"魚臭い嫁の30万円返し" 第7話
そのことについても、ので自嘲するように触れていた。
最には、母へ直接謝ることができないままくしてしまったことを、悔しているとかれていた。
私はを最まで読んだが、返事はさなかった。
ユキが母へした仕打ちを、なかったことにはできない。母がどれほど傷ついたか、私もモモも覚えている。
ただ、以のユキなら、自分の過ちを認めてをげることすらなかっただろう。
今さら許すつもりはない。それでも、はとして成したのかもしれないとはった。
は捨てず、引きしの奥へしまった。
兄の方は、ユキの謝罪からさらに1ほど経った頃、度だけ私とモモへ接触してきた。
用件は、を貸してほしいというものだった。
兄は例の取引に失敗した、すぐには解雇されず、格処分を受けていた。
これで件落着かとわれたが、な取引先の信頼を失い、社内で問題を起こしたに任せられる仕事はなかったらしい。兄は次第に社内で厄介者として扱われるようになった。
その、会社の業績が悪化し、員削減がわれた。
兄は真っ先に対象となり、最終には会社を解雇されたという。
が兄ながら、本当にどうしようもない。
私のへ来た兄は、以より痩せていた。価そうなも着ておらず、髪も入れされていなかった。
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「しでいいんだ。必ず返すから」
兄は玄関先でをげた。
私は扉をけたまま、兄の顔を見た。
「築祝いの30万円を払ってないから、それを貸したことにしてあげようか?」
兄は顔を歪めた。
「昔のことを持ちすなよ」
「昔のことを反省してないに、おを貸せるわけないでしょう」
私は兄をへ入れず、そのまま追い返した。
モモのところにも同じように現れたらしいが、モモは私よりもさらに厳しく、話を最まで聞かずに払いしたという。
それ以、兄がどこで何をしているのか、私たちはらない。
くなったというらせはないため、どこかできてはいるのだろう。
たとえ度は活をて直しても、いへ流され、都が悪くなると責任をへ押しつける性格が変わらない限り、兄は同じ過ちを繰り返すのかもしれない。
私にもモモにも、もう兄を救うつもりはなかった。
方、私たちの活にはきな変化があった。
コウが、寿司の2号をすことになったのだ。
を増やす話は以からていたが、職の確保や物件の条件がわず、何度も見送られていた。ようやく準備がい、へ向けてき始めた。
ところが、オープンした期は社会全体が落ち着かない期となった。
最初は客が伸びず、状況によってはをく閉めなければならないもあった。
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予約が急に取り消され、用していた材が余ることもあった。
コウはから帰ると、疲れた顔で売りげの記録を確認していた。
「丈夫?」
私がお茶を置くと、コウは無理に笑った。
「丈夫とは言い切れないけど、できることを続けるしかないよ」
コウは品質を落とさなかった。
客がないからといって仕入れを易に変えず、清掃や接客もこれまで以に徹底した。来てくれた客にはひとり丁寧に向きい、また来たいとってもらえるを目指した。
しずつ、常連客が増えていった。
最初は本の客が応援のために訪れ、やがてそのたちが族やを連れてきた。評判を聞いたしい客も入り、はかかったものの、2号は徐々に軌へ乗った。
かつて兄夫婦は、寿司を魚臭い仕事と笑った。
しかしコウは、その仕事へ誇りを持ち続けた。を見して楽をするのではなく、に信用を積みねてきたからこそ、を増やすところまでたどり着いたのだ。
私はを伝いながら、兄との違いを考えることがあった。
兄はを買い、から派に見られることばかり気にしていた。祝いの席に族がそろっているように見せたがり、祝いを集めて、自分の失敗を隠そうとした。
コウは、自分がどう見えるかより、目のの客が満するかを考えている。
その違いが、とともにきな結果となって現れたのだとう。
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