"月あかりの逆転食卓" 第5話
次に役所へった。
その、産関係の類を確認し、必な続きをめた。
最に弁護士事務所へ向かった。
紹介してもらった弁護士は、落ち着いた表の男性だった。私が持参した資料を1枚ずつ確認しながら、静かに話を聞いてくれた。
「梨子さん、これまで相当な援助をされてきたんですね」
「はい。でも、もう終わりにします」
私は淡々と答えた。
「これ以、あの子たちを甘やかす必はありません」
弁護士はさく頷き、点をまとめた。
「まずは毎の援助を全て止しましょう。続いて、名義変更が必なものや、梨子さん単独の権利として戻せるものは理します。で揉めても問題ありません。ご自の権利です」
正治が横で静かに言った。
「妻の判断に従います。今までよくしましたから」
その言葉に、胸がし軽くなった。
これはりの復讐ではない。
自分を取り戻すための続きだった。
類に署名しながら、私はさく呟いた。
「私は、私のを切にする」
昨までの自分とは違う声だった。
この瞬、逆転の歯は静かにき始めた。
翌の午、のには昨までの苦しさがまだ残っているようだった。けれど、私のではしずつ空気が入れ替わっていた。
私は静かにキッチンの子に腰をろし、スマートフォンをに取った。
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Instagramのアイコン。
久しくいていなかった。
それをタップすると、懐かしい画面が広がった。
「あかりクック」
フォロワー30万の匿名料理アカウント。
そこは、私が何も切に育ててきたもう1つの居所だった。
私は昔から料理を写真に撮るのが好きだった。庭料理でも、の当て方や器の選び方で表が変わる。そのさな夫が楽しくて、趣として投稿を始めた。
気づけばくのが見てくれるようになり、料理教の依頼が来るほど気になっていた。
けれど、奈々に言われたことがあった。
「お義母さんがSNSなんて、ちょっと恥ずかしいですよ」
その言葉をきっかけに、私は更を控えるようになった。
奈々のを邪魔したくなかった。
秀夫ので気まずくなりたくなかった。
けれど、昨のあの言葉が胸を刺した。
「あなたたちのために控えていただけだったのよ」
誰に言うでもなく、のでそっと呟いた。
私は久しぶりに投稿画面をいた。
い皿に並ぶ野菜のかき揚げ。
朝の柔らかなを含んだ、丁寧な1枚。
文章を添える。
「のを包んだかき揚げ。今も誰かの卓が、温かいになりますように」
投稿ボタンを押した瞬、通音が鳴り始めた。
いいねが増えていく。
コメントが届く。
「待っていました」
「あかりさんの料理がまた見られて嬉しいです」
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「この優しいじが好きです」
私は涙がそうになるのをこらえた。
ここには、私の料理を好きだと言ってくれるがいる。
それだけで、胸がし軽くなった。
その頃、秀夫ののリビングでは、真理子がソファに座り、スマートフォンを眺めていた。
画面に映るのは、気アカウント「あかりクック」のしい投稿だった。
「まあ、戻ってきたのね。この」
真理子は姿勢を正し、画面に顔をづけた。
「やっぱり素敵だわ。盛り付けも写真のも完璧。まで像できるもの」
キッチンから奈々が声をかける。
「何見てるの? またレシピ研究?」
「そうよ。このあかりっての料理、本当に参考になるの」
「へえ。ママのインスタにも使えそうじゃん」
「し参考にさせてもらおうかしら」
真理子は投稿の材料、分量、器の配置まで細かくスクリーンショットに残し、帳にき写すように研究し始めた。
そしてそのの夕方、キッチンでは真理子が「あかりクック」の写真とほとんど同じ器を使い、同じ角度で盛り付けをえていた。
奈々がスマートフォンを構えながら言った。
「ママの今の投稿、絶対映える」
「そうね。族がぶ晩ご飯ってけばいいかしら」
真理子は満そうに微笑み、写真を撮った。
投稿文もどこか似ていた。
「のりを閉じ込めてみました。今も族の笑顔があふれますように」
投稿ボタンを押す。
スマートフォンには次々といいねがついていった。
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