みかん小説
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"空の米びつと一合の嘘" 第7話

学の鍋

千枝が案内した学は、戦争で部の舎を失い、修理の跡が残っていた。廊には子どもの靴が並び、教から唱が聞こえた。は配の件を聞くと、まず顔をしかめた。「学の子を巻き込むことはせんといてください」。勇は帳面を見せ、学に納入されている材料の種類と数量を確かめたいだけだと説した。はしばらく黙り、炊事の担当者を呼んだ。

子どもたちへされる事はによって違っていた。脱脂乳やパンがるもあれば、材料で取りやめになるもある。炊事の女は「うちへ米がほど届くなんて、そんな話は聞いたことない」と言った。帳簿を突きわせると、臨用として業者名がかれている期に、実際は材料の連絡が何度かされていた。「用として受渡済やのに、にはてへん」。千枝はを握りしめた。「うちの子らから減らした米が、ここにも来てへんいうことですか」

しかしは、業者の類だけで正と決めつけるのは危険だと諭した。「別の学や施設の分かもしれません。正式に調べてもらわなければ」。勇も同した。勢いで誰かを疑い、母を吊るしげた客のりを見てきたからだ。千枝は「そうですね」と答えたが、悔しさを隠せなかった。「そやけど調べてるも子どもは腹を空かせてる」

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昼休み、庭で千枝の男・が友達と遊んでいた。勇はの靴底に穴があいているのを見て、千枝の先の言葉をいした。修平は賃を受け取るたびにまず賃と燃料代を払う。千枝が何度ものを訴えたのは、米を困らせたいからではない。夕飯を回分でも増やしたかったからだ。勇が「お母ちゃん、いつも頑張ってはるな」と言うと、は照れて笑った。「ぼくがもうしきくなったら、母ちゃんにいご飯を腹いっぱいべさせたる」

学からの帰り、千枝は突然ち止まった。「私、フミさんのこと、絶対許せへんとうてました」。勇は黙っていた。「でも、あんたも弘ちゃんも麦粥べてると聞いたら、なんや腹つ相が分からんようになってしもた」。勇は「母は悪くないとは言えません」と答えた。「なく渡したのは事実やから」。千枝はうなずいた。「せや。うちらは、そのことを忘れたらあかん。でも、それだけで終わらせてもあかん」

は業者の事務所へ向かった。板には《栄品商会》とあり、入には乾物の箱が積まれていた。主の部啓は代の男で、伝票を見せるとすぐ表を変えた。「うちは類どおり納めてる」。勇が「学側に米の受入れ記録がありません」と言うと、部は「米そのものとは限らん。

代替材料に変わることもある」と答えた。「その代替の記録を見せてもらえませんか」。千枝が聞くと、部は帳の奥から戸を閉めた。

てきた、部のにはい茶封筒があった。「若い者がくと、余計なところでがつく」。封筒を差しし、「らん分の埋めわせに使うてくれ」と言った。勇は受け取らなかった。「をもろたら、もう聞かれへんことが増えます」。部は笑みを消した。「ほんなら好きにしたらええ。せやけど、事務所の伝票と学の帳面が違うだけでは、わしが米を抜いた証拠にはならんで」。

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