"空の米びつと一合の嘘" 第13話
田所の所
配の調査がむで、田所トキのには別の問題が迫っていた。所の登録を確認するため、係員が訪ねてきたのだ。トキは孫たちをの奥へ入れ、古い類を広げた。しかし戦の混乱ので転居した記録が欠け、どこから来たかを証するも揃っていない。係員は「調べる、受け取りの扱いが変わるがあります」と告げた。トキはくなったで膝を押さえた。
信は勇を呼びに来た。「ばあちゃん、今夜から何ももらわれへんって泣いてる」。勇が駆けつけると、トキは襖のでさくなっていた。「私が変な印を押したからや」。勇は事を聞き、「登録の確認と、嘘の受領を別にしてもらうよう言いましょう」と答えた。だが担当者は簡単にうなずかなかった。古い記録と現所を突きわせるには、暮らしていることをるの証言も必になるという。
勇は商で聞いて回った。最初は皆、面倒に巻き込まれるのを嫌がった。しかしトキが孫とにむことは、所のなら誰でもっていた。向かいの仕は「うちの息子の着物を直してもろうた」と言い、銭湯の女将は「のから毎週来はる」ときつけた。学の先も、信の通学について証言してくれた。が枚りないからといって、そのものが消えるわけではない。
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勇はその当たりのことを、言葉にして集めた。
フミは自分がを休んでいることを利用し、トキの付き添いにった。担当者ので、「受領印は私が預かって押させました」と言った。トキが慌てて首を振った。「違う、さんが」。フミは「私はでその印を認めました」と続けた。「何の米も渡さず、受け取ったように扱うのは違いでした。事を聞いてりながら止めなかったのは私です」。担当者は黙って記録し、を交互に見た。
調査の席で、トキがなことを言った。「さんは、うちに米をくれる言うたこともありました」。フミが驚いて顔をげる。「けど、代わりに孫の名を別ののところへ移すよう言われたんです」。勇は息を止めた。トキは断ったという。「この子らの名を勝にかしたら、親がきて帰ってきたに困る」。戦争で息子をくしたトキが、孫の母親まで必ずんだと確かめたわけではなかった。帰ってくる能性を残したい。その気持ちをは利用していた。
勇はその話を帳面にき留めた。もはや米のさだけを量り直せば終わる問題ではない。所や数の記録が曖昧なを、帳簿の数量わせに使っていた疑いがあった。かといって、トキの子どもたちの活を壊して真相を暴くわけにもいかない。
勇は千枝に相談した。「被害の会に、田所さんも来てもらえませんか」。千枝はしばらく考え、「米を受け取ってへんも、帳面で受け取ったことにされてるなら当事者や」と言った。
数、担当者からトキのへらせが届いた。現所で暮らしていることを示す追加の類と証言を受け、登録確認の続きをめるという。すべてが解決したわけではないが、いきなり追いされることはなかった。トキは初めて堵した顔を見せた。しかし勇が帰りかけた、信がさく言った。「ばあちゃん、印を押さんかったら米がもらえるとうてたんや。ほんまは逆になってたんやな」。勇は答えに迷い、「ちゃんと受け取っただけ印を押す。それが普通や」と教えた。
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