みかん小説
本棚
みかん小説 / 時代 / 16歳、家を出た姉
16歳、家を出た姉

16歳、家を出た姉

北風と茶碗 完結 246

昭和8年、不況と凶作に苦しむ岩手の山村で、16歳の千代は両親と4人の弟妹と暮らしていた。 米櫃は底をつき、母は自分の食事を幼い子どもへ譲り、父は昼飯も持たずに働いていた。父から奉公を禁じられた千代は、「私が一人減れば、四人分でいいでしょ」という置き手紙を残し、家族に黙って盛岡の料理屋へ向かう。 3か月後、千代から5円の郵便為替が届いた。それから毎月、同じ料理屋の名で仕送りは続いたが、千代自身の手紙だけは一度も届かなかった。 2年後、不安を抱いた弟の勇一は、貯めた汽車賃を握りしめ、一人で盛岡へ姉を捜しに行く。ところが料理屋の女将から告げられたのは、思いもよらない事実だった。 「千代なら、ここには3か月しかいなかったよ」 では、毎月途切れずに届いていた5円は、どこで働く誰が送っていたのか。家族を生かすために居場所も言葉も隠した少女と、姉の行方を追う弟の長い旅が始まる――。

今すぐ読む