"最後の転校届" 第4話
「忘れたのかとって、もう度言いました」
翌も持たせた。
しかしはまた戻ってきた。
「3度目には、私が玄関で渡したんです」
徳治の元から笑いが消えた。
「帰ってきたには、破られてました」
佳代子はにしていた転届を見つめた。
それはしくき直したものだった。
「どうして、そこまで……」
徳治はしばらく答えなかった。
から、所の子どもの声が聞こえた。
この宅には杉ノ沢よりずっとくの子どもがんでいる。
しい活は、もう始まっていた。
「卒業したいんでしょう」
徳治が言った。
「あの学で」
佳代子は顔をげた。
「修君がそう言ったんですか?」
「言わなくても分かります」
徳治は子へ座った。
「1から通った学ですからね」
「でも、この距を毎通わせるのは……」
「分かってます」
同じ言葉だった。
しかし今度はし疲れた声だった。
「私だって、できるなら好きにさせてやりたい。でも、これからになる。にが積もったら、自転なんか無理です」
佳代子もそれには同するしかなかった。
「しい学へけば、友達もいます」
「そうなんです。学へけば、どうせ同じ連と通うことになる」
徳治は両を膝に置いた。
「だからく慣れた方がいい。私もそうってます」
「それなら……」
「でも本が、どうしても嫌だと言う」
その、玄関ので自転のブレーキ音がした。
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2は同に黙った。
戸がき、修が入ってくる。
靴を脱ごうとしたが、佳代子の靴を見つけた。
瞬で表がくなった。
「先、なんで来たの」
佳代子はちがった。
「修君」
「父ちゃん、言ったの?」
徳治が眉を寄せた。
「そのの利き方は何だ」
修は返事をせず、ランドセルをへろした。
佳代子はの濡れた髪と、のついた靴を見た。
ここから毎。
12キロ以。
自分が何もらずに「朝いね」と笑っていたのりを、このは毎往復していた。
「どうしてしい学へかないの?」
佳代子が静かに尋ねた。
修は答えない。
「ここから毎自転で通うのは危ないわ」
「丈夫」
「丈夫じゃない」
「今まで何ともなかった」
「今まではね。でもになったらもるでしょう」
修は目をそらした。
「あとしだから」
「何が?」
はそこで初めて佳代子を正面から見た。
「卒業まで」
その言に、佳代子はすぐ返事ができなかった。
修は、自分の気持ちを隠すことをやめたようだった。
「1から杉ノ沢学だった」
は佳代子を見たまま続けた。
「入学式も、運会も、も、全部あそこだった」
「分かってる」
「だったら最だけ違う学って変だろ」
「変じゃないわ」
「変だよ」
佳代子が何か言おうとすると、修は先に続けた。
「卒業まであと半もないのに、なんで今さららない学にかなきゃいけないんだよ」
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「通学が危ないからよ」
「自転でける」
「は?」
「歩く」
「12キロを?」
「くればいい」
あまりにも迷いのない答えだった。
佳代子は言葉に詰まった。
「修」
徳治がい声で割って入った。
「いい加減にしろ」
「父ちゃんは黙ってて」
「先に向かって何だ、その態度は」
「だって父ちゃんが余計なこと言ったからだろ」
「余計なことじゃない」
徳治の声もきくなった。
「おが毎そんな距を通ってることを先がらない方がおかしいんだ」
「ちゃんと着いてるだろ」
「着けばいいって話じゃない!」
修は唇を噛んだ。
しばらくして、さな声で言った。
「なくなるなら、最までいたいんだよ」
部が静かになった。
佳代子は、その言葉を聞いた瞬、胸の奥が締めつけられるのをじた。
修は、学が残るとっているわけではない。
が救われるとっているわけでもない。
全部なくなることをっている。
っているからこそ、最までそこにいたかったのだ。
「おだけの学じゃない」
徳治が言った。
「分かってる」
「しいもある。しい学もある。いつまでも杉ノ沢へ戻ってどうする」
「父ちゃんだって杉ノ沢のだろ」
徳治の顔が張った。
「だから言ってるんだ」
「だったら何で分からないんだよ」
「がなくなるからって、おまでそこに残る必はない!」
徳治の声が部に響いた。
修は目を見いた。
「俺、残るなんて言ってない」
「毎戻ってるじゃないか」
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