"月あかりの逆転食卓" 第6話
本たちは、まだ気づいていなかった。
その料理が、昨「気持ち悪い」と笑った私のものを真似ているということに。
週末の昼がり、学が休みだったは、リビングのテレビをつけたまま宿題をしていた。
るい報番組の音楽が流れ、画面のにテロップがる。
「SNSで気、匿名の料理アカウント『あかりクック』を特集」
のが止まった。
「あかり……?」
画面には、優しいいの料理写真が映っていた。野菜のかき揚げ、煮物、ちらし寿司、季節の菓子。どれも、どこか見覚えがある。
は自然と胸が鳴るのをじた。
キッチンでは奈々が洗い物をしていた。真理子はテーブルで雑誌をめくっている。
はテレビにづき、画面をい入るように見つめた。
そして、ふと声をげた。
「ママ、おばあちゃんの料理、テレビでやってる」
奈々と真理子が顔をげた。
「え? 何のこと?」
「料理番組なんて、さっきまでやってないわよ」
はテレビを指さした。
「これ、あかりさんの料理。バーバの料理とすっごく同じなんだよ」
奈々のきが止まった。
真理子も雑誌をめくるをぴたりと止めた。
画面には、あかりがこれまで投稿してきた料理写真が次々と映しされていく。
野菜のかき揚げ。
煮物の器の角度。
季節の菓子。
の入り方まで計算された写真。
そのどれもが、真理子が最自分のInstagramで披していた料理と似ていた。
広告
奈々がさく呟く。
「え、なんで……そっくり」
真理子の顔から血の気が引いていく。
「まさか。偶然よ。偶然に決まってるわ」
その声は震えていた。
さらに番組は続いた。
アナウンサーがるく言う。
「そのあかりさん、実は芸能からもオファーが殺到するほどの気でして、今回、番組取材にもく応じていただきました」
画面が切り替わり、インタビューVTRが始まった。
顔は映っていない。
元だけが映る。
けれど、それは紛れもなく私、梨子のだった。
包丁の扱い。
材を押さえる指。
器にそっと盛り付ける仕。
庭で丁寧なき。
が何度も見てきた、バーバのだった。
は目を輝かせて叫んだ。
「やっぱり! あかりさんの、バーバと同じなんだよ!」
奈々のから皿が滑り落ちた。
キッチンに、かしゃんという乾いた音が響いた。
真理子は震える声で言った。
「ちょ、ちょっとやめなさい。そんなことあるわけないでしょう」
しかし、テレビのテロップが追い打ちをかけた。
「あかりさんの料理を真似するアカウントが急増」
続けて番組は、ネットの投稿を映した。
「これ完全にあかりのパクリじゃない?」
「器も角度も文章も同じ」
「最増えてる偽あかり問題」
「これはアウトでしょ」
そして画面に映った1つの投稿に、奈々は目を見いた。
それは、真理子のアカウントの写真だった。
広告
器も構図も、投稿文までもがあかりとほぼ致している。
奈々は震える声で呟いた。
「ママのだ……」
真理子は青ざめたまま固まった。
「違うのよ。私はただ参考にしただけで……」
だが次の瞬、ネットのコメントが写しになった。
「この、昨『田舎料理は気持ち悪い』とかいてたと同じじゃない?」
「族の会話、全部バレてるぞ」
「特定されてる」
「終わったな」
奈々の顔が引きつった。
「え、なんで? 昨の会話、どうして……?」
がそうに2を見げた。
真理子は子に座り込み、奈々はスマートフォンで自分たちの過投稿を確認した。
周囲の投稿には、見覚えのある卓、背景の具、笑って映った奈々と真理子の姿。特定材料になるものがいくつも残っていた。
炎は、すでに始まっていた。
そしてそのには、昨自分たちが嘲笑した梨子の料理、「あかりクック」の世界があった。
真理子のスマートフォンは、テーブルので震え続けた。
通の数は、すでに999を超えていた。
「これ完全にパクリでしょう」
「あかりさんの写真と致しています」
「あなた、昨の発言覚えてる?」
「田舎料理は気持ち悪いって言ってただよね」
「族で見してたくせにパクるって終わってる」
真理子は青ざめ、両を震わせながら呟いた。
「嘘よ。嘘、嘘……なんで。なんでこんな急に……」
奈々も青ざめたままスマートフォンを握った。
会社のチャットに通が届いていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第17話
母の墓に立つ母
10歳の少年・ハルトは、3年間、亡き母の墓に通い続けていた。 しかし、イギリスへの養子縁組が決まったある日、最後の別れを告げるために訪れた墓前で、彼は見知らぬ女性と出会う。 その女性は、母と同じ顔をしていた。 「……お母さん?」 震える声で呼びかけた瞬間、女性の顔色が変わる。彼女もまた、ハルトの顔に信じられないものを見ていた。 なぜ、亡くなったはずの母と同じ顔の女性が墓の前にいたのか。 なぜハルトは、突然海外へ送られようとしているのか。 そして、彼の出生に隠された真実とは何なのか。 10年前に引き裂かれた恋、双子の姉妹、山奥で守られ続けた小さな命。 すべての秘密が動き出した時、少年は初めて、自分を守るために誰が何を犠牲にしてきたのかを知ることになる。人生逆転|兄弟姉妹|親子関係2.6萬字5 15 -
完結第14話
追放嫁と姑の鍵
8年間、夫の連れ子を育て、病気の姑を支え、家族のためだけに生きてきた美咲。 しかし、夫・健二は突然、8年前に子どもを捨てて出ていった前妻リナを家に呼び戻す。実の母親が帰ってきたという理由で、美咲は離婚届に判を押し、何も持たず家を出ることになった。 ベランダの花も、子どもたちの絵も、彼女が守ってきた居場所も、すべてリナの手で消されていく。 そんな美咲に、姑の芳江がそっと差し出したのは、古びた1本の鍵だった。 「神戸の元町の裏通りに、空き店舗が1つある。行って、開けてご覧」 8年間、足を引きずり、弱々しく見えていた姑が、なぜその鍵を持っていたのか。 そして、家を追い出された美咲を待っていた“本当の居場所”とは――。嫁姑|夫婦2.1萬字5 77 -
完結第9話
食卓追放の1億3000万
「お母さんは、ここでは食事しないでくれる?」 67歳の佐々木洋子は、息子一家との夕食の席で、突然そう告げられた。 その料理を作ったのは、30年間ホテルの厨房に立ち続けた元料理長の洋子本人。家族のために腕を振るったはずの食卓で、彼女だけが別室へ追いやられる。 嫁は台所から洋子を遠ざけ、息子は妻の味方をし、夫までも見て見ぬふりをする。小さな違和感は、いつしか明確な排除へと変わっていった。 その夜、客間で眠れずにいた洋子は、リビングから聞こえてきた家族の本音を耳にしてしまう。 「洋子はもう用済みなんだから」 さらに彼らは、洋子を施設へ入れ、実家の土地まで売ろうとしていた。 けれど彼らは知らなかった。洋子が守り続けてきた資産の本当の名義も、彼女がまだ失っていない“料理人としての誇り”も。 食卓から外された母が、静かに取り戻したものとは――。親不孝|絶縁|親子関係1.3萬字5 379 -
完結第10話
弁当箱の中の復讐
長年寝たきりだった娘・ゆりえを、夫とともに介護し続けてきた百合子。 夫を亡くした後は、長男夫婦と同居しながら、残された娘を必死に支えていた。嫁の美和は表向きは優しく、家事も手伝ってくれる理想的な嫁に見えた。 しかし、娘の葬儀の日。 休憩室のそばで、百合子は美和の本音を聞いてしまう。 亡くなったばかりの義妹を侮辱し、介護を「迷惑だった」と笑う声。さらに、美和が普段から周囲に見せていた顔とはまったく違う一面も、少しずつ明らかになっていく。 娘を傷つけられた母は、何も知らないふりをしたまま静かに動き出す。 優しい姑の笑顔の裏で、百合子が仕掛けたものとは何だったのか。 そして、美和が会社でも家庭でも居場所を失うことになった“ある弁当箱”の中身とは――。親不孝|親子関係1.4萬字5 1299 -
完結第9話
雨の日の給食費制裁
雨の夕方、小学3年生の孫・明里が、びしょ濡れのまま私の家へやって来た。 小さな手に握られていたのは、学校から届いた給食費滞納のお知らせ。 「パパとママは?」 そう尋ねると、明里は泣きながら答えた。 「もう1人のばぁばと、お鮨を食べに行ったの……」 孫の給食費すら払わず、私が明里のために渡していたカードで、嫁とその母親は贅沢三昧。ブランド品、高級料理、見栄のための浪費。その裏で、明里は古い服と短くなった鉛筆を使い、泣きながら我慢していた。 その夜、私はカード会社へ電話をかけた。 「今すぐ停止してください」 それは、すべての援助を断ち切る合図だった。 しかし彼女たちは、まだ知らない。 止まったのはカードだけではない。これまで築いてきた見栄も、地位も、逃げ道も――すべてが静かに崩れ始めていた。嫁姑|親子関係1.3萬字5 971 -
完結第12話
無能嫁のタワマン逆転
73歳の玲子は、75歳の夫と45歳の息子・徹と暮らしていた。 夫は昔ながらの価値観を持つ元銀行員。家事も育児もすべて玲子に任せてきたにもかかわらず、完全退職後、家にいる時間が増えると、徹と玲子を見下すようになる。 「独身無職の親のスネかじりと、無能な嫁は出ていけ」 そう怒鳴られた瞬間、玲子は静かに決意した。 夫は知らなかった。引きこもりだと思い込んでいた息子が、実は在宅で高収入を得るフリーのエンジニアになっていたことを。そして、長年“何もしていない嫁”と見下していた玲子にも、正当な権利と新しい人生が残されていたことを。 2か月後。 玲子と徹が暮らすタワーマンションの前に、夫が現れる。手には、かつて玲子が好きだったコンビニスイーツ。 追い出したはずの妻と息子が、なぜ自分より豊かに暮らしているのか。 昭和の価値観にしがみついた夫が、ようやく失ったものの大きさに気づく――。相続|親子関係1.8萬字5 475 -
完結第11話
お年玉泥棒の末路
義母の文江さんと夫、そして小学2年生の娘と穏やかに暮らしていた直美。 ただ1つの悩みは、週に1度のように実家へ来ては夕食を食べ、嫌味を言い、冷蔵庫の中の物まで勝手に持ち帰る義姉・美佐子の存在だった。 正月、義姉が北海道土産として持ってきた生ハムを食べた義母が、突然の食あたりで入院する。直美たちは毎日病院へ見舞いに通ったが、その間に家の中では不可解なことが起きていた。 冷蔵庫から消えたプリンとゼリー。 買い置きの缶詰やビール。 そして、義母が孫のために用意していたはずのお年玉まで、忽然と姿を消していた。 そんなある日、直美のもとに義姉から電話がかかってくる。 「お年玉ありがとう。明日迎えに行くから、よろしくね」 一体、義姉は何を勘違いしているのか。 そして、白い封筒に隠されていた“本当の予定”とは――。 長年言われっぱなしだった嫁が、家族を守るために初めて声を上げる、正月の逆転劇。嫁姑|親子関係1.6萬字5 693 -
完結第25話
借金遺産の復讐~50 歳で手に入れた真の人生
娘の一生に一度の結婚式、晴れやかな舞台に連れてきたのは夫の愛人。 私は怒鳴りもせず、静かに席を譲った。 周囲の視線が刺さる中、新郎の父だけが私の心中を見抜き、深く頭を下げてくれた。 26 年間、介護と家事、夫の理不尽な暴言を全部一人で抱えて耐え続けた。 義母が残したのは 8000 万の負債だけの土地と古家、兄弟たちは借金を前に逃げ散り、夫は愛人と共に会社金を横領、契約書まで偽造し私を連帯保証人に仕立て上げようとした。 録音の証拠、離婚届、警察の逮捕状…… 積もり積もった苦しみが静かな復讐へと繋がる。 全てを失った夫は刑務所へ、私は義母の遺言と昔の才能をきっかけに上場ホールディングスの CFO に就任。 50 歳を過ぎて初めて自分の人生を手に入れた主婦の、涙と逆転の物語。 夫の裏切り、親族の薄情、莫大な借金の重圧を乗り越え、誰にも頼らず輝きを取り戻す。 長年我慢してきた女性たち必読!嫁姑|夫婦|裡の顔3.8萬字5 480