"48億の離婚届" 第6話
婚そのものは、表って非難されるようなものではなかった。同士の選択であり、法にも成している。
しかし域社会において、評判は類だけで決まるものではなかった。
連れ添った妻との婚。
30歳以の女性とのしい関係。
そして、婚条件をあまりに理にえていたこと。
それらは、法律関係者や元の経営者たちので静かに語られるようになった。
誰も浩司を面と向かって責めなかった。
だが、会議での線が変わった。
以なら自然に頼まれていた相談が、別の弁護士に回されることが増えた。
顧問契約を結んでいた企業の部では、契約内容の見直しが検討された。
浩司の専能力が突然失われたわけではない。
しかし域に根ざした弁護士にとって、私活もまた信用の部だった。特に、庭や相続、企業の信頼関係を扱う仕事では、としての判断や倫理観が見られる。
浩司はその空気の変化をじ取っていた。
事務所で類を確認している、ふとが止まることが増えた。依頼との面談、相の言葉のに以とは違う慎さをじることもあった。
そしてある、彼は恵子が本の資産管理権限を引き継いだことをった。
最初は信じられなかった。
しかし調べれば調べるほど、その事実は確になった。
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約48億円規模の族信託。
婚姻終による権限移転。
厳格に分された特財産。
浩司は専として、その法構造を理解できた。
だからこそ、打つがないことも理解できた。
彼は別の専に相談した。婚姻期の資産形成、信託財産の扱い、夫婦共財産として争う余。
返ってきた答えは、どれも同じだった。
本正志が構築した族信託の枠組みは極めて厳格であり、恵子の資産が婚姻共財産として扱われる余はない。
浩司は相談先の事務所をたあと、しばらくのでけなかった。
自分が理にめた婚が、恵子にとってはしい権限をく鍵になっていた。
その事実は、彼の胸にく落ちた。
さらに、彼がたなの伴侶として選んだ若い女性との関係にも、変化が起き始めた。
当初、その女性は浩司の社会位や将来性に期待を抱いていた。齢差はあっても、域で評価される弁護士としての浩司には定があった。
しかし婚、浩司の社会評価に微妙なが差し、経済な見通しにも予の現実が見え始めると、2のには距がまれた。
話しいの回数は減った。
連絡への返事も遅くなった。
やがて女性は、静かに関係を解消する決断をした。
浩司は引き止めることができなかった。
彼がに入れようとしたしいは、ったよりもく形を失っていった。
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その頃、浩司は恵子に連絡を試みた。
「度、話をしたい」
い文面だった。
恵子はそれを読んだ。
指先で画面を閉じ、しばらく窓のを見た。
りはあった。
しみも、もちろん残っていた。
けれど、もう戻るつもりはなかった。
恵子は返信をしなかった。
沈黙は、彼女にできる最も静かな答えだった。
浩司からの連絡は、そのも何度か届いた。
最初は形式な文面だった。
況を尋ねる言葉。
度会って話したいという申し。
過について理したいという回しな表現。
恵子は、どの文面にもすぐには反応しなかった。
な拒絶を返すことは簡単だった。
「今さら何を言っているのか」と責めることもできた。
しかし、恵子はそれを選ばなかった。
彼女はすでに、浩司との関係を終えた現実を受け入れていた。法にも、活のでも、のでも、しずつ距を置いていた。
直接なりをぶつければ、また過に引き戻される。
言い争えば、32のをもう度傷つけうことになる。
だから恵子は沈黙した。
その沈黙は、さではなかった。
未練でもなかった。
成熟した拒絶だった。
域社会ので、恵子の態度は静かな印象を残した。
彼女は浩司の悪を言わなかった。婚の経緯を詳しく語ることもしなかった。資産を継承したことを誇示することもなかった。
ただ、これまでと同じように活を続けた。
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