい、妻へ真実を告げなかったことも事実だった。

昼になると、にはいつもの客が入ってきた。澄子は列へ並び、鮭弁当をつ注文した。

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静はほかの客と同じように代を受け取り、レシートを渡した。

「今、階で緒にべない?」

澄子が尋ねた。静は計を見て、閉なら、と答えた。毎でも、昔どおりでもない。自分が選べるに、自分が決めただけ卓を囲む。それがにできるしい関係だった。

夕方、最の弁当が売れると、静は売を数え、従業員の勤務を確認した。使用料、与、材料費、積。すべてを帳簿へき、数字がってから庫を閉めた。

の、正隆は静へ「あなたには何もない」と言った。

実際には、も、働いた記録も、をて直す技術も、静のに残っていた。奪われかけたのは財産だけではない。自分で決める資格だった。

静はの灯りを消し、しい鍵を自分ので回した。

周忌の朝、静は彦の好きだった里芋の煮物を作った。ただしの材を私用にせず、自分の財布から材料費を払った。以なら細かすぎると笑っただろう。今は、公私を分けることがいをくするのではなく、誰かの負担へ無識に変えない方法だと分かっていた。

澄子と卓を囲んだ、は正隆の裁判も遺言も話さなかった。彦が若い頃に焦がした卵焼きの話をし、しばらく黙って茶をんだ。楽しい記憶を語ることは、彼のしたことを免責する為ではない。

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りを保ったまま、良かったも自分のとして持っていてよい。静はようやく、過をか黒のどちらかへ塗り直さずにいられた。

閉、静はへり、古いメーターの箱を乾いた布で拭いた。あのこれを見つけなければ、の名義さえ確かめず諦めていたかもしれない。けれど最終に彼女を守ったのは、夫の暗号だけではなかった。疑問をにし、専へ相談し、都の悪い事実も含めて記録した自分自のだった。

の裏には、追いされたに正隆が交換した錠の傷が残っている。静は修理で隠さず、そのへしい具を取り付けた。傷を見せるためではない。壊された所にも、自分で選んだ鍵を付け直せることを忘れないためだった。

その夜、誰にも追いされず、誰の許も求めず、彼女は自分のへ帰った。

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