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"23回拒まれた元部長" 第7話

佐藤はもう、加藤を説得するつもりはなかった。

曜の朝、練習にはたいが吹いていた。佐藤は7番アイアンで数球打ち、画を確認しながらゆっくり体を温めていた。20分ほど経った頃、背から聞き慣れた音がづき、「回のコンペ、だいぶ苦労したみたいですね」という声がした。

加藤だった。どこから聞いたのかは分からないが、佐藤のスコアが悪かったことをっているらしく、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。「僕の指導を最まで受けなかったからですよ」と言いながらを伸ばし、佐藤のクラブへ触れようとした。

佐藤はクラブを静かにへ置いた。「加藤さん、今は指導のに、これを見てもらいます」と言い、胸ポケットからスマートフォンを取りした。画面には、付とい文章が縦に並んだ覧が表示されている。

「何ですか、それは」

「あなたにアドバイスを断った記録です。105815分、『画を見て練習したいので結構です』。1012820分、『自分のペースでやりたいのでお構いなく』。1019840分、『アドバイスはです』」

佐藤はを込めず、ただ順番に読みげた。周囲の打席にいた客の何かが、何事かとこちらへ線を向ける。加藤は最初こそ笑いを浮かべていたが、5件、10件と続くうちに眉へしわを寄せ始めた。

「1026、112、119

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言い方は変えましたが、内容は全部同じです。僕はあなたが来るたびに断っています。この2ヶで、記録に残っているだけで23回です」

「そんなものを数えていたんですか。気が悪いですね」

加藤は吐き捨てるように言ったが、その声から先ほどまでの余裕は消えていた。佐藤はスマートフォンをろさず、「気が悪いかどうかは今の話と関係ありません」と答えた。相の評価へ議論を移せば、また話がずれることが分かっていた。

「あなたは毎回、『嫌なら言えばいい』『慮しなくていい』と言いました。でも僕は23回言っています。嫌だ、だ、でやりたい、触らないでください。その全部を無して、それでも自分は親切だと言い続けたのはあなたです」

加藤の頬が赤くなった。「僕はあなたのためをって言っていただけです」と声をめる。これまで何度も使ってきた言葉だったが、佐藤はもうその言葉へ説を返さなかった。

「あなたがどうっていたかではなく、僕が23回断ったという事実の話をしています」

その言に、加藤はを閉じた。善達、経験、管理職代の実績など、いつもなら次々に持ちしてくる言葉がてこない。理由をつけず、数字と事実だけを突きつけられると、自分に都のいい物語へ話を広げる余なくなる。

「たった23回くらいでげさですよ。

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毎回本気で嫌がっているようには見えませんでした」

加藤がそう言うと、佐藤はむしろ静かになった。「本気かどうかを決めるのは、断られた側ではありません」と返し、スマートフォンをポケットへ戻した。佐藤自、その言葉をにして初めて、これまで加藤との会話で何が最もおかしかったのかを確に理解した。

そこで隣の打席から、の男性ががった。60代半の野という常連客で、若い頃に研修としてゴルフに勤め、現もアマチュア向けの指導資格を持っている物だった。佐藤とは挨拶を交わす程度だったが、加藤がの打席へ入り込む面を何度も見ていた。

「加藤さん、ちょっと構えてもらえますか。あなたのフォーム、僕から見るとかなり気になるところがあります」

加藤はを突かれたように野を見た。「いや、僕は今、佐藤さんと話をしているので」と断ろうとしたが、野は「すぐ終わりますから」と言い、加藤の肩へ軽くを添えた。さらに腰の位置を直そうとすると、加藤は反射を引いた。

「やめてください。頼んでいませんから」

野はそこでした。そして加藤をまっすぐ見ながら、静かな声で尋ねた。

「今、嫌だったでしょう」

周囲の空気が変わった。加藤は何か言い返そうとしたが、すぐには言葉がなかった。

野は続けて、「頼んでもいないのに体へ触られて、構えを直されて、だったから拒否した。

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