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"母の農地を狙う夫と離婚――元義母が見た光景" 第5話

猛暑の直売所と、台の黒い

奈津美が仮設のユニットハウスで過ごしたヶのに、事態はきくいていた。

実の母の耐震事は無事に完し、奈津美と母はしくなったがでの暮らしを取り戻していた。仮設ハウスはとうにリース会社へ返却され、敷内にはしく、共同の集荷と直売所が建てられていた。

奈津美は品流通会社でのの経験を活かし、隣の農件を巻き込んだ共同会社を設していたのだ。

形が揃いなだけでから買い叩かれていた野菜を、用途別に選別し、県内のホテルや加品メーカー、会社へと直接卸す独自の販を拓。今や彼女は、域農たちから全幅の信頼を寄せられる実務代表となっていた。

そして、その急成の波は、皮肉にも元夫・の会社を直撃していた。

世界な燃料騰を受け、奈津美たちの共同会社は、の会社に対して従来の当にかった仕入れ価格の幅な見直しを求したのだ。現の部からの鳴を「妻の実がごねているだけだ」と放置し続けたのせいで、会社は主力メニューの原材料が調達できなくなる寸の危に陥っていた。

そして迎えた、今番の猛暑が予されたあるのの午。

実の直売所では、朝から勢の常連客でごった返していた。

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首にタオルを巻き、作業着に靴という姿で、奈津美は荷用のトマトの箱を台に積み、テキパキと若いスタッフに指示をしていた。

「番のホテル向けの便、先に積み込んで! 保の温度管理、絶対に緩めないでね!」

「はい、代表! すぐに発します!」

活気に満ちた直売所の裏。

自ドアがき、の配の女性が傘をすぼめながら内へと入ってきた。

いのよそきのブラウスに、ブランド物の傘。都会の空気をまとったその女性は、内に並ぶみずみずしい野菜には目もくれず、暗い作業の奥で臭く働く奈津美の姿を、じっと見つめていた。

義母の幸恵だった。

から聞いた「ビニールハウスで惨めに暮らす元嫁」の姿を、この目で直に見物し、あわよくば写真に収めてやろうと、わざわざ京からをらせてやってきたのだ。

奥で汗だくになって箱を運ぶ奈津美の姿を見つけた瞬、幸恵の元に、隠しきれない嘲笑が浮かんだ。

『やっぱり……噂通りじゃないの。都会の暮らしを捨てて、こんなにまみれて……』

幸恵がバッグからスマートフォンを取りし、レンズを奈津美へ向けようとした、その刹だった。

直売所のの広い駐に、けたたましいタイヤの音をてて、台の黒い級社用が滑り込んできた。

体に刻まれていたのは、息子のが勤める、あのチェーンの企業のロゴマークだった。

幸恵が息を呑んでちすくむ、台目のの部座席から、仕入れ部を統括する役がりてきた。そして台目のからは、青ざめ、魂の抜けたような顔をした息子のが、よろめくようにりてきたのだ。

役は作業着姿の奈津美を見つけるや否や、駆け寄って々と、腰が折れるほどをげた。

『黒田代表! 本はおをいただき、誠にありがとうございます……!』

その景を目撃した瞬、傘を握りしめた幸恵の表が、凍りついた。

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