みかん小説
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"壁の中の13年" 第3話

くになり、ようやく誠は交番へ届けた。

警察官は事を聞きながらも、失踪からまだ半も経っていないことを理由に、親戚やっている能性もあると考えた。夫婦げんかや妊娠の精神定を理由に、本るケースもあると説された。誠は「そんなはずはない。あいつは何も持たずに消えるようなじゃない」とく訴えた。

翌朝になっても、美智子は帰らなかった。

そこでようやく、警察は本格な聞き込みを始めた。

そして最初に浮かびがったのは、失踪した妻ではなく、夫の自然な空の1だった。

警察が誠の勤務先へ確認すると、ほとんどの同僚は「田さんは朝から夕方まで現にいた」と答えた。ところがだけ、「午2頃から1くらい見かけなかった」と証言した。誠はそれについて、腹の調子が悪くなって現くのトイレにいたと説した。

自宅までを使えば往復できない距ではなかった。警察は失踪した妻との関係について何度も尋ね、の失敗による借酒、最の夫婦関係まで調べた。誠は「確かに喧嘩はした。でも妻を傷つけるようなことはしていない」とり、何度も妻をしていると主張した。

所では、夫を疑う噂が急速に広がった。失踪当、美智子と緒に歩いていた男性が誠だったのではないか、午の空へ戻ったのではないかと囁くがいた。

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方で、義母との関係を民からは、「嫁いびりに耐えられなくなって逃げたんじゃないか」という声もがった。

義母自にも疑いの目は向けられた。美智子が男児を産むことをく望んでいたことや、嫁の事に細かくしていたことは町のっていた。しかし失踪当の午、義母は自宅にいたことを複数の民が確認しており、美智子が最に目撃された帯となるは見つからなかった。

そんな、もうの名が捜査線に浮かんだ。誠の兄、田茂である。京の会社に勤める茂が失踪当の午、埼玉の町にいたようだと話す民が現れた。

証言した男性は、バスくで茂に似た背のい男を見たと言った。しかしくから瞬見ただけで、確信は持てないとも付け加えた。警察が茂に連絡すると、彼は「117京の会社へ勤していた」と答え、会社の勤務記録もそれを裏付けた。

ただし、昼休みに約2、席をしていたことも判した。茂はっていたと説したが、取引を示す確な記録や領収は残っていなかった。父親の遺産をめぐって弟としていたこともあり、警察は兄も完全には疑いからさなかった。

の謎は、午1頃に美智子と緒に歩いていた背のい男性だった。

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誠なのか、茂なのか、あるいはまったく別の物なのか、吉田さんの証言だけでは判断できなかった。さらに正午、美智子が公衆話から誰かへ話しているため、その相と会う約束をした能性も考えられた。

しかし平成3、公衆話から発信した相から簡単に突き止めることはできなかった。スーパーのにあった話が使われた事実はあっても、誰に何を話したのかを確認する段がなかった。捜査員は美智子の実や友にも聞き込みをったが、先になりそうな所はつも見つからなかった。

実母は「娘は度くらい話をくれました」と話した。最の通話は失踪の2週ほどで、美智子は妊娠が順調であること、産準備をめていることを話し、たいというような相談はしていなかった。実母は「娘はお腹の子を置いてどこかへ消えるようなではありません」と繰り返した。

それでも警察は、力な証拠を見つけられなかった。駅やバスで美智子を見たという確実な報はなく、病院にもの妊婦が運ばれた記録はなかった。川や林も調べられたが、失踪に結びつく所持品さえ発見されなかった。

1週を過ぎる頃には、捜査の勢いは急速に落ちていった。事件性を示す物証がなく、自ら町をれた能性が排除できなかったためである。

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