みかん小説
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"空の米びつと一合の嘘" 第17話

返せない米

調査の途報告が示された、町内会館にはよりくのが集まった。担当者は、複数の配送記録にない違いがあり、栄品商会と配事務に関わった者から引き続き事を確かめていると説した。部は正規の配分とは異なるき先へ渡り、その代の処理にも点があるという。すべてが確定したわけではなかったが、のだけで米が消えたという説は成りたなくなっていた。

会館のろから声ががった。「ほんなら、うちらの米は戻るんか」。担当者は言葉を選び、「分の確認と今の処理は別に検討します」と答えた。部がざわつく。千枝はちがって聞いた。「確認したにはべられてしもた米を、どこから持ってくるんです」。担当者は具体な方法を言えなかった。勇はその、真相をることと腹を満たすことのには、きな隔たりがあると痛した。

フミもちがった。「私のでなく渡した分は、私が責任を取ります」。そう言ってをげた。「ただ、今うちには米ももりません。すぐに全部返す約束はできません」。会の何かがった。「返せへんのに責任を取る言うな」。フミは顔をげなかった。千枝はフミを見ていたが、かばう言葉を言わなかった。客からすれば、そのりは当然だったからだ。

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会の、勇は計の帳面を広げた。を閉じているに貯は減り、修理仕事で得たと荷役の当だけでは、毎の賃と費でほとんどなくなる。未払いの代も残っていた。そこへ分を返すとなれば、く掛かる。フミは「自分が働いて返す」と言ったが、勇は「何かかるか計算しよう」と答えた。勇ましい言葉を先にてるより、できることとできないことをる方が切だった。

翌朝、千枝が枚のを持ってきた。「分を現で返す話、待ってもらえませんか」。フミが驚くと、千枝は続けた。「待ついうても、帳消しにするんやありません。今すぐ現返したら、さんちの子がまたべられへんようになる。代わりに、誰がどの分を受け取ったか分かる形で、しずつ返してもらう。その記録をみんなで見られるようにしたい」。フミは唇を噛んだ。「そこまでしてもらう資格は……」。千枝は首を振った。「資格やない。返してもらうためです」

勇は千枝の案を帳面にまとめ、各庭へ見せた。賛成するもいれば、すぐの補填を求めるもいた。誰かの満を「皆のため」で押さえることはしなかった。異なる見はそのままき残し、急いで署名を集めなかった。フミは軒ずつ訪ね、自分のしたことを説した。のへ入れてもらえないもあった。

戸越しに「もう来んといて」と言われたは、「分かりました」と答えて引き返した。

その週の終わり、千枝はの学へす類をいていた。机のの豆球がく揺れ、末娘が眠りながらを伸ばしている。修平が「なんであそこまでフミさんを伝うんや」と尋ねた。千枝はしばらく考え、「うちの子が腹空かせたことを、度と『仕方なかった』で済ませたくないから」と答えた。「フミさんが悪いなら悪いままでええ。でも、誰がどんだけ米を受け取ったか、みんなで確かめられるようにせな、また別の米で同じことになる」

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