父の三回忌のため、夫と一緒に実家へ向かっていた咲。 新幹線が最寄り駅に近づいたその時、見知らぬ老婦人が突然、彼女の腕をつかんだ。 「今帰ったら、あなたの実家を失うよ。次の駅で降りなさい」 意味が分からないまま戸惑う咲に、老婦人はさらに告げる。 実家の土地に売買予約の仮登記がつき、三日以内に手続きが進むこと。 そして、その書類の立会人として、咲の夫が署名していること。 実家に着いた咲は、夫のバッグから売買予約契約書と白紙委任状を見つける。 そこには、母の実印、兄嫁の名前、そして夫の署名があった。 何も知らなかったのは、自分だけだった。 母の家は、本当に売られようとしているのか。 信じていた家族の中で、誰が嘘をつき、誰が利用されていたのか。 三日後の登記手続きを前に、咲はたった一人で真相を追い始める――。