"ロッカー裏の花嫁" 第1話
1991511、曜。
午4ごろ、名速の柄サービスエリアには、週末の夕方らしいにぎわいが広がっていた。型バスが入りし、族連れが売へ向かい、堂のにはい列ができていた。
その、結婚してまだ3目の鈴彩は、夫の佐藤匠と緒に阪へ向かっていた。婚旅だった。
匠が運転していたのは、1990式ののトヨタ・クラウン。助席の彩は、いワンピースを着て、茶の革のハンドバッグを膝のに置いていた。名速は週末ので混んでおり、内のラジオからは田正のが静かに流れていた。
午4し、柄サービスエリアの標識が見えた。
「あなた、ちょっとトイレにきたいわ」
彩が窓のを見ながらそう言うと、匠は方のを確かめながら頷いた。
「分かった。そこに寄ろう」
午45分、クラウンは駐にまった。
彩はハンドバッグをけ、から財布だけを取りした。分証の入ったハンドバッグは、助席に置いたままだった。
「何かおやつでも買ってこようか」
をりるに彩が振り返ると、匠は運転席の窓をしけながら笑った。
「うん、いいね。俺はタバコを1本吸って待ってるよ」
「すぐ戻るわね」
彩はそう言って、サービスエリアの建物へ向かって歩きした。のが吹き、いワンピースの裾がかすかに揺れた。
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それが、匠が見た妻の最の姿だった。
匠はの横にち、タバコにをつけた。周囲にはのドアを閉める音、子どもの声、売へ急ぐ々の音があった。何も特別なことは起きていない、ごく普通の午だった。
10分が過ぎた。
20分が過ぎた。
30分が過ぎた。
タバコはとっくに皿に捨てられていた。匠は腕計を見て、眉をひそめた。
「遅いな……」
午435分。胸の奥にさなが広がり、匠はをれた。に建物へ入り、女性用トイレのでち止まった。
を確認することはできない。匠は通りかかったの女性に声をかけた。
「すみません。妻がにいるか確認してもらえませんか。いワンピースを着た若い女性です」
女性は驚いた顔をしたが、事を察してトイレのへ入っていった。数分、女性は戻ってきた。
「誰もいませんでしたよ」
匠の顔から血の気が引いた。
彼は売へり、堂を見回し、コンビニ、お産、休憩スペースを探した。だが、どこにも彩の姿はなかった。
午5。匠は管理事務所へ駆け込んだ。
「妻がいなくなったんです」
管理所はすぐに館内放送をかけた。
「鈴彩様、鈴彩様。旦様が管理事務所でお待ちです」
放送は何度も流された。
しかし、彩は現れなかった。
午6、静岡県警に通報された。警察が到着し、サービスエリアの隅々まで捜索した。
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トイレ、売、堂、駐、植え込み、建物の裏。が入り込める所はすべて調べられた。
それでも、鈴彩はどこにもいなかった。
奇妙な点は3つあった。
第1に、誰も彼女を覚えていなかったこと。週末の午、数百がき交う型サービスエリアで、いワンピースを着た若い嫁を見たが1もいなかった。
第2に、サービスエリアのへた形跡がなかったこと。当の速の休憩施設はフェンスで囲まれ、徒歩でへるには困難な構造だった。
第3に、彼女の財布がどこにもなかったこと。
財布だけを持ってをりた妻は、まるで空気のに溶けるように消えてしまった。
けれど、その財布は消えたわけではなかった。
ただ、10、誰にも見つからない所に眠っていただけだった。
鈴彩は1966まれ。当25歳だった。
京・世田区で育ち、慶應学の英文学科を卒業した。19902、京の企業の秘に入社し、は15万円。るく活発な性格で、学代は演劇部にも所属していた。
は160cm。痩せ型で、ショートヘアがよく似った。友たちはをそろえて、彼女を「優しくて素直な」と語った。
夫の佐藤匠は1964まれ。当27歳。治学の建築学科を卒業し、堅の建設会社で働いていた。は25万円。仕事ぶりは真面目で、周囲からは穏やかな性格だと評判だった。
2が会ったのは199010。学の同級の紹介で、京・渋の喫茶に集まっただった。
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