"魚臭い嫁の30万円返し" 第5話
実際、兄が会社関係者を連れてへ入ろうとした、コウは丁寧に入を断ったらしい。
兄は顔を歪め、私へをげた。
「頼む、カナ。何とかしてくれ」
兄は度唇を舐め、言いにくそうに線を落とした。
「接待できないと、今回の仕事が取れないかもしれないんだ」
最初は必の表を浮かべていたが、自分の現のをいしたのか、兄は次第にばつが悪そうな顔になった。
私はしばらく兄を眺めた。
「お兄ちゃん、業績が悪かったんだよね」
兄の肩が揺れた。
「それなのに取引先との接待で酔して、まだ50代の相を老呼ばわりした。それで担当からされたんでしょう?」
兄は勢いよく顔をげた。
「何でってるんだよ」
「お兄ちゃんが老呼ばわりした、コウのの常連さんだったから」
兄は声を失った。
その常連客は先、で酒をみながら、接待の席で起きたことを愚痴っていたらしい。兄の名がたため、コウも同物だと気づいた。
本来なら、で聞いた客の話を軽々しくへ漏らすことはない。しかしその常連客は、兄の態度をよほど腹に据えかねたのか、の所でも自ら話を広めていた。
コウも別の客から、同じトラブルについて聞かされたという。
「接待相を老呼ばわりするなんて、相が誰でも駄目でしょう。おまけに今回の取引が失敗したら、お兄ちゃんは格か、最悪のは解雇される予定なんだよね」
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兄は呆然と私を見た。
「何で、そこまでってるんだ」
私はにっこりと微笑んだ。
「だから、その常連さんからの報だって。その、お兄ちゃんの司たちともつながりがあるんでしょう?」
兄の顔から、さらに血の気が引いた。
「会社へって、お兄ちゃんみたいなは格させるべきだって話したのも、その常連さんらしいよ。とんでもなく響力のあるに喧嘩を売ったね」
しかも、その物はコウのをひいきにしてくれている。兄が自分で招いた結果とはいえ、私たちにとってはありがたい常連客だった。
ユキは再びくをげた。
「お願い。のローンもまだ払わなきゃいけないの。格でも厳しいし、解雇なんてされたら活できない」
ユキは、以は母の咳さえ汚いと嫌がっていた。それほど汚れを嫌う女が、今は玄関の面に額を擦りつけている。
「カナちゃん、お願い。助けて」
私はし考えるふりをした。
「でも、仮に仕事が取れたとしても、もう無理じゃないですか?」
ユキは顔をげた。
「どういうこと?」
私は兄へ線を向けた。
「お兄ちゃん、投資で相当失敗したんでしょう?」
ユキの表が止まった。
「投資?」
今度はユキも、ゆっくりと兄を振り返った。兄は目を見き、顔を青ざめさせている。
「を買ったから、しでも資産を増やしたかったんだよね。
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でも、かなりの損をしたって聞いてる」
「誰から聞いたんだよ」
兄は掠れた声で尋ねた。
「モモから」
「モモ?」
突然妹の名がたことが、兄には予だったらしい。兄はらかに揺し、線をへ泳がせた。
私は兄から目を逸らさず、さらに続けた。
「お兄ちゃんが通ってた夜のおの女の子、リリアちゃんだっけ」
兄の顔が張った。
「その子、モモの友達なんだってね」
「何で……」
「リリアちゃんは、お兄ちゃんがモモの兄だってってたみたい。それでモモへ連絡してくれたんだって」
兄は何も言えなくなった。
居の購入、兄は宅ローンへのから投資を始めた。しかし識もないままきな利益を狙い、損失をねていた。
さらに兄は、リリアという夜ので働く女性へ頻繁にを使っていた。価な贈り物を買い、へ通うための支払いもなっていたらしい。
兄夫婦が築祝いを々にこうとした理由も、体裁だけではなかった。
しでもくのを招待し、祝いを集めたかったのだ。
ただし、寿司に嫁いだ私たち夫婦は、居が魚臭くなるという理由で呼びたくない。それでも30万円だけは振り込ませようとした。
「私たち夫婦は築祝いに呼びたくない。でも祝いだけは、1でもくから欲しかったんだよね」
私は呆れながら兄を見た。
「どうしてあんなにしつこく話してくるのかとったよ」
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