みかん小説
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"壁の中の13年" 第4話

警察の内部でも「庭内の圧に耐えられず、どこかでしい活を始めたのではないか」という見方がまった。

誠だけは、その説を受け入れなかった。

妻が自分を捨てたのなら、それでもいいからきているとらせてほしい。子どもを産んでいるのなら、せめて無事なのかりたい。彼はそう言って駅や繁華に美智子の写真を貼り、京のきな駅や速バスターミナル、病院まで探しにった。

しかし、美智子からの連絡は度もなかった。

だけが過ぎていった。

美智子の失踪から数かが経つと、誠の活は目に見えて崩れていった。仕事へっても集できず、夜になると酒をみ、妻のいないへ戻っては暗い部で朝まで過ごすようになった。現での遅刻や欠勤が増え、ついには仕事も失った。

その頃になると、町の々の線も誠を追い詰めていた。「本当は夫が何かっているのではないか」という噂が消えなかったからである。スーパーで顔をわせても会話を避けるが増え、酒では誠が入ってくると急に声を潜める客さえいた。

義母はそんな息子を自分のへ引き取った。美智子が戻らない以、あのでいる必はないと説得し、「いつまでも嫁のことを考えていたらが終わる」と再婚を勧めた。

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誠は何度言われても首を縦に振らず、最初の1ほどは仕事もせず、昼から布団に横たわっていることがかった。

2目に入る頃、誠はしずつ「美智子はもうきていないのかもしれない」と考えるようになった。どこかで事故に遭ったのか、事件に巻き込まれたのか、それとも自分がらないで命を落としたのか。そうわなければ、13も音信通であることを説できなかった。

平成8になると、誠はで働き始めた。以のような建設現ではなく、部品を扱うさなで、決められた作業を黙々とこなす仕事だった。昼休みも事をし、同僚から誘われてもみにかず、妻の話を聞かれても曖昧に笑うだけだった。

方、母親の健康は徐々に悪化していった。糖尿病を患い、い距を歩くことが難しくなり、誠が活費を渡したり病院へ付き添ったりするようになった。嫁を責め続けていた母親も、ねるにつれて美智子の名にしなくなった。

兄の茂は京で会社員活を続けていた。昇し、結婚し、子どもにも恵まれ、表面は順調なを送っていたが、正にもほとんど埼玉へ戻らなくなった。母親の誕や法事で顔を見せても、弟の誠とは必限の会話しかしなかった。

茂が弟を避ける理由について、親戚は問題が尾を引いているのだろうと考えていた。

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しかし美智子の失踪事件で度警察に疑われたことを、茂がひどく嫌っていたという話もあった。「弟のの問題に巻き込まれて迷惑だった」と、親しい同僚に漏らしたこともあったという。

10が過ぎ、平成13になる頃には、町そのものが変わり始めた。古い商が閉まり、しいマンションが建ち、かつて美智子と話をしていた佐藤さんも、子どもについて京へ引っ越した。スーパーを営んでいた鈴さんもを売り、失踪当の美智子を々はしずつ町から姿を消していった。

美智子が暮らしていただけは、が止まったように残された。誠が母親のへ移ってからはほとんど使われず、玄関には鍵がかけられ、窓には埃が積もり、庭は背のい雑に覆われていった。所の子どもたちからは「誰もんでいない古い」と呼ばれるようになり、そこに妊婦が暮らしていたことをらない世代まで増えていった。

誠自も、ほとんどへ入らなかった。毎、税や必続きだけは済ませていたものの、「へ入ると美智子が帰ってきそうな気がする」とに話したことがあった。寝には夫婦が使っていた布団が畳まれ、台所には当器が残り、箪笥のには赤ん坊のための肌着まで置かれていた。

警察の記録、美智子は依然として者だった。

事件として再捜査されることもなく、なのか事故なのか、あるいは犯罪なのかさえ曖昧なままだった。

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