"赤ワインの逆転離婚" 第8話
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完結第12話
夫に「姉のふり」を頼まれた日
「30分だけ、俺の姉ということにしてくれ」 妊娠7か月の奈緒が夫の昇進祝いへ行くと、夫の隣には淡い青のドレスを着た若い部下が座っていた。 社員たちは彼女を「奥様」と呼び、「来年の結婚が楽しみですね」と祝福していた。 夫は社内で、奈緒とは離婚協議が終わっていると説明していたのだ。 「じゃあ、お腹の子はあなたの姪ということ?」 その時、若い部下が廊下へ現れた。 夫は慌てて、奈緒が別の男の子を妊娠し、自分につきまとっているのだと言い出した。 奈緒は黙って、その日の朝に届いたメッセージを見せた。 《帰ったら赤ちゃんの名前を決めよう》 《日曜日はベビーベッドを見に行こう》 部下の顔から血の気が引いた。 しかし会場のスクリーンに映し出された夫の受賞企画を見た瞬間、奈緒はさらに重大な嘘に気づく。 それは2年前、彼女が自分の名前で作ったはずの企画だった。怒り|夫婦|第二の人生|不倫1.8万字5 26 -
完結第15話
兄を笑った銀行一家へ、300億円の解約通知
挙式15分前、新郎控室で待っていたのは、白いタキシード姿の兄1人だった。「結婚も、式も、全部ドッキリだったって」。婚約者の父は銀行会長。その家族が送りつけた80秒の動画には、兄を嘲る笑い声が残っていた。23年前から親代わりになり、私を育ててくれた兄が、今度は自分の幸せを選ぼうとしただけなのに。兄の隣に座った私は動画を保存し、財務責任者へ電話をかける。「じゃあ、預金300億、全額解約で」。銀行一家が見下していた妹は、美容企業グループの創業者兼会長だった。だが、私がその銀行に会社の資金を預け続けていた理由を、彼らは知らない。答えは、兄が保管していた古い茶封筒の中にあった。夫婦|親子関係2.1万字5 712 -
完結第14話
母に買った家を狙う婚約者
「結婚前に母親へマンションを買うなんて、嫁としての自覚がないわ」 未来の姑は、私が自分で貯めたお金の使い道まで責め始めた。 婚約者も「結婚後は僕たちの家庭を第一にして」と母親の味方をした。 私は怒らず、静かに尋ねた。 「分かった。じゃあ結婚後は、お互い自分の親には1円も援助しないってことでいいよね」 すると、2人の顔色が一瞬で変わった。 「それとこれとは話が別でしょう。長男の嫁なら夫の親を支えるのは当然よ」 私の母への援助は身勝手で、夫の両親への援助は当然らしい。 さらに姑は、母のマンションを「必要なら売ればいい」とまで言い出した。 なぜ私の預金額や退職金を、何度も確認していたのか。 なぜ婚約者は、突然結婚を急ぎ始めたのか。 私はバッグの中の茶封筒へ触れた。 そこには《最終通知》の文字と、約3000万円という金額。 そして婚約者の名前が記された、もう1枚の書類が入っていた。嫁姑|夫婦|相続|金銭問題2.0万字5 638 -
完結第10話
27年目、妻は食卓を捨てた
「……もう、必要ないのね」 27年間作り続けた夕食を、家族5人はスマホを見たまま無言で食べた。 「いただきます」も「おいしい」も、誰の口からも出なかった。 翌朝、私が食卓に残したのは一枚のメモだけ。 《今日から、自分のことは自分でお願いします》 夫は鼻で笑い、私が困って戻るよう家族カードまで停止した。 「パート代だけで、一人で暮らせるわけがない」 ところが3日たっても、私は助けを求めなかった。 家族が食事や洗濯、義母の薬の管理に困り始めた頃、娘が台所の奥で古いノートを見つける。 表紙には《家族のこと》。 そこには27年間、誰にも気づかれなかった私の記録が残されていた。 さらにノートから落ちた封筒には、夫が想像もしなかった書類が入っていた。 《常勤職員登用に関する雇用条件通知書》――返答期限は、今日だった。嫁姑|夫婦|親不孝1.6万字5 1853 -
完結第10話
「忘れ物」で夫の嘘がばれた日
「あなた、健一さんから何も聞いてないの?」 母が「薬を忘れた」と言い、空港へ向かうタクシーを引き返した。 ところが自宅へ戻っても、母は何も探さない。 代わりに差し出したのは、私名義の土地と家を売るための査定書だった。 現地確認は今日の午後3時――私たちがハワイにいるはずの時間だ。 夫は「結婚25周年のプレゼント」として、1週間の母娘旅行を用意してくれた。 だが書斎からは、私の通帳、身に覚えのない委任状、さらに偽造された離婚届まで見つかった。 午前10時23分、玄関の鍵が開く。 帰宅した夫は、見知らぬ女と笑いながら言った。 「1週間もハワイに追いやるなんて、よく考えたわよね」 「家を売るための必要経費だと思えば安いもんだ」 襖の陰で録音を続ける私たちに、夫はまだ気づいていない。 そして午後3時、この家には不動産会社だけでなく、私の弁護士もやって来る――。夫婦|親不孝1.5万字5 1820 -
完結第12話
母親ではないと言われた日
「あの人は本当の母親ではありません」 小学5年生の授業参観で、姑・光江は教室中に聞こえる声で、継母の佳奈恵を否定した。 理子が5歳で実母を亡くしてから、佳奈恵は6年間、食事や通院、学校生活を支えてきた。それでも夫の俊一は「母さんに悪気はない」と繰り返すだけだった。 翌朝、佳奈恵は学校から一本の電話を受ける。理子の緊急連絡先が佳奈恵から光江へ変更され、その書類には俊一の署名まであった。 さらに姑は、英語教室や私立校への転校まで、本人に黙って決めようとしていた。 家族会議の日、11歳の理子は青いノートを抱えて現れた。表紙には《勝手に決められたこと》――そこには、祖母だけでなく父が娘へ強いてきた「我慢」が、2年分の日付とともに記されていた。因果応報|嫁姑|親子関係1.7万字5 697 -
完結第12話
追い出された妊婦の家
「妊婦が広い家を独占する必要はない。嫌なら、お前が出ていけ」 妊娠8か月の健診から戻ると、赤ちゃんの部屋が義妹一家の寝室になっていた。 ベビーベッドは分解され、私の仕事机まで段ボールで埋め尽くされていた。 姑は「離婚した娘を家族で助けるのは当然」と言い、相談もなく泊まり込みを決めていた。 夫まで笑いながら言った。 「お前は実家で産めばいい。空いた部屋を使って何が悪い」 私は翌朝までに全員を退去させるよう求めた。 しかし夫は「この家は夫婦のものだ」と聞く耳を持たなかった。 私は反論せず、その夜だけ家を出た。 翌朝、母と会社の先輩を連れて自宅へ戻った。 そして食卓に、登記事項証明書と退去を求める通知を置いた。 「何だよ、これ。結婚したら家の半分は俺のものだろ?」 夫はまだ、自分が6年間暮らしてきた家の名義を知らなかった。 書類の《所有者》欄に記されていたのは、私一人の名前だった。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦1.8万字5 18 -
完結第15話
「子供3人は全員連れてけ」と言った夫へ
「子供3人は全員お前が連れてけ」。離婚を切り出した恵美に、夫はそう言い放ち、同居の義母も「やっと静かになる」と笑った。仕事部屋を奪われ、子供たちの進路や楽しみまで制限されてきた家で、長男は静かに告げる。「その言葉、忘れないでね」。子供たちは全員、母と暮らすことを選んだ。ところが転居から1週間後、夫と義母から一晩で80件の着信が届く。洗濯、食事、通院、そして家の支払い。戻れと迫る夫は、恵美の新居の家賃が月28万円だと知り、借金を疑い始める。「内職」と見下していた妻の仕事は、本当は何を支えていたのか。恵美は家計簿と口座の明細を並べ、夫が見ようとしなかった数字を確かめていく。夫婦|親子関係2.2万字5 1788 -
完結第15話
「帰ってこなくていい」と笑った家族――20年目の離婚届
43歳の真由美は、夫・浩司と19歳の娘・里奈のため、20年間休むことなく家事と親戚付き合いを担ってきた。ところがお盆に3日だけ実家へ帰ると伝えると、2人から「ずっと帰ってこなくていい」「ママがいないほうが平和」と笑われる。真由美は反論せず、8つの保存容器を残して家を出た。その手には、4か月前から20冊目の家計簿に挟んでいた離婚届があった。翌日、夫から届いた70件の着信。さらに家計簿から明らかになる672万円と、夫が失った8億円の肩書。家族が当然だと思っていた20年が、静かに数字へ変わり始める。夫婦|親子関係2.0万字5 1106 -
完結第11話
夫が書いた私の退職届
「母さんの介護のため、明日これを会社へ出してくれ」 夫が食卓へ置いたのは、56歳の私の名前が印字された退職届だった。定年まであと4年。けれど夫は、骨折した姑を自宅へ迎え、私が仕事を辞めて世話をすることを一人で決めていた。 私は退職を拒み、姑本人の希望を聞くよう求めた。しかし夫は「家族なら本音を分かってやるものだ」と言い、和室を介護部屋へ変える準備まで始める。 その夜、病院から一本の電話がかかってきた。姑が家族会議へ必ず私を呼び、先に確認してほしい書類があるという。 翌日、その書類から姑の口座より30万円が夫名義へ移されていたことが判明する。さらに和室の改修申込書には、姑の署名と280万円という金額が記されていた。 そして病院の家族会議で、夫が「妻は退職予定です」と説明した瞬間、姑は私を見ずに言った。 「私は、この家には帰らない」――その手には、息子がまだ知らない一枚の契約書が握られていた。嫁姑|夫婦|介護1.7万字5 568