"最後の転校届" 第11話
修は写真のの自分を見た。
制も違う。
顔つきもまだ幼い。
隣には美智子がいる。
の3もいる。
あの瞬だけを見れば、誰が転したかなど分からない。
5とも、同じ杉ノ沢学の子どもに見える。
川瀬が言った言葉をいした。
「卒業した学が違っても、ここで育ったことまで変わらんよ」
その通りだった。
修の卒業証にかれている学名は、杉ノ沢学ではない。
正式には別の学の卒業だった。
それでも、自分の子ども代をいす、最初に浮かぶのは杉ノ沢だった。
の底に沈んだ。
名だけが記碑に残る故郷。
姿を失ったからこそ、のではかえってはっきり残った所。
修は写真を裏返した。
《杉ノ沢学 最の》
その文字を指でなぞる。
最のに、自分は戻ることができた。
最の卒業ではなかった。
けれど、最の写真には入ることができた。
それだけで分だったのかもしれない。
が吹き、面に細かな波がった。
修は記碑の脇へ腰をろした。
昔、父とここへ来たには、学がどこにあったか必に探した。
今は探そうとはわなかった。
どこにあったのか正確に分からなくてもよかった。
自分のには残っている。
そこへ続く坂も。
教も。
庭も。
教師の声も。
故郷を守るということは、そのから歩もかないことではなかった。
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失われるものを抱えたまま、自分までち止まることでもなかった。
れてもいい。
別の町で暮らしてもいい。
しい友をつくってもいい。
それでも、そこで過ごしたまで誰かに奪われるわけではない。
昭40。
杉ノ沢の子どもたちは、次々にをれていった。
がなくなり、学がなくなり、最にはそのものがのへ消えた。
当の修には、すべてを奪われているように見えた。
けれど何も経った今、彼の元には1枚の写真がある。
その写真のでは、造舎はまだっている。
5の子どもたちも、まだそこにいる。
誰も転していないような顔でを向いている。
修は写真を胸元へ戻した。
それからへ向かって、さくをげた。
もう、戻りたいとはわなかった。
戻れないからではない。
自分が杉ノ沢を失っていないことを、ようやく分かっていたからだった。
あの、転届を受け取った佳代子は、から故郷を取りげたのではなかった。
故郷を胸のに残したまま、そこから先へ歩くを示した。
そしての底へ沈んだ杉ノ沢は、としては消えても、そこできた々の記憶ので、いを越えて残り続けたのである。
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