"「子なし」と笑われた私に、姪が吹雪の夜に土下座した" 第10話
踏み込んできた正義
制警官の突然の登に、内のカラオケの音がピタリと止まりました。
「な、なんだ……? 警察……?」
酔客たちがざわめき、団蔵さんと翔子さんもグラスを持ったまま目を丸くしました。 竜さんは内を鋭い線で見回すと、まっすぐに団蔵さんのボックス席へと歩み寄りました。
「夜分遅くに失礼します。……松岡団蔵さん、翔子さんですね?」
「あ、ああ? 俺たちだけど……警察が何の用だよ。俺らは普通にんでるだけだぞ」
団蔵さんが怪訝そうに眉をひそめました。 竜さんは表を切変えず、静かに背を振り返りました。
の入りから、もうの警察官にを引かれて入ってきたがありました。
ダウンジャケットをしっかりと着込み、胸に赤ちゃんを抱いたメイちゃんでした。
「……ッ!?」
その姿を見た瞬、翔子さんの顔からサーッと血の気が引いていきました。
「あ、あんたたち……なんで、ここに……」
「このお子さんたちを、ごですね?」
竜さんのい声が、静まり返った内に響き渡りました。
「氷点度のの、歳のお子さんが数かの乳児を抱いて、を歩いているところを保護されました。……保護者であるあなた方は、こんなまで何をされていたんですか?」
団蔵さんは狼狽え、慌ててちがりました。
「い、いや! ちょっと待ってくださいよ! 俺たちは……そう、ちょっと気らしに寄っただけで、すぐに帰るつもりだったんです! がひどいから、止むのを待ってただけで……!」
広告
「そうです! 置きりになんてしてません! にはちゃんと鍵をかけてましたし、ここに来たのもほんの分ですよ!」
翔子さんがヒステリックにまくしてました。 見苦しい嘘をねるに、カウンターの奥からたい声が投げかけられました。
「嘘をおつきでないよ」
スナックのママでした。 ママは伝票をカウンターに叩きつけると、警察官に向かってはっきりと言い放ちました。
「この、に入ってきたのは夜の半だよ。もう以も居座って、ボトル本も空けてるわ。さっきも『子どもを脅して留守番させてる』って、声で自してたじゃないか」
「バ、ババア! 余計なこと言ってんじゃねえぞ!」
団蔵さんが鳴り散らそうとした、その瞬でした。
「団蔵さん、翔子さん」
の背から、私が静かにちがりました。 隣には、仁王ちになった剛が、射殺すような線でを見ろしていました。
「……な、なんでおらがここにいるんだよ!?」
男夫婦の顔が、今度こそ絶望で真っ青に染まりました。
「全部、聞かせてもらったわ」
私はスマホの画面をの目のに突きつけました。
「あなたたちがメイちゃんに何をしてきたか。どんなに脅して、どんなに痛めつけてきたか。……全部、このに綺麗に録画されてるわよ」
逃げを完全に塞がれたが、息を呑んでちすくみました。
の夜の断罪劇が、今まさに始まろうとしていました。
広告
おすすめ作品
-
完結第16話
二人きりのはずだった旅行
結婚以来、義母のわがままと、それを当然のように受け入れる夫・俊也に振り回されてきた由香。二人きりの結婚記念日旅行まで義母に台無しにされた翌年、夫は「今度こそ二人だけで行こう」と約束する。ところが出発当日、玄関には大きな旅行鞄を抱えた義母の姿が。「家族なんだからいいだろ」と開き直る夫に、由香は思い切った行動に出る。人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題3.0万字5 65 -
完結第14話
金髪の女子高生に、娘が「ねえね」と手を伸ばした
「ねえね」——1歳10か月の娘が手を伸ばしたのは、金髪にピアス姿の女子高生だった。妻を亡くし、実家で娘の紬を育てる26歳の挿絵画家・湊。思わず娘を抱き寄せた彼とは対照的に、少女・凛は頬を赤くして「可愛い」とつぶやく。それから買い物帰りに顔を合わせるようになり、凛は父娘の日常に少しずつ溶け込んでいく。ところがある夕方、湊は公園で泣いている彼女を見つける。紬が差し出したのは、亡き母から贈られた大切な白いうさぎ。そして凛のかばんにも、古びたうさぎが入っていた。描きかけの絵本に隠された夢と、母親に言えなかった思い。話を聞こうと隣に座った湊自身もまた、誰にも打ち明けられない寂しさを抱えていた。感動|人生逆転1.7万字5 1 -
完結第20話
娘の披露宴に新郎側が全員欠席――清掃員の夫が動いた
一人娘の紗良が待ち望んだ結婚式。しかし披露宴当日、新郎側の42席はすべて空席だった。ようやくかかってきた婚約者からの電話には、「結婚なんて冗談だ」という声と、清掃員の父を見下す家族の笑い声。泣き崩れる娘を抱きしめる母・千尋の隣で、いつも穏やかな夫・涼一が静かに言った。「あの一族は、もう切る」。翌朝から、新郎一家の電話が鳴りやまなくなる。三十一年間、黙々と床を磨いてきた夫には、家族さえ知らない一面があった。あの一言には、いったいどんな意味が隠されていたのか。因果応報|人生逆転|夫婦|第二の人生2.7万字5 179 -
完結第10話
こぼされた定食の代償
社員食堂で働く43歳の松尾順子は、料理を通して社員たちを支えることに誇りを持っていた。ところが、営業部の神崎と宮下は、食堂のスタッフを見下し、暴言を繰り返していた。ついには大勢の前で定食を床にぶちまけ、順子たちを笑いものにする始末。さらに職場では不審な情報漏洩も発覚する。そんなある日、専務が食堂を訪れると、二人の態度は一変。順子を知らない二人は、そこで思いもよらない事実を知ることになる。職場逆転|人生逆転|修羅場1.5万字5 71 -
完結第10話
赤ワインの余興
義妹・真由美の結婚披露宴で、突然赤ワインを浴びせられた美桜。義母も親族も「ただの余興」と笑い、夫の達也まで美桜を責め立てる。 結婚して三年。貧しい嫁だと見下され、家族の言いなりになってきた美桜だったが、実は誰にも明かしていない秘密があった。 しかも、名門病院の跡取りとの結婚を喜ぶ義妹には、恐ろしい裏の顔があった。美桜の手元には、披露宴前夜に録音された決定的な会話が残されている。 華やかな祝宴の裏で進む金と欲望の企み。美桜が静かにスマホを取り出したとき、すべてが動き始める。因果応報|人生逆転|兄弟姉妹|第二の人生1.9万字5 159 -
完結第15話
年収三千万円の嘘
41歳の内科医・相沢まりなは、家事と育児を任せていた専業主夫の康太が、息子のサッカークラブの保護者・美沙と親密な関係になっていたことを知る。しかも二人は、子どもたちを置き去りにして密会を重ねていた。息子を守るため離婚を決意したまりなのもとに、ある日、美沙から再婚式の招待状が届く。驚いたことに、康太は自分を「年収3000万円の医師」だと偽っていた。元妻を見下し、披露宴で祝辞まで読ませようとする美沙。招待を受けたまりなは、いったい何を語るのか。夫婦|第二の人生|不倫2.6万字5 163