"古道具屋の制服" 第5話
「単刀直入に言おう。先、15ぶりに佐藤み咲の遺品が見つかった」
の言葉に、全員のきが止まる。 コーヒーカップに伸ばしかけた相沢さおりのが、かすかに震えていた。 彼女はにいじめの主謀者として名ががっていた『A・S』本だ。
「15も経って、今更なんですか?」
最初に沈黙を破ったのは松本健だった。 彼の声には隠しきれない苛ちが滲んでいる。
「俺たちはもう、あのこととは関係ない」
「関係ないかどうかは、俺たちが決める」
は鋭い線で松本を射抜き、テーブルのにのコピーを置いた。
「このので、み咲は君たちの名をげていじめの苦しみを訴えている。松本君、相沢さん、当たりはあるな」
「いじめなんて……」
相沢さおりは蚊の鳴くような声で呟き、必に首を横に振った。
「私たちはただの仲良しグループでした。々み咲ちゃんが輪に入ってこないことがあっただけで、私たちはいじめてなんかいません!」
その言葉はあまりに々しく、説得力に欠けていた。 彼女の線は定まらず、隣に座る松本の顔を伺っている。 松本は腕を組んで舌打ちした。
「覚えてないな、そんな昔のこと。体、あいつは昔からちょっと変なところがあった。俺たちのせいじゃない、あいつ自の問題だろう」
それはあまりに無責任で酷な言葉だった。
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まるで失踪したみ咲に全ての責任を押し付けようとするかのようだ。 のメンバーも松本の言葉に同調するように頷いたり、あるいは気まずそうに線を伏せたりするだけ。 彼らのには、目に見えない壁と、共された「暗黙の解」のようなものがしていた。 15というは、彼らの罪悪を化させ、自分たちの記憶を都よく修正するのに分すぎるだったのだ。
「では、“狗の誓い”というのは何だ?」
が次のカードを切ると、の空気が再び凍りついた。 全員のきが瞬、完全に止する。 それは図を突かれた者の典型な反応だった。
「それは……」と、相沢さおりが慌ててをいた。 「ただの子供の遊びです! 卒業にみんなで狗に登って、将来のとか友とかを誓いっただけです!」
でまくしたてる彼女の額には、うっすらと汗が滲んでいた。 それは嘘をついているの汗だった。 ただのい話にしては全員の揺がきすぎる、は確信した。 この「誓い」こそが、彼らが必で守ろうとしている秘密の核なのだと。
結局、そのの同窓会でそれ以の収穫はなかった。 彼らは固くを閉ざし、互いを牽制しい、当たり障りのない昔話に終始して解散した。 だが、にとってはきな歩だった。 彼らは何かを隠している。
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それも、全員が共犯者のように同じ秘密を共している。 み咲の失踪は、単なるいじめ苦によるものではない。 彼らが隠蔽するその先に、本当の真相がある。
喫茶に1残ったは、すっかりめてしまったコーヒーをんだ。 苦だけが舌のにざらりと残る。 元同級たちのに流れていた、あのたく澱んだ空気。 それは歪められ、蓋をされた記憶が放つ異臭のようだった。 この分い記憶の壁をどうやって崩していけばいいのか。 はステンドグラスから差し込むの向こうに、まだ輪郭さえ見えない真犯のをじっと見据えていた。
仮面の教育者と見えない圧力
元同級たちの固く閉ざされたをかせるのは、筋縄ではいかない。 は捜査の軸を、に記されたもう1の物、「T先」こと武田正へと移した。 15、み咲のクラス担任だった男は、今や樽教育委員会の指導主事という職についていた。
その執務は、かつて「のウォール」と呼ばれ、本の融のとして栄華を誇った代の、造りのな元建築のにあった。 歴史と権威が染み込んだその建物は、を踏み入れるものに対して見えない威圧を与えていた。 太い理の柱、く彫刻が施された井。 ひんやりとたい空気が肌を撫で、歩くたびに革靴の音だけが気なほどきく響き渡る。
案内された武田の部は、その建物にふさわしく広々としていた。
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