みかん小説
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"こぼされた定食の代償" 第4話

張り巡らされた網

そのの夕方、私は堂の入に枚の張りをした。

『堂内における迷惑為・器物損壊をった者は、今の利用を切禁止します』

名指しこそしなかったが、あのにいた全員が誰のことかを理解していた。翌から、神崎とミキが堂に姿を現すことはなくなった。の社員の話によると、でにかけているらしい。

堂には再び穏やかな空気が戻ってきたが、問題の根っこは何つ解決していなかった。

それどころか、嫌がらせは湿さを増していったのだ。

「順子さん……これ、見てください」

の朝、勤してきた歩ちゃんが、泣きそうな顔で私を招きした。

堂の裏、搬入の扉のに、ゴミの入ったコンビニ袋がいくつも破られて散乱していたのだ。さらに壁には、黒い油性スプレーで殴りきのような汚れがつけられていた。

「カラスの仕業……じゃないですよね」

「ええ、の仕業よ。らかに悪があるわ」

夜か朝、の目が切れる帯を狙って仕掛けられた嫌がらせ。

防犯カメラを増設するにしても、会社への申請と設置事には最でも週はかかる。その、指をくわえて耐え続けるわけにはいかなかった。

その夜、私は自宅の斎で、パソコンをいていた史にすべてを打ちけた。

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昼の器物損壊のこと、神崎が「転職」をにしていたこと、そして毎朝のように続く嫌がらせのこと。

史は静かに私の話を聞き終えると、鏡をし、ゆっくりと息を吐いた。

「そこまでエスカレートしているのか。……よし、順子。防犯カメラがつくまでの、し恵を絞ろう」

「恵?」

「ああ。わざわざい監カメラを慌ててつけなくても、今すぐ使える優秀な『目』があるじゃないか」

史が指差したのは、ガレージにめてある自分の自用のキーだった。

「ドライブレコーダーだよ。最の種は駐監モードがついていて、くものを検すると自で録画が始まる。あの堂の裏は、ちょうど社員用の第2駐に面しているだろう?」

「あっ……!」

「私のを、搬入が見通せる位置にめておこう。私はからしばらくバスで通勤するよ」

「でも、あなたにそこまで迷惑をかけるわけには……」

「何を言っているんだ。妻が職で嫌がらせを受けているのに、黙って見過ごせるわけがないだろう。それに——」

史の目が、鋭く細められた。

「報漏洩の件も、いよいよ詰めを迎えている。奴らの尻尾を掴むには、これ以ない仕掛けになるはずだ」

翌から、史のが堂裏の駐に静かに待することになった。

そして週。

会社の総務主導で、堂内に台の最型防犯カメラが正式に設置された。

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「順子さん、これでやっとですね!」

歩ちゃんがホッとしたように胸を撫でろしたの昼、総務部から内線が入った。

『松尾さん、本のお昼、防犯カメラの稼働確認と社内察を兼ねて、専務が堂へかれますので、ご対応をお願いします』

「わかりました。準備しておきます」

計の針が半を指し、堂の扉がけ放たれた。

昼休みの混雑が始まり、気とざわめきがち込める、入のざわめきが際きくなった。

背筋をピンと伸ばし、周囲の社員に会釈しながら歩いてくるスーツ姿の役——この会社の専務取締役である、私の夫・松尾史の姿があった。

だが、驚いたのはそれだけではなかった。

専務の姿を見つけるや否や、そのろにぴったりと張り付くようにして、媚びるような笑顔を浮かべたの男女が厨のカウンターへとりでやってきたのだ。

宮ミキと、神崎優だった。

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