みかん小説
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"盗まれた120頁" 第9話

たいで震えながら配り歩いたチラシが、息子を連れて帰ってくるわけでもありません。

な正義は、確かに証されました。

しかしどんなに完璧な判決文も、砕かれた息子の未来を元に戻すことはできませんでした。

判決の、両親には最に果たすべき約束が残っていました。

暗い森の底から引きげられた息子を、故郷の青森へ連れて帰ることです。

京から青森まで、およそ700km。

10の214、2は息子のれ姿を見るために夜に乗りました。鞄のには、仕てたばかりの5万円のスーツが入っていました。

けれど今、彼らが乗っている黒い部座席に置かれているのは、で作られたさな箱だけでした。

京のたいは、県境を越える頃にはへ変わりました。

り積もる故郷の町に、誠は10という歳を経て、ようやく帰ってきました。

、実くのさな斎で静かな葬儀が営まれました。

祭壇のには、学入学に撮られた写真が飾られていました。まだあどけなさの残る、希望に満ちた青のまっすぐな瞳。

参列者の席には、かつて誠と机を並べた同級たちの姿もありました。彼らはすでに32歳になり、それぞれのを歩んでいました。

彼らが当たりのように過ごしてきた10という

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それは誠にとって、暗いで完全に止まったでした。

の箱のには、見覚えのある黒い布がそっとかけられていました。

10のあの朝、講堂の14列目のパイプ子に置かれていた卒業ガウンです。母親は、たい会で触れたあの布をすように、しわを伸ばすように何度も撫でました。

棺のには、学側から特別に発された卒業証が納められました。

そしてもう1つ、分く綴じられた120ページのA4用

そこには、誠が3か、114机に向かい、命を削って導きしたデータがありました。著者欄には、もうの名はありません。

誠。

本当の持ち主の名が、はっきりと刻まれていました。

父親はその論文の束をゆっくり持ちげ、い骨のそばへそっと寄り添わせました。

たいコンクリートを流し込まれる最の瞬まで、誠が胸に抱きしめていたもの。

彼が絶対に譲らなかったの結晶は、ようやく正しい形で彼の元に返されました。

では、が窓ガラスを静かに叩いていました。

これは莫額がいた事件でも、世を震撼させた連続殺でもありません。

けれど、1の若者の尊厳を徹底に踏みにじった犯罪でした。

10というが奪ったものは、決して元には戻りません。

それでも、誠が確かにこの世界にきていたこと。

誰よりも真剣に研究へ向きい、正しい未来を掴もうとしたこと。

そして、両親のが、彼をたいから故郷へ連れ戻したこと。

その事実だけは、誰にも消すことができませんでした。

静かなで、い10の物語は、ようやく本当の終わりを迎えました。

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