"古井戸の満点少女" 第5話
健は何も言わなかった。
「歯の鑑定の結果、桜さんと確認されました」
言葉が終わっても、健はしばらくかなかった。目を閉じることもせず、ただ刑事の顔を見つめていた。
やがて、ゆっくりとうつむいた。
膝のに置かれた両が震えていた。
声はなかった。
10、娘が帰ってくると信じて耐えてきた。そのが、その言で崩れた。
再捜査はすぐに始まった。
今度は未解決の失踪事件ではない。殺事件だった。
科学捜査チームが組まれ、制の布切れ、受験票の破片、井戸の壌サンプルが分析された。さらに遺体の表面から、髪の毛1本、爪のやに混ざった微細な組織が採取された。
10が経っていた。
保状態は良くない。
しかし2009のDNA分析技術は、1999とは違っていた。ごくわずかな資料でも、部分なDNA報を読み取ることができた。
再捜査チームは、10の捜査記録を最初から読み直した。
段ボール箱2つ分の記録。
供述調。
取調べ記録。
当の写真。
佐々亮太に関する資料。
刑事たちは、1枚ずつ机に広げた。
まず、既の容疑者が理された。
父親の健。
再捜査チームは、彼の10を調べた。毎チラシを配り、何度も再捜査を求め、娘の部をそのままにしてきてきた記録が残っていた。
刑事の1が言った。
「このが犯なら、こんなき方はしない」
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健は容疑者から完全にれた。
庭教師の巧も再確認された。彼は別の域で結婚して暮らしていた。当、桜と昼を取った、学の文具に寄ったという証言が10の員の記憶と致した。午5以の取りにも隙はなかった。
佐々亮太も呼ばれた。正事件で処罰を受け、すでに予備講師としては廃業状態だった。再び調べても、桜が予備をたの取りと亮太をつなぐ証拠はなかった。
3が消えた。
捜査は原点に戻った。
桜は予備をたあと、どこへったのか。
誰と会ったのか。
刑事たちは古い供述調を読み返した。
そこで、伊藤結の供述に目が止まった。
「学を緒にたあと、桜は約束があると言って先にき、私はそのまま帰宅した」
何度も読んだはずの文だった。
刑事は、当収集されていた公衆話の発信記録を取りした。
失踪当の午347分。
学から約100mれた公衆話ボックスから、結の実へ話がかかっていた。
結はまっすぐ帰宅したと言っていた。
それなら、なぜ学くの公衆話から実へ話したのか。
さらに、周辺の通記録も見直された。
1999、防犯カメラはなかったが、郊へ続くには交通量調査のため部の両記録が残っていた。
そこに、結の父、伊藤茂名義のがあった。
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普段は使わないだった。
しかし失踪当の夜11過ぎ、そのは秩父郊へ向かっていた。
そして夜1過ぎ、同じを反対方向へ戻っていた。
その直、鑑識から連絡が入った。
遺体から採取された微細な組織のDNA報が、結との関連を排除できない。
採取していた結のDNAと、致する部分があった。
再捜査チームは直ちにいた。
結はその頃、結婚して宮にんでいた。
30歳になり、会社員として働いていた。から見れば、平凡で穏やかな活を送る女性だった。
刑事2が職ので待っていた。
退勤してきた結は、刑事と目がった瞬、顔の奥で何かを揺らした。
ほんの瞬だった。
だが刑事は見逃さなかった。
取調で、結は最初、10と同じ話を繰り返した。
「学を緒にて、桜は約束があると言って先にきました。私はそのままに帰りました」
刑事は焦らなかった。
机のに調を置き、静かに言った。
「失踪当の午347分、学くの公衆話から、あなたの実に話がかかっています」
結のが止まった。
「それから、その夜、あなたのお父さんのが秩父郊のを往復しています」
取調に沈黙がりた。
結の唇がかすかに震えた。指を組んではほどき、また組んだ。
刑事は最に言った。
「桜さんの遺体から、あなたに関連する痕跡がました」
その瞬、結の肩が崩れた。
彼女はい、をかなかった。
やがて目から涙が落ちた。
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