"赤ワインの逆転離婚" 第6話
私はわず目を見いた。
「向こうから声をかけてきたの?」
「ああ。そのまま何度か会うようになって、付きうことになった」
あまりにも急で、あまりにも軽い説だった。
結婚していることをりながらづいた女と、何の迷いもなく関係を持った夫。その2が今、ワインに濡れた私ので当然のように並んでいる。
「それで、今は何をするつもりだったの?」
夫は言葉を選ぶように唇をかした。
「級ステーキで嫌を取ってから、婚の話をしようとってた」
を疑った。
「私、どれだけ肉に飢えているとわれてるの?」
ステーキをべさせれば、浮気も婚も笑顔で受け入れるとったのだろうか。夫が私をどれほど単純で、いだとっていたのかが伝わってきた。
「そういうじゃないよ。ただ、落ち着いて話せる所が必だったんだ」
「それで浮気相を隣の席に待させていたの?」
夫は何も答えられなかった。
代わりに楓が夫の腕へ自分の腕を絡め、私を見ろした。
「もう彼を解放してあげたら? あなたといても幸せになれないって言ってるの」
その態度に、胸の奥で何かが切れた。
夫は楓の腕を振り払うこともなく、私へ向き直った。
「悪いけど、もう俺はおとはやっていけない。楓は俺のことを持ちげてくれるし、いつも素敵だって言ってくれる」
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夫の声は徐々にくなった。
「優しくて、魅力のある女性なんだ」
と胸が同に痛んだ。
私は夫婦として程よい距を保ち、互いの活を尊しながらやっていけるとっていた。にいい関係だと考え、この先も続いてほしいと願っていた。
そうじていたのは、私だけだった。
夫にとって私は、自分を持ちげず、常に褒めてくれない魅力のない妻でしかなかったらしい。
私は楓のに握られたワインボトルを見た。
「その魅力な女性は、会ったこともない私にワインをかけて、に迷惑をかけても平気な顔をしているけど?」
夫は楓を度振り返ったものの、すぐに私へ線を戻した。
「それは、俺のことが好きだからになっただけだろ」
呆れて言葉を失った。
恋は盲目とは、こういうことを言うのだろう。
いくら相を好きでも、見らぬのからワインをかけ、級のまで汚してらない顔をしているを優しいとはえない。
夫の表を見つめていると、胸のから何かが静かに消えていった。
がなくなるには、きな音も痛みもない。
ほんの瞬で、すべてがめてしまうのだ。
周囲では員たちが困り果てた様子でち尽くしている。騒ぎをきくしたくないのか、私たちへどのように声をかけるべきか迷っているようだった。
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申し訳なさが込みげた。
くやの弁償について話しい、をなければならない。責任を負うべきなのは私ではなく、ワインをかけた楓と、その楓を連れてきた夫だ。
私が夫へ対応するよう求めようとした、夫が先にをいた。
「でも、恵も悪いんだからな」
「何ですって?」
夫は自分を正当化するように胸を張った。
「俺を放っておいたおにも責任がある。仕事ばかりで夫婦のを作らなかっただろ」
「それはあなたも同じでしょう」
「俺はずっと寂しかったんだよ。だから楓とこうなったのも、おのせいでもある」
あまりにも勝な言葉に、私は夫の顔を凝した。
夫婦のがなかったことは認める。しかし、私だけが仕事を優先していたわけではない。
夫も休をわせようとはしなかった。忙しいには互いに助けい、それでもたまに過ごせるを切にしているつもりだった。
浮気を選んだのは夫自だ。
その責任まで私へ押しつけられる理由はない。
夫はさらに言葉をねた。
「だから慰謝料は払わないからな」
「はあ?」
わずきな声がた。
このは私に申し訳ないという気持ちを、ほんのしも持っていない。浮気相を連れてきて、私へワインを浴びせ、婚を突きつけたうえで、自分は何も支払わないと言っている。
どうすればここまでひどい言葉を平然とにできるのか。
「ふざけないで!」
私が叫んだ、そのだった。
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