みかん小説
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"赤ワインの逆転離婚" 第7話

からサイレンの音がづいてきた。

赤いが窓ガラスへ反射し、内を瞬だけ照らした。

驚いた夫と楓が、同に入へ顔を向ける。

「あの……110番しました」

おずおずとげたのは、騒ぎの成りきを見守っていた員だった。

「お客様同士だけでは収まらないといまして……」

状況を考えれば当然の判断だった。

私のも、そうなのマットも、赤ワインに染まっている。鳴り声がび交い、ワインをかけた本は逃げようとしていた。

私は夫へ厳しい線を向けた。

「警察にきちんと事を説して、おにも弁償しなさいよ」

「俺が?」

「あんたの彼女がやったことでしょうが」

私の剣幕に押され、夫はさく肩を落とした。

「分かったよ」

ワインの酔いも気にめたのだろう。先ほどまでの偉そうな態度は消え、夫はそうに入を見つめていた。

やがて、警察官が内へ入ってきた。

ところが事を説しようとした直、楓が突然体の向きを変えた。

「じゃあ、私は帰るから」

「いやいや、何を帰ろうとしてるのよ!」

私はわず楓のへ回り込んだ。

番帰ってはいけないのは、あなたでしょう」

夫も慌てて楓の腕へを伸ばした。

「帰らないでくれよ、楓」

楓はそのを振り払い、もうとした。

「嫌よ。私には関係ないわ」

「あなたが番関係ありますよ」

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腕をく掴めば、今度は私が何かしたと言いがかりをつけられるかもしれない。私は直接触れず、を塞ぐようにくへった。

警察官が私たちのに入り、落ち着くよう声をかけた。

私はからワインをかけられたこと、楓がろうとしていること、夫が彼女との関係を認めたことを順番に話し始めた。

を聞きながら、警察官は夫と楓を交互に見ていた。

その途、夫が楓へ線を投げた。

顔をわせないようにという図にも見えた。

警察官が楓へ目を向けた瞬、怪訝そうに眉を寄せた。

「あれ……?」

楓は顔を見られまいと、急に横を向いた。

警察官が顔を確認しようと回り込むと、楓は反対側へ顔を背ける。警察官が再び移すると、楓も同じように向きを変えた。

その自然なやり取りが何度か続いた、警察官が突然声をげた。

「ああ!」

警察官は携帯していた資料を取りし、楓の顔と何度も見比べた。

そして確信したように頷いた。

「やっぱりそうだ」

楓の顔が目に見えて変わった。

「君、結婚詐欺で指名配されているね」

「えっ?」

私と夫の声がなった。

楓だけは元を引きつらせながら、何もらないふりをしようとしていた。

「何の話ですか?」

警察官は資料に載っている写真と、目のの楓を見比べた。

違いない。化粧や髪形は変えているけど、このの女性と同じだ」

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「私じゃないわ!」

楓は声を荒らげ、突然ろうとした。

しかし警察官がすぐにを塞いだ。楓は反対側から逃げようとしたが、駆けつけていた別の警察官が回り込み、内でい攻防が始まった。

して! 違いだって言ってるでしょう!」

楓は腕を振り回し、逃れようとした。

その様子には、先ほどまでの品な雰囲気も余裕も残っていなかった。ドレスの裾を乱し、必の形相でを見つめている。

やがて楓は警察官に取り押さえられた。

私は赤ワインに濡れたまま、その景を呆然と見つめていた。夫もけ、何が起きているのか理解できないようだった。

その、楓が本当に指名の結婚詐欺師であることが確認された。

もちろん夫も、彼女の標の1だった。

楓は結婚をほのめかしながら男性へづき、言葉巧みにさせていたらしい。夫が自分のことを素敵だと言ってくれる魅力な女性だと信じていた相は、夫自ではなく、夫のを見ていたのだ。

警察に連される楓を見ながら、夫は顔面を蒼にしてち尽くしていた。

「楓……」

を呼んでも、彼女は夫を振り返らない。

警察官に促されて入へ向かう楓へ、私はどうしても聞きたいことがあった。

「どうしてワインをかけたの?」

楓はを止め、苛ったように振り返った。

「とっとと婚してほしかったからよ」

それだけ言うと、再びを向いた。

結婚詐欺で指名配されながら、級レストランでへワインを浴びせるほど目を取る。

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