"最後の転校届" 第8話
あの、自分が言った言葉。
正しかったとう。
それでも、の「卒業したかった」という声は消えなかった。
別の。
職員で児童記録を理していると、川瀬がに言った。
「森先」
「はい」
「君を、最のに呼んだらどうだ」
佳代子は顔をげた。
「修君を?」
「うん」
「でも、もう本の児童ではありません」
「っとる」
「しい学にも卒業式があります」
川瀬は窓のを見た。
庭にはまだしが残っている。
「だから、杉ノ沢の卒業として呼ぶんじゃない」
佳代子は首を傾げた。
「では、何として?」
「この学の最をっとる者としてだ」
川瀬はゆっくり言った。
「6ここへ通ったんだろう」
「はい」
「転したからといって、その6まで別の学のものになるわけじゃない」
佳代子は黙った。
しして、机のの話へ線を向けた。
「向こうの学に聞いてみます」
そののうちに、佳代子は修のしい学へ話した。
事を説した。
杉ノ沢学が度末で閉すること。
修が6く通った学であること。
閉式を兼ねた最の卒業式をうこと。
「本をしだけでも参加させていただけませんか」
話の向こうのは、しばらく黙っていた。
「こちらも同じに卒業式があります」
「はい」
「君はこちらの卒業ですから、午は当然こちらへてもらいます」
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「もちろんです」
佳代子は受話器を握り直した。
「では、午なら」
「え?」
「本が望むなら、かせましょう」
佳代子はわず息を吐いた。
「ありがとうございます」
「ただし、本の気持ちを確認してください」
「はい」
話を切ったあと、佳代子はしばらく受話器にを置いたままだった。
修が来るかどうかは分からない。
自分にまだっているかもしれない。
杉ノ沢へ戻りたくないとっているかもしれない。
それでも、選べるようにはしておきたかった。
今度だけは、だけで決めたくなかった。
3。
杉ノ沢学最のは、朝からよくれていた。
のは柔らかかったが、にはまだの名残があった。
のには、いつもよりくのが集まった。
をれた元民。
昔の卒業。
子どもをこの学へ通わせていた親たち。
すでに町やしい宅で暮らしている々が、こののためだけに杉ノ沢へ戻ってきた。
閉式を兼ねたさな卒業式だった。
体育館のには、使われてきた旗が置かれた。
壁にはの。
壇の横には、これまでの卒業写真が何枚も並べられていた。
卒業として証を受け取るのは、美智子1だった。
名を呼ばれると、女はゆっくりった。
いつもより緊張した顔でへみ、川瀬から卒業証を受け取る。
その姿を、集まったたちがじっと見守った。
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続いてをった。
児童は4しかいない。
だから体育館に響く声は、たちの方がずっときかった。
途で声を詰まらせる者もいた。
えなくなって、ただだけをかしている老もいた。
佳代子も最まで声を保つことが難しかった。
のつつが、今までとは違って聞こえた。
このも。
この川も。
この庭も。
もなくのへ沈む。
式が終わったあと、々は体育館から庭へた。
昔の教を見て回る者。
名板ので写真を撮る者。
窓枠へ触れながらい話をする者。
佳代子は何度もの方を見た。
来ないかもしれない。
そうい始めていた。
しい学の卒業式が終わったとしても、ここまで来るにはがかかる。
本が来たくないと言った能性もある。
それなら、それでいい。
佳代子はそう考えようとした。
そのだった。
庭の入に、のがっていた。
杉ノ沢学の装ではない。
しい学で使っている制を着ていた。
しだけ背が伸びたように見えた。
「修君」
佳代子はわず名を呼んだ。
はし照れたように笑った。
「来てもよかったんだろ」
「もちろんよ」
佳代子は数歩づいた。
「卒業、おめでとう」
修は瞬黙った。
それからさくをげた。
「先も」
「私は卒業しないわよ」
「この学から卒業するみたいなもんだろ」
佳代子は笑った。
「そうかもしれないね」
修は舎を見げた。
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