"月あかりの逆転食卓" 第7話
恐る恐るくと、職の会話が目にび込んでくる。
「これ奈々さんのだよね?」
「嫁母さん完全にアウトじゃん」
「本も緒に笑ってたんでしょう?」
「企業としては倫理に問題あるよね」
奈々のが震え、スマートフォンを落とした。
拾いげる気力もない。
「そんな、私まで……」
が配そうに奈々の袖を掴んだ。
「ママ、怖い。バーバの料理が、なんでられてるの?」
奈々は答えられなかった。
その頃、秀夫の会社にも響は広がっていた。
午の会議、いつもなら声をかけてくれる同僚たちが、なぜか線をそらしていく。
やがて司に呼ばれた。
「田さん。奥様のお母さん、ネットで騒ぎになっていますね」
秀夫は凍りついた。
「ちょ、ちょっと待ってください。うちは何も……」
司はタブレットを差しした。
そこには、真理子のアカウントが料理パクリ騒で炎している画面があった。さらに、族ぐるみで母親の料理を侮辱したという話まで広がっていた。
「気持ち悪い料理」と言ったのは、嫁とその母。
そして、そので息子は黙っていた。
そういう音声の部まで回り始めていた。
秀夫は顔を覆った。
「終わった……」
司は淡々と言った。
「クライアントからも問いわせが来ています。しばらくきい案件からはれてもらいます」
秀夫の元から力が抜けた。
では、真理子が泣き叫んでいた。
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「私のせいじゃない。だってあかりの料理が素敵だったから、ちょっと真似しただけなのよ。それをなんでこんな事に……」
奈々は震える声で返した。
「ママ、気持ち悪いって言ってたでしょ。それが全部回ってるの」
真理子の顔が歪んだ。
「だって、田舎料理は恥ずかしいじゃないの」
その瞬、がさく叫んだ。
「田舎料理じゃないもん。バーバが作った、世界で1番優しいご飯だもん」
奈々と真理子が固まった。
は泣きじゃくりながら続けた。
「バーバ、きっとたくさんをかけて作ってくれてたのに。気持ち悪いなんて言わないで」
その言葉に、の空気が瞬で静まり返った。
奈々の胸の奥に、鋭い痛みがった。
母としての気持ちを守れなかった自分。
料理を作ってくれた梨子を、「気持ち悪い」「のご飯」と嘲笑した自分。
真理子の顔は怯え、青ざめ、震えていた。
その、奈々のスマートフォンが鳴った。
友からのメッセージだった。
「奈々、やばいよ。これ完全に特定班に狙われてる。所も話番号もそう」
奈々は息を呑んだ。
真理子が震える声で言った。
「ねえ、奈々、どうしよう。このままじゃまで来られる……」
炎は止まらなかった。
いや、これからが本番だった。
ネットの特定班は族の過を遡り、会話を拾い、写真を照し、次々と晒し始めた。
「田舎料理を笑った族」
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「パクった自分の飯よりSNS」
そんな言葉がトレンドにがり始めた。
そしてこの炎が導く結末は、族全員の予を超えていた。
私のしいマンションには、まだ段ボールが積まれていた。
息子夫婦への援助を止め、相続の方針も見直し、必な続きを終えた、私は正治と共にまいを移していた。
きなではなかった。
けれど、私たち夫婦2が穏やかに暮らすには分だった。窓からはさな公園が見え、朝には鳥の声が聞こえる。台所はし狭いが、の届く所に具が収まっていて、むしろ使いやすかった。
その夜、20を過ぎた頃だった。
インターホンの乾いた子音が、リビングに響いた。
私はにしていた湯呑みを置いた。
「こんなに誰かしら」
正治が画面を覗き込み、顔を曇らせた。
そこには、に濡れた奈々、秀夫、そして真理子の姿が映っていた。
3とも、まるで別のような表だった。
奈々は化粧が落ち、目の周りが赤く腫れていた。秀夫のはしわになり、肩は落ちている。真理子は傘を抱えたまま、両を震わせていた。
私はく息を吸い、玄関へ向かった。
扉をしだけける。
「何かしら」
奈々がいきなりをげた。
「お母さん、本当に、本当にすみませんでした」
声が震え、涙がぽたぽたと玄関のに落ちた。
続いて秀夫も、これまで見たことのないほどくをげた。
「母さん、俺が……俺が全部悪かった。何ひとつ守れなかった」
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