"米蔵を開けた娘" 第10話
流通の混乱。
追いつかない賃。
さまざまなものがなり、毎の杯の飯が、普通に働く庭からざかっていった。
そのきな代の流れので、も揺れていた。
父には父の守るものがあった。
娘には娘の見えているものがあった。
どちらか方だけが正しかったわけではない。
数が経っても、蔵の扉にはあのと同じきな錠が使われていた。
千代は々、その鍵をにすることがあった。
もちろん今度は父の許を得ている。
鍵を回すたび、い戸がく。
暗い蔵のには、米俵が並んでいる。
その景を見ると、千代は必ずあのをいした。
自分が初めて勝にけたのことを。
徳蔵も、そのことを忘れることはなかった。
先で米の値段を聞き、困った顔をする客を見るたび、以よりしくそのを見るようになった。
ある、若い奉公が尋ねた。
「旦さん、何見てるんです?」
徳蔵は格子戸の向こうを見たまま答えた。
「別に何も」
そしてしばらくして、独り言のように付け加えた。
「ただ、誰が並んどるか見てるだけや」
帳にいた千代は、その声を聞いて微笑んだ。
父はもう、米俵だけを数えてはいなかった。
千代ももう、蔵をければ全て解決するとはっていなかった。
2とも、あののには戻れなかった。
けれど、それでよかった。
米を守ること。
を守ること。
働く者を守ること。
そして、米を買いに来るの暮らしを見ること。
どれか1つだけを選ぶのではなく、全部を見ながら考え続ける。
それがの商売になった。
正78。
阪のさな米で、19歳の娘が父に背き、蔵の扉をけた。
その、徳蔵は警察を呼んだ。
娘には、そのが許せなかった。
父には、そうしなければもも守れないとえた。
けれど何も経った、千代が最も鮮に覚えていたのは、警察の姿でも、鳴り声でもなかった。
閉ざされていた蔵へ差し込んだ、あののいのだった。
暗い蔵のに並ぶ米俵。
その向こうで米を求めていた々。
そして、そのにっていた自分と父。
が本当ので変わったのは、あの扉をけた瞬からだった。
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