"十六年目の雪足跡" 第2話
からの通報を受けた警察が現に到着した。捜査員たちはの周囲を調べ、玄関まで続く彩佳の跡を発見した。
跡は子のから彩佳の自宅に向かって、まっすぐ続いていた。靴の模様や歩幅から、本のものと見られた。
しかし、その跡はのすぐくで唐突に途切れていた。
やで消えたような痕跡ではなかった。自然にれたのではなく、そこだけ自然に終わっていた。
捜査員たちは理由を説できず、現の解さに言葉を失った。
子の証言は貫していた。
彩佳は器を返し、い会話をして、に向かった。それだけだった。途でち止まった様子も、誰かと話し込んだ様子もなかった。
さつまは民同士の距がく、互いの暮らしをよくる町である。そんな所で若い女性が何の理由もなく姿を消すなど、誰1として予していなかった。
翌朝、来事は町に広まった。
学や職に問いわせても、彩佳の方は分からない。自ら姿を消す理由も見つからなかった。
にはさなくても、々のの奥には最悪の能性が忍び寄っていた。
その夜から、町全体をく覆う疑とが始まった。
215の朝6。
森彩佳の母、森恵は鹿児島内のアパートで、いつものように仕事へる準備をしていた。
勤務先のは朝から稼働している。
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恵はさな台所でインスタントコーヒーを入れようとしていた。湯気がちがったその、話が鳴った。
受話器を取ると、聞こえてきたのは田のかすれた声だった。
晩、彩佳の名を呼び続けたような声だった。
「彩佳が……いなくなりました」
は途切れ途切れに言葉をつなぎわせた。
恵は最初、何かの違いだとった。
彩佳は責任のい子だった。予定や約束を破ることはない。さな頃から几帳面で、学や仕事に遅れることもなく、用事があれば必ず連絡してきた。
父親を事故でくしたも、彩佳は1で護師になるを選び、学業とアルバイトを両してきた。
そんな娘が、何も言わずに消えるはずがなかった。
しかし話の向こうから聞こえるの焦りと混乱が、恵の否定を打ち消した。
恵は勤務先に連絡し、事を説して休みを取った。そしてすぐに乗り、さつまへ向かった。
にはが残っていた。約87kmののりをむ、ハンドルを握る指先はえていった。胸の奥には、単なる寒さではないたい覚が広がっていた。
午、恵は彩佳の借に到着した。
部は夜のままだった。
玄関の鍵は内側から施錠され、財布、携帯話、鍵がきちんと残されていた。机のには護学の教科と課題が広がり、きかけのノートとマーカーがそのまま置かれている。
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恵は部の央にち尽くした。
活の途で、だけが止まっている。
そうとしかえなかった。
恵はそので覚悟を決めた。娘の部を片付けるのではなく、捜索の拠点に変えることにした。
図を広げ、赤いペンで町内や周辺の能性がある所に印をつけた。連絡先をきし、警察、学、病院、の名を理した。
過に夫をくした、保険や続きでくのを失った経験があった。待っているだけでは何も解決しないことを、恵はっていた。
自分がかなければ、誰も娘を探し続けてはくれない。
そうじていた。
警察は初捜査をめていたが、担当刑事の森本は慎な姿勢を崩さなかった。都部での捜査経験を持つベテランで、若い女性が突然姿を消す背景には、喧嘩や衝なもあると説した。
の鍵が内側からかかっていたことについても、何らかの理由で本が施錠した能性を排除していなかった。
森本はをに事を聴き、隣民にも話を聞いた。だが恵が望むほど、広範囲の捜索には踏み込まなかった。
やがて町には噂が広がり始めた。
護学の同級たちは週末ごとに集まり、自主に捜索をった。教会では祈りのが設けられ、作りの事が持ち寄られた。
方で、の過や経済な定さを理由に、彼を疑う声も始めた。
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