みかん小説
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"消された妻の逆転乾杯" 第10話

孝志から、度だけが届いたことがある。謝罪とも言い訳ともつかないい文章の最に、「今になって、おがどれほど俺を支えてくれていたのか分かった」とかれていた。私は最まで読み、封筒へ戻したが、返事はさなかった。

許せないからではない。

もう、彼に分かってもらう必がなくなったからだ。

若い頃の私は、されることが幸せだとっていた。結婚してからは、必とされることが自分の価値だとうようになり、いつしか誰かの役にたなければ、自分にはがないとまで考えていた。けれど今なら分かる。の価値は、誰かの妻であることでも、誰かを支えることでも、誰かに認めてもらうことでも決まらない。

ある、仕事帰りに私はであのホテルのを通った。入では入社員らしい若者たちが笑いながら記写真を撮っていて、あの夜のことなど何もらない々が次々とへ入っていった。私はしだけち止まったものの、もう胸が痛むことはなかった。

あの、壇から私を見ろしていた夫の顔も、会に響いた拍も、黒川会の声も、今では来事になっている。けれどつだけ、今でも鮮に覚えているものがある。それは、誰にも気づかれない席でシャンパングラスを掲げた、自分のまれたさな決だった。

は、誰かに席を用してもらわなければ始められないものではない。

自分の席がなくなったのなら、自分でしい所を作ればいい。

を消されたのなら、もう度、自分のけばいい。

そして、何歳になっていても遅すぎることはない。

翌朝、私はいつものように事務所の鍵をけた。机のにはしい設計図があり、昨まで空だったページには、これから試してみたい案がいくつもき込まれていた。窓をけるとが入り、の端が静かに揺れた。

私はペンを取り、そのに名いた。

設計者 佐

今度は、誰にも消させない。

そして私は、自分の名から始まるしい1を、静かに歩き始めた。

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